少し濡れたアスファルトを少し汚れたスニーカーで歩く。

このスニーカーは靴擦れをするからあまり好きではないのに

歩いていくうちに慣れてほしいと願いを込めて今日も歩く。

ふと、顎を少し上げると街灯の光が目に染みる。

目を細めてみても、街灯の先の星は見えてこない。

視線を横に向けると、昼間賑わう公園はしんと静まり返っている。

この間、椅子のような遊具に腰を掛けたら、その遊具は12歳まで対象だと叱られた。

小さいときは、遊具も、少し盛り上がった小さい丘も、入り口の鉄の柵も、全てが遊び道具で何を使っても楽しかった。

おとなになると、遊具ですら遊ぶ道具にはならない。

でも、今この瞬間は許されるだろうか。

周りに誰もいないか確認して冷たい鉄の鎖に手をかけて腰をかける。

ゆらゆらと揺れるこの感覚は本当に何年ぶりだろう。

少し大きく揺らして、叫びたくなる衝動を抑えて、ある程度の風を感じたところでスニーカーで動きを止める。

砂埃があがり、手を離して匂いを嗅ぐ。鉄臭い。

 

私は知っていた。この靴が私の足に慣れることはないと。

さっきより汚れたスニーカーにまた失敗したなと心の中で行った。