数年前に話題になったミステリー小説。はじめて読んでみました。
乾くるみ『イニシエーションラブ』
「side-A」は大学4年の「たっくん」と歯科衛生士の「繭子」の出会いから
クリスマスイブを迎えるときまで。
「side-B」は社会人となった「たっくん」が繭子と別れ
同僚の「石丸さん」と付き合うようになるまで。
そのまま流し読みすれば
堕胎までしたのに捨てられた可哀想な「繭子」
たっくんを奪い取った したたかな「石丸さん」
繭子を忘れきれず 後ろめたさを残す「たっくん」
後味があまりよろしくない恋愛小説なのですが・・・
ラストの2行で全てが逆転します。
(ここからはネタバレ全開です!)
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「side-A」と「side-B」の「たっくん」は別人!
時間軸は「side-B」のほうが「side-A」より先!
さらに繭子の妊娠した時期からは重なっていく!
もう一度読み返すと次々に
あらわになっていく伏線の数々。
一方では ミスリードさせるような仕掛けも ちりばめられてる。
その中で浮き上がってくるのは 可哀想だったはずの「繭子」のほうが
「たっくんA」より上手で 「石丸さん」より したたかであるという事実。
「花の鎖」や「葉桜の季節に君を想うということ」などと同じように
小説だから使えるトリック。
やっぱり読書は面白い。