先に書き始めて温めすぎているものもあるのだが、ひとまず衝動的に書く。

 

ひとさいがTIF2023への出場を決めた。

正直に言ってしまえば、今年出場できるとは全く思っていなかった。

もはや主催とのコネが全て、という言説すらよく聞く、それこそ古き良きものからは逸脱してしまったような感すらある昨今のTIFだが、それはそれで、出場までこぎつけた運営には素直に敬意を表する。

 

TIFのみならず、最近決定していっている対バンのラインナップを見ても、何か業界内でのつながりを掴んでいっているような感もあり、1年目とは違う、確かな進化をしているのかもしれない。

パフォーマンス云々、彼女たち云々、そんなものでそれらがつかめると思うほどにはもうお目出度くもない。圧倒的に客を呼んでいるならとにかく、現場ではそのようなことはない(ただし人が確実に増えてきてはいる、それも加速度的に)。

もっとも、彼女たちのSNSでの数の力とか、そんなものが機能しているからなのかもしれず、つまりやはり彼女たち自身が評価されているのかもしれず、はたまた、よもやよもや、ライブが評価されたのかもしれず、そんな古典的な話なのかもしれず、まあ、そんなことはよくわからない。

どうにしろ、確実に風は良い方向に吹き始めている。

 

TIFについての話をつらつらと書く。

 

TIFに出られない、などという世界線があるとは元々知らなかった。

AKBに数年通い、そこからぱすぽ☆(PASSPO☆)に通い、その頃には当然のように夏の一大イベントとしてTIFがあった…と言っても僕が最初に行ったのは2011年であり、TIFが始まったのは2010年(この年のみお台場で行っていない)であり、だから夏の恒例イベント、というほどでもなかったのかもしれない。その空気感はもはや覚えてはいない。

ただ、このような大規模のイベント、というのはTIFくらいしかなかった気もする。本当にそうかどうかももはや覚えていないが。あらゆる昔の記憶が結構消えている。

 

当然のようにTIFがあり、当然のように毎年そこにぱすぽは出て、当然のように僕も参加していた。

当時はまだ元気で、他のアイドルもそれなりに見ていたし、だからせっかくの機会でいろんなアイドルを見ないと損だ、というように丸一日、時間を惜しむように様々なアイドルを見ていた気がする。

そして、何故か毎年のようにぱすぽはTIF以外の会場のイベントをセッティングし、僕もTIF以外のイベントとTIFを回していた気がする。サマーランドでのイベントとか、ららぽーと柏の葉でのリリースイベントとか。

 

AKBの頃からの仲間と、初期のころは今は亡き大江戸温泉物語に泊まり込み、その後は会場周辺で民泊していた。朝から晩まで、別につるむでもなく、見たいものが重なれば一緒に見ていたりもしたし、ひとりの時間が長かったりもして、日中はいろんなアイドルを見て、そして夜は同じところに集まって酒を呑みかわし、アイドルの話、そうでない話、馬鹿みたいに話をしていた。

そうやってTIFの2日間、のちに3日間になったが、それを過ごしていた。

そして毎年最終日は約束の丘(スマイルガーデン)に(酒やある年はオレンジジュースを持って)集まり、遠くで近くでステージを見ながら騒ぎ、そしてグランドフィナーレには背を向けてとっとと宴会場へ行き、やっぱり呑んでいた。

 

TIFというのは1年に1度の、僕らにとってのお祭りだった。

僕らは1年に1度、お台場、約束の丘に集まり、あらゆるアイドルを愛でる。

そうやって2日間か3日間を過ごし、それ以外の362日、363日を死んだように過ごし、そしてまた約束の丘に集まる、それがアイドルヲタクたる僕たちだった。

僕らにとってのハレの日、それがTIFだった。

 

ぱすぽは毎年、TIFに向けて牙を研ぎ、そして本番では1人でも多くの客をかっさらわんと、とんでもない気合でステージを展開していた。

ぱすぽのホットステージはいつも良い、そんなことを勝手に思っていた。TIFはいつもどうしようもなく素敵な思い出だった。

ぱすぽ、サンミニ、まあ当たり前のように毎年出ていた。

佐野友里子のしょうもないヲタクだった僕は、何かが去り何かが来る毎年のTIFで変わらず、永遠を象徴するかの如く微笑みながら待っている佐野友里子さんに、毎年のように会いに行っていた。それこそTIFでしか会わない年もあったような気がする。

 

TIFに出るのが当たり前ではない、TIFに出る出られないで一喜一憂する、そんな世界線を知ったのはASTROMATEからであった気がする。

初年度、結成して数か月でなぜかお呼ばれしてしゃちフェスなんて大きなイベントにも出ていたが、TIFは本出場は叶わず、何故か縁日なる特典会コーナーだけ参加していた。

もちろんチケットを買っていないと中には入れない。僕はあすとろ云々に関係なく通し券を買っていたから何の問題もなかったが、それはそれは閑古鳥が鳴きすぎるくらいに鳴いていた。

そして、会場近くの商業施設のデッキでやっていた、別のアイドルイベントに出ていた。それはそれで夏の思い出だった。

 

2年目は誰も出られると思っていない中で、何故か早々に出場がコールされていた。

とにかく夏の暑さに弱いもっちゃんは、なんとか本番中は持ちこたえていたが、その後に確か体調を崩していた気がする。そして特典会ではただ「たのちかった~」と言っていたが、ステージでの自らの不甲斐なさに涙を流していたとか。

 

3年目にはあすとろはもうなかった。

コロナの世でもあった。確か無駄に配信チケットを買って、家で見ていた気がする。こんなものはTIFではない、と思ったことを覚えている。

 

一昨年、去年、TIFをどうしていたか覚えていない。少なくとも金は出さなかったし、碌に見ちゃいなかったのだろう。

だから、僕にとっては3年ぶり、11回目のTIFだ。

 

夏のとんでもない暑さに身を焦がされる、朝いちを除いてアルコールを口にしたら死ぬ、そんな過酷であまりにも気持ちの良い、僕たちの夏、僕たちの祭り、TIF。

その太陽の下、風が吹く中、酷暑の中、好きなアイドルを見る。それだけでもうすばらしい夏なのだ。

そんな中で、たくさんのヲタクの度肝を抜き、ここをステップにのし上がる、そんなものもかつてはあった気がするが、もはやもう都市伝説なのだろう。現場でのし上がるなんてことはきっともう昔のようには起きない。きっと昔とは売れるための要素というのも違う。今も昔も僕は売れるには何が必要かなんてわからない。ポンコツなをたくだ。

 

それでも、そこで力と技の限りを尽くし、とんでもない気合で、ひとりでも多くのをたくを食いつくさんとするひとさいを、望月さあやを、その輝きを目に焼き付けて、素敵な2023年の思い出としたいのだ。

僕らの夏をひとさいにしてほしいのだ。夏の空の下(屋外のステージに出られるとは限らないのだが)、ひとさいをみながら拳を突き上げたいのだ。ひとさいで染め上げてほしいのだ。そして、のし上がってほしいのだ。

いつか、何年か後、2023年のひとさいは素晴らしかった、そういう思い出話をしたいのだ。

 

それでは、TIF2023最終日、約束の丘で会いましょう。

そのために1年のうち364日を死んだように過ごしてきたんだろ?