7月上旬に秋田の実家が水害にあった。

床上約60センチの浸水だった。

急きょ私と妹が帰省し、90近い両親の生活再建を行った。


私はこの2ヶ月半で4回帰省し、大工仕事、家財整理、役所関係、引っ越し作業などを行い、今日ようやく一段落したので、気持ちなどを記しておきたいと思い筆を執った。


両親は結局、90年近く生活してきた秋田を離れ、妹の住む愛知に引っ越すことにした。そろそろ老々介護も限界に近づいてきたと感じていたことや、水害のリスクは今後も高まり続けるだろうと予想できたことが大きな要因だった。


私は実家の処分を受け持った。

過疎化スピードの早さで日本の代表みたいに言われるような場所だ。

不動産売買のマーケットはほぼ無い。

最初から仲介に頼らず、中古物件を買い取ってリフォームして再販するタイプの不動産屋に相談しにいったが、水害物件は今多すぎて扱えないと申し訳なさそうに断られた。

町役場の空家バンクにも相談しに行った。査定に来てくれたのだが、審査結果は登録不可と言うことだった。修復は私の大工仕事でほぼ完璧に出来ていたにも関わらずだ。

理由は聞かされていないが、再び水害リスクのある物件を役場で仲介は出来ないと言うことだろう。


なんだよ、過疎化対策だのなんだのっていろいろと対策をうってるようだけど、やってるフリしてるだけなんじゃないのか。

と心の中で呟いてみたりしたけど、抗う元気はなかった。

まあ、予想はしていたが残念な気持ちで一杯だ。


結局売れもせず、貸すことも出来ず、我々の別荘兼倉庫と言えば聞こえは良いが、長男である私にとって、メンテコストと固定資産税がかかるだけの負の資産となった。


しかし、見回してみると、同じ様な話はあちこちから聞こえてくる。

実家の空家問題、地方の過疎化、墓じまい、お寺の廃業等々。

これらの社会問題に最近は水害が拍車をかけてるんだと言うことを今回改めて実感した。


救いだったのは、両親が相当な心労に晒されながら比較的元気に引っ越しを乗りきったことだ。


これから新しい終の棲家で老夫婦の新生活が始まる。