プラチナ製剤感受性の再発漿液性卵巣癌に対し、PARP阻害薬olaparib(オラパリブ)単剤による維持療法で全生存期間(OS)が延長することが、フェーズ2試験Study 19のアップデート解析で明らかになった。

またBRCA1/2遺伝子変異を有する患者で有効性が高かった。

6月3日から7日まで米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(2016 ASCO)年次集会で、英国University College LondonのJonathan A. Ledermann氏らが発表した。

 Study 19は、プラチナ製剤を用いた治療を2回以上受け、最終のプラチナ製剤レジメンでCRもしくはPRが得られた患者(265人)を対象に、
olaparib400 mgを1日2回もしくはプラセボを1日2回投与した。


 この結果、olaparib単剤の維持療法は、プラセボに比べて、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し(ハザード比0.35、p<0.0001)、BRCA1/2遺伝子変異を有する変異型患者ではよりolaparibによるベネフィットを得られることが示されている(ハザード比0.18、p<0.0001)。

また次のラインの治療もしくは死亡までの期間がolaparibの投与で有意に延長することも報告されている。


 副次評価項目のOSに関しては、2012年11月26日をカットオフ日とした2回目の中間解析では、FAS(Full Analysis Set)でolaparibによるOS改善は認められなかった(死亡イベント58%、ハザード比0.88、95%信頼区間:0.64-1.21、p=0.44)。


 今回は2015年9月30日をカットオフとし、患者の77%が死亡した時点のアップデートしたOS結果が報告された。 


 解析の結果、OS中央値はolaparib群29.8カ月、プラセボ群27.8カ月で、ハザード比0.73(95%信頼区間:0.55-0.96)、p=0.02483だった。BRCA変異型患者ではそれぞれ34.9カ月、30.2カ月、ハザード比0.62(95%信頼区間:0.41-0.94)、p=0.02480だった。

なお解析では統計的有意差の基準としてp<0.0095が事前に設定されていたため(両側検定α=0.95)、いずれも有意基準には達しなかった。

またBRCA野生型の患者では24.5カ月、26.6カ月、ハザード比0.83(95%信頼区間:0.55-1.24)、p=0.37だった。


 維持療法の後の次の治療までの期間(TFST)および維持療法後、2番目の治療までの期間(TSST)はBRCA変異型、BRCA野生型ともにolaparib群で有意に良好だった。


 フォローアップ期間中央値5.9年で、olaparib群では15人(11%)が、プラセボ群は1人が治療を継続。

BRCA変異型患者ではそれぞれ8人、1人が治療を継続していた。

またolaparib治療を5年以上受けた患者は13%、BRCA変異型患者では15%、野生型患者では12%であった。


 安全性プロファイルは、2012年の結果と変わりなく、新たな骨髄異形成症候群(MDS)/急性骨髄性白血病(AML)例はなかった(olaparib群2人、プラセボ群1人)。

olaparib群の主な有害事象は悪心、倦怠感、嘔吐、貧血で、2年以上治療を受けた患者での発現頻度は全患者の結果と変わらなかった。



 以上の結果から、プラチナ製剤に感受性のある卵巣癌患者において、olaparibによる維持治療はプラセボに比べ生存改善に有効であったとした。