日々春が近づいているようです。
草むらの中の雑草でさえ、力強く青々とした新芽を覗かせていますね。
‘春を探しに散歩しようかな~‘と思いながらも、引きこもり中の私です。
では新生血管のお話、もう少々お付き合いください。
…私はこのシリーズで「ゴチャゴチャ書いて」おりますが、興味のある部分だけ拾い読みしてくれればいいなぁ、程度に思っています。
正直8割以上は‘別にわからなくても良い‘内容です。
ですが、これから化学療法を受ける方や治療中の方が「もう少し詳しく知りたい」と思った時に「必要なところだけ」読んで
少しでも心のモヤモヤが晴れればいいな~、という趣旨で書いているだけです。
私を「メガネをかけて白衣を着ている、真面目な理系のオバサン」と思っている方、
ぜんぜん違うキャラですよー笑
好きな色はピンク。キャラクターの小物大好き♥。仕事用のボールペンの頭にはキティちゃん…
ただ、最近はあまりにも似合わないので表立ってはしておりません。
ヒッキーのくせに車を運転すると、右側車線を国道でも80K以上で走ります。
高速に乗ったら…最近は体調の事もあるし、疲れるようになったので100kで抑えてオトナシク走るようになりました。
人を笑わせるのも何気に好きです。社交的に思われがちですが、ヒッキーが好きです。
ハチャメチャですが「自分が良ければ、全て良し。うん!」と心の底から思える‘自己中人間‘
こんな私の、ほんの一面が「がんを知る」のブログです。誤解されている方がいたとしたらゴメンナサイ。
私こと‘ざき‘の実態は
「細かくこだわるのは、趣味の手芸だけでーす」「薬剤師は、私が出来る仕事の中で一番お金になるからしているだけでーす」
と、本音をバンバンいう言う、男らしい(笑)中にエラクいい加減な部分を持つ不思議な人間です。
世の中の人々を「真面目」「真面目でない」の2つに分けるなら、間違いなく「真面目でない」方に入りますね。 ← 隣で娘も頷いております…
ただ医薬品情報を文章にするには「いい加減では済まされませんので」
ものすごく真面目に取り組んでいるのでご安心ください。
…これも実は自分が勉強してるんですよ。一番整理されてきたのは、私の頭なんです…
はい、では本日のお勉強に入りましょう。
今日のポイントは、下記の単語の意味がわかることです。
① 活性化因子 ② 受容体 ③ VEGF ④ bFGF
さあ、これは化学療法を受ける方には知っていただきたいですね。
知識があれば理解できて、わからないことから来る「不安=ストレス」の解消のひとつになるかと思います。
研究が進むにつれて、がんが成長し広がり続けるためには血管の新たな形成(血管新生)が必要であることがわかってきました。
「本当に血管新生が起こるとがんが増殖し続けることができるか」を解明するために様々な実験がされました。
下のスライドの実験を見てください。
これは「がん細胞または周辺組織からの分子が、血管新生開始に関与しているかを解明する実験」です。
細胞が抜け出せない小さい穴を開けた入れ物にがん細胞を移植
↓
このような条件下でも、移植部位の周辺で血管新生が始まった
※ がん細胞でつくられた小さい活性化分子が入れ物から抜け出して周辺組織での血管新生のシグナルとなったとわかりました。
( やっと、血管新生の「シグナル」が、出てきましたよ~。)
では、今回は15秒でわかる「シグナル伝達」をご覧ください 日本語です
‘外からの情報を受け取るたんぱく質‘を「受容体」
‘情報を発する側の物質‘を「活性化因子」 と呼びます。
研究の結果、「血管新生作用がある」物質は、10数種のタンパク質のほか、いくつかの小分子にことが確認されました。
腫瘍がこれらの物質を血管新生のシグナルとして放出することがわかっています。
その中でも、血管内皮増殖因子(VEGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の2種類のタンパク質が腫瘍増殖を維持するためにもっとも重要であるらしいことも示されました。
VEGFとbFGFは、多種のがん細胞でつくられるほか、正常細胞の一部でもつくられます。
☆体内でつくられる血管新生活性化因子(一部)
…この部分は無視して飛ばしてください。たくさんの種類があることを伝えたいだけですので。
タンパク質
酸性線維芽細胞増殖因子
アンジオジェニン
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)
上皮成長因子
顆粒球コロニー刺激因子
肝細胞成長因子
インターロイキン8
胎盤増殖因子
血小板由来血管内皮増殖因子
細胞分散因子
形質転換増殖因子α(TGF-α)
腫瘍壊死因子α(TNF-α)
血管内皮増殖因子(VEGF)
小分子
アデノシン
1-ブチリルグリセロール
ニコチンアミド
プロスタグランジンE1およびE2
● 血管内皮増殖因子(VEGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)
・VEGFやbFGFは、腫瘍細胞内でつくられその後周辺組織へと分泌
⇒ 内皮細胞に到達し、それぞれに特定のタンパク質(つまり受容体)に結合
⇒ 細胞の外側表面に定着
・VEGFまたはbFGFのどちらかが適切な受容体に結合
⇒ シグナル伝達を担う一連のタンパク質が活性化し、内皮細胞の核へとシグナルを伝達
・核に伝わったシグナルは、最終的に遺伝子群に働きかけ、新たな内皮細胞の成長に必要な物をつくりだす
この一連の動きを下の動画で見てください。
字幕部分は書き出しましたので、参考にしてください。
<Tissue Invasion and Metastasis 組織侵入と転移>
Malignant tumor 悪性腫瘍
Tumor cell 腫瘍細胞
Blood vessels 血管
Lymph vessel リンパ管
Basement membrane 基底膜
ECM(細胞外マトリックス)
Collagen fibersコラーゲン線維束…細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分
Nucleus 核
Extracellular space 細胞外空間
Epithelial cell 上皮細胞
Weak adhesion 弱粘着
血管新生の一連のプロセス~ 腫瘍細胞が組織へ侵入し 別な場所で増殖をするまで~
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このように「がん細胞」は自分自身で血管を作り出し、その血管使って自分の勢力を広げて行く「スゴイ能力」を持っています。
‘私の卵巣で、こんなことが起こっていたんだ‘と、少し感慨深く感じてしまいまうのは、私だけでしょうか?
先ほどの動画を思い出しながら、下のスライドをご覧ください。
VEGFおよびbFGFにより内皮細胞が活性化されると、血管新生への一連のプロセスが開始されます。
まず、活性化した内皮細胞が特殊な型の分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)をつくります。
これらの酵素はその後内皮細胞から周辺組織に向けて放出されます。
MMPは細胞外基質(マトリックス)を分解します。
(細胞外基質とは、細胞間を満たす支持物質で、タンパク質や多糖類で構成されます
→動画にあった、リボンの様にヒラヒラしているモノが、主成分のコラーゲン線維束です
細胞外基質が分解されることによって、内皮細胞は遊走(移動)が可能となります。
周辺組織へ遊走すると同時に、活性化した内皮細胞は分裂を開始します。
やがて内皮細胞は管を構成し、それが徐々に血管網へと成熟します。
多くの腫瘍が、VEGFやbFGFなどの血管新生分子をつくりますが、これだけで血管形成が始まるわけではありません。
正常な細胞ではさまざまな血管新生阻害因子が血管形成を抑制していて、血管新生の開始には、VEGFやbFGFのような活性化因子がこれらに打ち勝つことが必要なのです。
血管新生阻害因子とVEGFやbFGFなどの血管新生活性化因子の濃度は、極めて緻密なバランスの上に成り立っています。
このバランスにより腫瘍が新生血管の成長を誘発するかどうかが決まります。
血管新生の引き金が引かれるのは、活性化因子の生成が増加し、阻害因子の生成が減少したときです。
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では、今日はこの辺で。
暫くしていない、私の今の状態等は次回でさせて頂きます。