このほど、最高裁人事局から裁判所における新たな人事評価の本格実施についての概要が示されました。


先に成立した改正国家公務員法では、抜本的な公務員改革の柱として、新人事制度の確立、多様な人材の確保、適正な就職ルールの確立、組織パフォーマンスの向上などが掲げられているわけですが、その中核をなす改革です。

職員を職務遂行能力に応じて等級に格付ける能力等級制度を新たに導入し、任用、給与、評価の基準として活用していこうとするものです。


裁判所では、これまで幹部職員等一部の職員を対象に、職員の人材育成及び任用に活用するための新たな人事評価の試行が行われてきたのですが、これまでの試行の検証結果などを踏まえたうえでこれを他の職員まで拡充するようです。夏から秋にかけて実施されるようです。


今後の評価の枠組みは、従前の評価者による一方的な客観的事実に基づく評価から、一定の評価期間において期首面談、自己評価、期末面談を通して被評価者と評価者とがコミュニケーションを密にとり、より公平性、透明性、納得性の高い人事評価制度を構築するとともに、評価者から被評価者に指導、助言を行う機会を定期的に設け、きめ細かい人材育成を実現しようとするもののようです。


まず、期首面談で目標を定め、一定期間内に達成できたか否か、自己と評価者により期末面談において評価し、足りなかった部分について評価者と被評価者においてその原因を追及するといった過程を踏むことによって人事評価についてこれまで以上に双方に納得がいくものとしていこうという意向のようです。


これまであまりにも評価者と被評価者との間で人事のことについて話をもってきませんでしたね。人知れず、評価者は被評価者の日常業務を観察して評価するのみ。まあ、そのヒトが優秀なのかどうなのか、おのずと感覚的にわかるものですが(特に管理職たる者その手の人を見る目は鍛えられているわけですからね)、ただ、その人に足りないもの、補ったら伸びると思われる部分については表だって指摘するということはしてこなかったのはもったい対応だったんだと思います。

なかなか自分の欠点は自覚できませんから。そういった人材育成について今回の改革は評価される部分でしょうね。

ただ、評価方法についてはなかなか難しいでしょうね。従前からも管理職は悩みの種だと思いますが、我々の仕事はどちらかと言えば、生産性があるわけでなく、申立した側が生み出したものを掃いていくという受け身の仕事なわけでして、なかなか目標、目に見える数値目標というのが設定しずらい。知識が豊富、経験が豊かといったことが即評価につながるわけでもありませんし。


とにかく、公務員の世界もお気楽でやっていけるわけではなくなっているという現状を認識しておかないとガラパゴスのように取り残されてしまうことになってしまいます。