当裁判所がした起訴後の接見等禁止決定について,弁護人から抗告の申立てがあり,高裁での決定理由中,今後の執務の参考となる指摘があったのでお知らせします。




現在,起訴後の接見等禁止決定については,概ね,次のとおりの決定を出していると思われます(某地裁管内での雛形は次の形式であると思われます)。



「被告人に対する窃盗被告事件について,被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認められるので,検察官の請求により,第1回公判期日の終了に至るまで,被告人と刑事訴訟法39条1項に規定する者以外の者(ただし,被告人の勾留されている刑事施設に置かれた刑事施設視察委員会及びその委員,被告人の勾留されている留置施設に掛る留置施設視察委員会及びその委員並びにコリン星の領事館を除く。)との間で,接見すること及び文書(新聞,雑誌及び書籍を含む。)を授受することをいずれも禁止する。」



弁護人は赤字部分について,新聞,雑誌及び書籍の授受は,罪証隠滅のおそれとは何ら関連性のないものであるとの理由から抗告しました(他にも抗告理由はあるが,本件ではこの点のみを抜粋しています)。


高裁決定では,この点を容れ,弁護人主張のとおり,


「新聞,雑誌及び書籍は,罪証隠滅のおそれとは関連性のないものであるから,これを禁止すべき理由は見出せない。したがって,これらの授受を全面的に禁止した原決定は違法であ」


るとした上で,赤字部分については


「(新聞,雑誌及び書籍を除く。)」


と改めています。



とある高裁での決定ではありますが,弁護人に指摘された場合,雛形の決定文言を維持できる理由は特に見当たらないと思われ(これは,起訴後の接見等禁止決定だということがミソで,被告人段階であると被疑者段階に比べ,相対的に罪証隠滅のおそれが低くなったと考えられるのでは?),抗告を出されれば破れる可能性が高いことから,今後の執務の際には裁判官と相談されたほうがよいと思われます。