モニター尋問、民事にも導入=犯罪被害者支援で法制審部会

1月26日17時2分配信:時事通信


法制審議会(法相の諮問機関)の民事訴訟法部会は26日、裁判の証人や当事者が法廷から離れた場所でテレビモニターを通じて裁判官の尋問に答える「ビデオリンク」を、民事訴訟にも導入する要綱案をまとめた。犯罪被害者支援の一環で、性犯罪事件の賠償請求などで被害者が加害者と直接顔を合わせる精神的負担を軽くするのが狙い。
法制審は2月の総会で長勢甚遠法相に答申を提出。法務省はこれを受け、通常国会に民事訴訟法改正案を提出する。


刑事裁判では先駆けて被害者等証人の負担軽減のために,ビデオリンクシステム方式による証人尋問に加え,証人と被告人,傍聴人との間を遮へい板を置いて尋問を行う,証人に付添人をつけて尋問を行うと言ったことを行っている。


157条の2第1項   
裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。


157条の3第1項
裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。


157条の4第1項
裁判所は、次に掲げる者(*性犯罪の被害者)を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。

法廷外の別室に証人を在席させたまま映像と音声の送受信により尋問を行うビデオリンクシステム方式は,刑事訴訟法上,性犯罪の被害者に限っているが, 証人と被告人あるいは傍聴人との間に遮へいの措置を講ずることは,罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合にできるがあると規定して,犯罪によって限定を加えていない。
このようなこともあって,実務では遮へいの措置を講ずる方式を利用することが多い。
例えば,暴力団が絡んだ事件などで,被告人と証人の間で上下の関係があり,被告人の面前ではなかなか証言がしづらいと言ったケースなどがある。
証人の出頭を要請する検察官としても,被告人は見えないからと納得させやすいのかもしれない。