塀の中から被害者周辺に脅迫状、検閲素通り…服役の男

(2006/12/09:読売新聞)


暴力行為の疑いで逮捕された男が、拘置中に被害者周辺の住民に脅迫の手紙を送り付けたとして、栃木県警に脅迫容疑で逮捕されていたことが8日わかった。

 少なくとも23通が、拘置所と刑務所の検閲をくぐり抜けて送られていたことがわかっており、検閲が不十分だった可能性が高い。

 男は、栃木県大田原市の黒羽刑務所に服役していた岡三男受刑者(54)。

 調べによると、岡受刑者は2003年2月、近くの工場に「音がうるさい」と農機具を持って押し掛けたとして暴力行為の疑いで逮捕され、公判中の04年5月ごろ、拘置されていた東京拘置所(東京都葛飾区)から工場周辺の住民に「オレをチクッた(密告した)あんたたちを許さない」などと書いた手紙を送り脅迫した疑い。那須烏山署に被害届が出され、今月4日、逮捕された。


東野圭吾原作の「手紙」(現在,映画公開中 )に描かれていたが,拘置所,刑務所に収容されているから外部へ手紙を送る際には,「検閲」を受ける。「検閲」を受けた手紙には欄外に検閲印が記されている。

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何が適当な内容かは収容施設側で取り決めがあるのだろう。

察するに,犯罪を誘発することをはじめ,施設内の内部の者しか知りえないこと,施設内の風紀を乱すようなことなどが禁止されているのだろう。

収容施設では一日に何十通,何百通もの検閲をするのだろう。

人それぞれ独特の字体であるから,その内容の理解には困難をともなうと察する。

今回,脅迫文が発信されていたということだが,はっきりと危害を加える旨が書かれていない,ぼかした表現であったため,検閲を通過してしまったのかもしれない。


ところで,裁判が終わった後,受刑者の身になったかつての被告人から裁判官へあてて手紙が送られてくることがある。

しっかりと検閲印が押されている。

事件を悔いていること,反省していること,刑作業の様子などが記されているならばいいのだが,大概,裁判終了後に出される手紙はポイントがちょっと違っていて,ファンレターに近いものや,恨み,つらみが記されているものが多い。

また,カウンセリング,はたまた細○数子の鑑定と勘違いしているのか,人生相談じみたものまである。

届けられた手紙は書記官室でも「検閲」しているのだが,裁判官に応答を求める手紙を,はたして裁判官へ見せたものが良いか,悩みどころだ。

裁判官は,法廷でしかモノを言わない存在,立場なのである。手紙に応答することはしないのだ。

被告人にはそのことを理解していほしい。

「検閲」は手紙の内容が適当か否か確認する作業である。