ちょっとおそまつですな。


痴漢容疑で逮捕の高3「無罪」 東京家裁支部が不処分

(2006年12月04日:asahi.com)


電車内で痴漢行為をしたとして現行犯逮捕された高校3年の少年に対して,東京家裁八王子支部は「少年が痴漢をしたと認定できない」として,不処分の決定をしていた。


裁判官は「供述調書は内容が一貫しておらず、捜査当局がでっち上げた可能性がある」と指摘した。


少年は警察官から「認めなければ10日間,勾留され,学校には行けない」,「10日も学校を休めば、痴漢で逮捕されたことも明らかになり、卒業できない。認めれば、釈放され、裁判所で処分を受けても学校には分からないだろう」などと言われ,自白の供述調書を作成した。


裁判官は,検察官の調書は「被害者の女性が少年の手をつかんで『この人、痴漢です』と突き出した」とあったが,警察での少年の調書も被害者の調書も「少年を指さした」だった。また,両手で触ったとする調書と「手提げカバンを持っており、両手で交互に触った」とする調書もあり,供述が不合理に変遷したいたため,信用性が薄いと判断したようだ。



捜査の段階では,警察官つづいて検察官が被疑者を取り調べ,聞き取った供述を「供述調書」という書面に録取する。

この「供述調書」は逐語録,つまり,質疑の内容がそのまま記録するものではなく,供述した要旨を捜査官が記録する書面である。要領よくまとめるものだから,内容が概ね供述者の供述に沿うものになっていても,そこには往々にして書面の文面を作成した者の主観が混在する可能性がある。しかも文面を作成したのは捜査官であるにもかかわらず,「供述調書」の作成者はあくまで被疑者であるのだ。これがしばしば「供述調書」が捜査官による作文であると言われるところだ。

今回の件が,単に捜査官による作文であると記事を鵜呑みにして断じることはできないが,少なくとも警察官,検察官との取調べでの供述が齟齬しているのであるから,その点についてフォローすべきだったのではなかろうか。



気に入っていただけたらおひとつクリック→人気blogランキング