
1兆円を稼いだ男の仕事術/夏野 剛

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ぼくの評価


(夏野さん特有の仕事に対する姿勢が垣間見れておもしろいです)
ぼくが初めて夏野さんを知ったのはGyaoでやっていたリアルビジネスという番組(Yahoo!との統合により現在はない)なんですが、
第一印象としておもしろい語り口調をする人だなあと感じました

Gyaoを見ていて思ったのですが米国でMBAを取得されて、さらにドコモの執行役員まで務めた非常に頭のキレる方なのにギャップを感じさせるユーモアたっぷりな話口調にちょっと惹かれてしまいました。
ビジネスの場でもこんなユーモアあふれるしゃべり方ができたら、もっと人とのつながりも変わってくるかなあなんて一人で考えてしまいました。
本書はモバイルの話というよりはどちらかというとタイトル通り、自己啓発に近い内容となっています。
仕事との向き合い方や将来設計、次の時代に求められる人材の考え方などが紹介されています。
本書で初めて知ったのですが、iモード立ち上げ時にマッキンゼーが関わっていて、そのマッキンゼーの責任者がディー・エヌ・エーの南場智子さんだったとは知りませんでした。
あー、なるほど。
だから南場さんはいてもたってもいられなくなってディー・エヌ・エーを創業されたんだなあとか、南場さんとモバイルの接点をあれこれ考えてしまったり

iモードトリオvsマッキンゼーという章がおもしろくて、iモードのビジネスモデルについて白熱した議論をしたそうですが、争点はiモードというプラットフォームにCPがコンテンツを提供して家賃徴収をし、いいコンテンツがあればドコモが買い取るというビジネスモデルと今の形であるCPの料金回収の代行システム。
前者のビジネスモデルを考えたのはマッキンゼーで、かたくなにiモードトリオはそれを拒んだとあります。
今考えれば確かに今のビジネスモデルの方がドコモとCPにWIN-WINの関係を作れるし、さらにコンテンツの競争を促進することもできるので確かな判断だったのだと思います。
前者のビジネスモデルはいわゆる楽天型のビジネスモデルですが、ECならまだしもこれをコンテンツの世界に持ち込むのはCP側にとってみると当時としてはいささかハードルが高いように感じます。
このやりとりがされた時期は明確に記載されていませんが、iモードが立ち上がる前なので軽く見積もっても今から11~12年前の話だと思います。
今となれば結果も見えているので簡単に答えの出る話ですが、当時からしたらずいぶん先に進んだ議論を両社はしていたんだなあと感心してしまいます。
それともうひとつ。
ドコモに転職される前に在籍していたハイパーネットの話の中で、あのマイクロソフトのビル・ゲイツ氏がハイパーネットに「ぜひ、話を聞きたい」と面会を求めてきたという事実の方が驚きました。
ぼくはその当時、まだ高校生になりたてくらいの頃だったのでハイパーネットどころかIT革命の盛り上がりすらももちろん知りません。
ハイパーネット代表の板倉さんの経歴やサイバーエージェント藤田社長の当時のブログなどを読んでいると、まだ当時学生だったぼくの知らないところで日本のIT業界では大変なことが起こっていたんだなと改めて感じます。
現在はドワンゴの役員としてだけではなく、様々な企業の社外取締役としてご活躍されている様子。
最近ではGREEの社外取締役に就任するという記事もありました。
40代も半ばになる夏野さんですが、やはり本当に優秀な方というのはいくつになっても向上心が高いんですね。
ぼくはけっこうなニコニコ信者(笑)なので、夏野さんの今後の動きにも注目していきたいと思っています。
