
スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則/ハワード・ビーハー

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ぼくの評価




(企業で働く上で大事なこと、会社とはなんのために存在するのか、そんなことが学べます)
企業とは人であり、顧客とは人である。
スターバックスの理念を一言で表現すれば、「人」ということになる。
決して、おいしいコーヒーにただこだわり、それを多くの人に買ってもらおうなどという野心は微塵もない。
コーヒーは通過点。
人を癒したり、ほっとさせるほんのひとときの瞬間を「淹れたてのコーヒー」で満たしている。
さらにその癒しを満たすためには豆にもこだわるし、メニューにもこだわる。
ぼくは本書を読むにあたって、最初のまえがきからあとがきまでのすべてをスターバックスで過ごした。
本の中の世界とまわりでたちこめるコーヒーの香りがこの上なくリンクする。
どうしてスターバックスに入ると安心するのだろう。
それはまさに心からのホスピタリティ精神が店中に漂っているからではないだろうか?
空気だ。
例えば問題が起きた社内の空気はピリピリしたりする。
仕事をしていると、社内の空気は絶えず変化し、ぼくらの心を揺さぶる。
そんな帰り道。
スターバックスの前を通ると、思わず寄り道してしまうのは、
そのあたたかい空気を吸い込んでから家路に着きたいと思うからだ。
少なくともぼくはそうである。
本書を読んで一番感動したのは、米国スターバックスの店舗で強盗殺人事件があったときのエピソード。
3名が死亡したこの痛ましい事件が起きたとき、CEOであるハワード・シュルツはたまたま近くの東海岸におり、
すぐさまワシントンDCにかけつけた。
ハワードは自分や会社を訴訟から守ることや、スポークスマンの影に隠れることもなく、緊急事態マニュアルに頼ることもなく行動したという。
スターバックス会長兼CEOとしてではなく、一人の人間として被害者の家族、スターバックスのパートナー、コミュニティーと共に時間を過ごした。
そしてその行動はすべての人に伝わった。
ぼくはこのエピソードに深く感動した。
その他にもある。
ある社員が社長室を訪ねてきて自分の重症を打ち明けた。
その時、ハワードは会社が必要な保健をすべてカバーするということ、そして彼には好きなだけ長く会社で働いて欲しいと言ったそうだ。
一瞬の疑問も、一瞬の迷いもなく言い放ったという。
誰かに確認するわけでもなく、財務的な影響を調べることもなくだ。
こんな社長の下で働けたらどんなに幸せなことだろう。
自分に当てはめてみればその重みがわかる。
ぼくだったら、そんな恩をもらったらなんとしてもスターバックスで恩返しをしなければと素直に思う。
この社長のために一生をかけてでも恩返しをせねばという強い衝動に駆られるだろう。
スターバックスは足を運んでくれるお客さんはもちろん従業員まですべての人に優しくてあたたかい。
だから、スターバックスは癒される場所なのだ。



