2020年11月2日健康情報 367 認知症の原因は運動不足より「座る」時間
●座りがち生活の悪影響
・ 最新知見を掘り出した研究は、認知機能が正常である男女被験者35人(45~75歳)の協力を得て行なわれた。まず、各自の日常的な運動量を問い、過去1週間の1日当たりの平均座位時間についても申告してもらった。
・ 次に脳のMRI検査を実施し、「記憶の形成」に関わる部位の解析を行なった。具体的には、内側側頭葉(medial temporal lobe)と小領域(subregion)の皮質の厚さと運動量の関連を、さらに各被験者の座位時間との関連も詳細に調べた。
・ 解析の結果、日頃から座っている時間が長ければ長い人ほど、「記憶の形成」に欠かせない内側側頭葉と小領域の皮質が薄い事実が判った。
日常の座位時間をいかに短くするか、その自覚と実践が「アルツハイマー病やその他の認知症を予防するカギとなる」と推奨している。
●日本人こそ、立ち上がれ!
・かつてNHKの『クローズアップ現代』で「『座りすぎ』が病を生む!? 『座りすぎ』に注意」という特集が組まれ、趨勢となりつつある世界の取り組みを紹介した回があった。
・「オーストラリア人よ、立ち上がれ!」と国が警鐘を鳴らし、高さ調整が可能な机の導入で立ちながら授業を受けられる小学生たちの様子が報じられていた。
・ 一方、エコノミック・アニマルという過去の異名(蔑称!?)が健在なのか、わが国(民)は今日でも「座りすぎ大国」と呼ばれて、20の国や地域比較でも「7時間」の最長国だ。
・前述のように、従来の研究でも座位時間の長さと心臓病や糖尿病との関連、あるいは早期死亡リスクが高まる点は指摘されてきた。
・こうした忍び寄る健康リスクへの懸念から、日本でもスタンディングデスクを導入する企業も増えつつある。
・運動不足が真の原因ではなく、座ること自体が諸悪の根源かもなんて、そこまで斬新な示唆に傾聴/反映できる日本人経営者がいったい何人いるか。