2011年2月10日
1、2011年2月1日~10日 日々の映像
2011年2月1日 アドバルーンは予算の成立後にしてほしい
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2011年2月2日 買い物弱者600万人の支援試行
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2011年2月3日 うなぎの神秘 卵の採集に初成功
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2011年2月4日 野球賭博の次は八百長相撲
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2011年2月5日 1月の食料価格指数は過去最高、自然災害でさらに上昇
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2011年2月5日 異常気象 超大型サイクロン、豪州北東部に上陸
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2011年2月6日 活字から育つ生きる力
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2011年2月7日 鉄鋼再編 国際競争激化が促した大合併
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2011年2月8日 エジプト情勢 その背景にあるもの
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2011年2月9日 陸山会事件 国民感覚との大きな遊離
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2011年2月9日 家電量販店:5社が最高益
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2011年2月10日 東証上場企業:50%増益 業績回復鮮明に
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2、ネバタ・レポートIMF日本管理プログラム
http://www.ihope.jp/nevada.htm
3、郵貯・簡保の崩壊について
http://www.ihope.jp/post.htm
2005年8月8日夜、参議院本会議での郵政民営化法案の否決を受けて、小泉首相は衆議院を解散しました。
「郵政民営化」問題は、今の日本の経済と社会が抱える根本的な問題に対して、どのようにアプローチするのかを問うものです。
この問題を考える上で、ぜひ一読しておきたい本をお薦めします。
『郵貯崩壊』(仁科剛平著 祥伝社)は、「国が『民営化』を急ぐ本当の理由」の秘密を暴きだしています。
<1000兆円の国の借金を支える郵貯・簡保>
まず前提的に押さえるべきことは、郵政民営化は、莫大な赤字を抱えた日本の国家財政が破綻するかどうかの瀬戸際で問いかけられている大問題だということです。
日本の郵便貯金(郵貯)と簡易保険(簡保)の残高合計は345兆円、日本人の個人金融資産の四分の一を占めています。
東証一部上場企業の株をすべて買い占めることができるこれだけ莫大な資金は、政官財の癒着のなかで利権ばら撒きの原資となってきました。郵貯・簡保の莫大な資金は、財政投融資制度を通じて非効率な特殊法人に流れ、道路公団や政府系金融機関といった特殊法人が、採算性のない事業にジャブジャブと湯水のように投資してきたのです。
こうした無駄な資金の流れを止めるために、郵貯資金の全額自主運用が2001年度から開始され、戦後一貫して増え続けてきた郵貯と財政投融資の総額は見かけ上減り始めています。
しかし依然として特殊法人は財投機関債を発行し、それが無理な場合は、国が国債(財投債)を発行して特殊法人に資金を供給しており、この財投債を、郵貯・簡保は大量に引き受けているのです。特殊法人が郵貯・簡保マネーに支えられているという構造は未だ何も変わっていません。
さらに深刻なのは、膨らみ続ける国の借金の大部分を、郵貯・簡保が支えているという問題です。
国債や借入金など国の債務(借金)残高が、2005年3月末時点で781兆5517億円となり、これに地方自治体が抱える借金を加えれば、借金の総額は、初めて1000兆円を突破しました。国民一人当りにすると、なんと800万円以上の借金となります。
この数字を見れば、小泉政権の下で叫ばれてきた「構造改革」が、かけ声だけに終ってきたことは一目瞭然です。
そして郵貯・簡保の345兆円のうち、2004年7月末時点で、郵貯98兆円、簡保53兆円の合わせて151兆円、実に総資産の44%が国債に投資されているのです。郵貯に限れば、国債・地方債と財政投融資制度への預託金をすべて合わせれば、資産の実に90%が国や公的機関の借金の原資となっているわけです。
言うまでもなく、財政投融資先の多くは、採算性がとれずに不良債権化している可能性が高いのです。この不良債権も莫大な額の国債も、すべて国民に押し付けられてくる借金です。
今までは、無理に無理を重ねた国の借金も、国民の「虎の子」を預かっている世界最大の「国営銀行」とも言える郵貯・簡保が存在するおかげでなんとか成立してきましが、これが民営化されればどうなるのでしょうか?
<郵政民営化で国の借金の帳消しを狙っている!?>
郵政事業が民営化、株式会社化されれば何が起きるかが問題です。
これまで郵貯・簡保マネーが国や地方自治体の借金の大部分を支えてきたのは、事実上の「国営銀行」だったからで、民営化されれば、巨額の郵貯・簡保マネーは金融市場で運用されることとなります。
この本の中で仁科氏は、主要に次のような問題を指摘しています。
第1の問題は、これまで郵貯・簡保が引き受けてきた大量の国債を誰が引き受けるのかということです。特に2008年は、財務官僚などによって「小渕の呪い」とささやかれている大量の国債発行が強いられる年となります。
98年に小渕内閣が景気対策として発行した10年債の償還のために、134兆円の借換債を発行しなければならず、これに新しく発行する国債を加えれば、180兆円近い国債が買い手を探して市中をさまようのです。
借金の上に借金を重ね、それでも「国営銀行」に買い支えてもらってなんとか維持してきた莫大な額の国債が、いきなりスポンサーを失ったらどうなるのでしょうか? 国債の暴落が起きる危険性が高まるのは明らかです。
これまで国債をもっとも買い支えてきたのは郵貯ですから、国債の暴落はそのまま郵貯崩壊につながりかねないわけです。しかし、既に郵貯は民営化されているから、国はその責任を負わなくてすみます。泣くのは郵貯・簡保に預金してきた国民です。
こうした最悪のシナリオにまでならなくとも、郵政民営化後の第2の問題は、そもそも345兆円もの巨額なマネーを運用するノウハウやシステム、人材などを、民営化したからと言ってすぐに獲得できるのかということです。
例えば、1999年の国会答弁で、当時の郵政官僚は「簡保資金の運用に当ります担当者が約70名ほどおります」と答えています。
仁科氏は、120兆円にも上る簡保資金の運用をたった70人で行うことなど、民間ではありえない、その数十分の一の資産運用を行う投資信託会社でさえ、アナリスト、ディーラー他数百人規模のプロを運用担当に充てていると指摘しています。
こうした体制を整えることなく、とにかく民営化すればなんとかなるという考えは、余りにも無責任です。
郵貯・簡保の巨大資産をハゲタカ・ファンドに食い荒らされるという懸念は、単なる杞憂とは言えない現実味を持っているわけです。
ちなみに、2003年4月1日の郵政公社スタート時点での郵政全体の自己資本はわずか1兆2688億円にすぎません。総資産に対する自己資本比率は0.3%で、郵貯だけに限っても0.6%です。民間銀行ならば即刻営業停止となってもおかしくないほど、既に郵政公社の経営状態は健全ではないのです。
<民営化で一番得するのは誰か?>
民営化するということは、たとえ郵貯・簡保であろうとも最悪の場合、破綻して倒産することもあるということです。
ここで当然のごとく浮かび上がってくる疑問があると仁科氏は指摘します。
2003年5月に、りそなHDが国有化され、1兆9600億円もの税金が投入されました。一方で民間銀行を国有化し、他方でこれまでの「国営銀行」を民営化する。この矛盾した政策の裏側に何が隠されているのかを、しっかりと見極める必要があるという指摘です。
「構造改革」は確かに必要でしょう。しかし、これまで郵政に巣食い、国民の預金や保険を使いたいように使い、利権を貪ってきた政治家、官僚、ゼネコンなどの責任を問わない郵政民営化であれば、その本質は、「民営化して、市場原理の名の下に国の借金の責任を放棄してしまおう」ということにしかなりません。
小泉首相は、郵貯が崩壊して「虎の子」の預金を預けていた国民が泣いても、「これが市場原理というものです。競争というものです。みなさんは自己責任で郵貯・簡保に投資していたのだから仕方ありません」と言えばそれで済むとでも考えているのでしょうか?
民営化推進論者は、「郵貯・簡保のお金が市場に出ることで経済が活性化する」と言いますが、日本はかってない超低金利状態です。超低金利ということは、実態経済がマイナス資金需要下にあるわけで、こんな時に東証の時価総額分ほどの資金が市場にアクセスしたらどうなるのかは明白です。
ほとんどの資金は資金需要旺盛なアメリカに流れ、アメリカ経済を活性化することは間違いないでしょうが、資金需要のない日本では「郵政民営化バブル」が起きるだけです。
80年代末のバブル経済の痛手からやっと回復しつつある日本経済は、再び同じ過ちを犯そうとしているのです。
いずれにせよ、郵政民営化問題は、この国の行く末を決める重大な問題であることは確かです。
仁科氏はこの本の最後で、厳しい指摘をしています。
これまで政官財の利権構造の要であった郵政を民営化することは、本来有り得ないはずの「ノーリスク・ハイリターン」という金融商品を売り続けてきた「国営銀行」をぶっ壊すということです。
そのことは、「郵貯や簡保に預けておけば安心だ」と安穏としていた国民すべてに、本当の意味での自己責任が問われるということを意味しています。
「莫大なお金が市場に出れば、経済が活性化していくはずだ」などという漠然とした甘い幻想はあっと言うまに吹っ飛ぶでしょう。
「古い自民党をぶっ壊す」という小泉首相の発言は、利権分配型の古い自民党支配の下で安穏としてきた「古い国民の意識もぶっ壊す」と言っているに等しいのです。
しかし、それで一番喜ぶのは誰か?
きちんと考えてみる必要があると思います。