厚生労働省は2日の社会保障審議会医療保険部会で、医療費の自己負担が一定額を超えると払い戻しを受けられる高額療養費制度について、低所得者層の上限引き下げを見送る方針を示した。引き下げにはがんや難病など長期にわたって高額の医療費がかかる患者などから強い要望があるが、保険者側の反発が強く、公費で賄うめども立たなかったため断念した。
毎月の自己負担の上限額(70歳未満)は▽住民税非課税世帯が3万5400円▽年収約800万円未満の世帯が8万100円▽約800万円以上の世帯が15万円--に分かれている。厚労省は、負担の重い低所得者に配慮し、年収約300万円以下の世帯の上限額を月4万4000円に引き下げることを検討していた。【山田夢留】
毎日新聞 2010年12月2日 21時38分