【ロンドン会川晴之】欧州連合(EU)加盟国の金融監督機関で作る欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、欧州金融機関91行に対する健全性審査(ストレステスト)の結果を発表した。ドイツ不動産金融のヒポ・レアル・エステートやギリシャの農業銀行など7行が、中核的自己資本比率が6%を下回るとして「不合格(資本不足)」となった。資本不足を指摘された金融機関は自力で増資するか、各国政府などが公的資金を投入して資本増強を図る見込みだ。
7行の国別内訳は、ドイツが1行、ギリシャが1行、スペインが5行。7行の資本不足額は35億ユーロ(約3900億円)だった。同テストは、情報開示を進めることで欧州金融不安の沈静化を図るのが目的。経営不安が指摘されていたドイツの州立銀行や、スペインの貯蓄銀行などを対象に含め、欧州金融部門の65%をカバーする。テスト結果の公表前に、ギリシャ・ナショナル銀行が4億5000万ユーロ(約500億円)の増資を公表するなど、資本増強の動きが相次いだ。
審査は、(1)株式市場が2年連続で10%下落(2)2年連続で景気が3%減速、株式市場が20%下落するなど20年に1度の大不況に陥る(3)保有しているギリシャなどの国債価格が大幅下落--など3通りのシナリオで実施した。だが、検査基準が甘いとの指摘もあり、信用不安の払しょくにつながるかどうかは未知数だ。
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毎日新聞 2010年7月24日 1時31分(最終更新 7月24日 2時25分)