2010/07/07 13:51 JST
7月7日(ブルームバーグ):顧客数で中国最大の銀行、中国農業銀行は、新規株式公開(IPO)で少なくとも192億ドル(約1兆7000億円)を調達する。香港と上海市場での公開価格に詳しい複数の関係者が明らかにした。オーバーアロットメント(追加売り出し)の行使によって、世界最大規模のIPOになる可能性もある。
農業銀は6日、香港での公開価格を1株当たり3.20香港ドルに設定。仮条件レンジは2.88-3.48香港ドルだった。公式発表前であることを理由に同関係者2人が匿名を条件に明らかにした。同関係者3人によると、上海では1株当たり2.68元とレンジの上限で決定、公開規模は222億株だった。
農業銀の項俊波会長は、株安の逆風を乗り越えてIPOにこぎ着けた。中国株の指標、上海総合株価指数は今週に入って1年3カ月ぶりの安値に下落。
農業銀はオーバーアロットメントの行使を通じ、IPOの規模を221億ドルに拡大することが可能。その場合、2006年の中国工商銀行(219億ドル)を抜き、世界最大規模のIPOとなる。
ヘッジファンド、プラチナム・パートナーズ(運用資産約5億2500万ドル)のウリ・ランデスマン社長は、公開価格について「市場環境を考えれば、農業銀は満足しているはずだ」と指摘。「市場全体、特に大中華圏の市場を世界の投資家がどう受け止めているのかという意味で、やや勇気づけられるメッセージを発している」との見方を示した。
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