2010年3月9日 日経
韓国で所得が平均の半分未満の貧困層が急増している。2009年は初めて300万世帯の大台を突破し、全世帯の18%に達したことが8日わかった。米金融危機に伴う景気低迷を経て、中流層から脱落した世帯が増えたのが主因とみられる。韓国政府は危機感を強め、貧困層拡大に歯止めをかける対策を抜本的に見直す方針だ。
韓国統計庁の8日までのまとめによると、経済協力開発機構(OECD)の基準に基づいた昨年の貧困層世帯は前年比13万5000世帯増の305万8000世帯となった。増加幅は07年から08年の2倍近くに広がった。貧困世帯の扶養家族を含めた人口は推定で約700万人にのぼるとみられる。韓国の総人口は約4800万人。
貧困層が拡大しているのは、08年秋以降の景気後退に伴う雇用情勢の悪化がなお続いているのが最大の要因だ。大企業は外需をテコに好業績を計上しているが、中小・零細企業の景況回復が遅れている。政府は雇用機会の提供や少額融資制度の拡大などを通じ、低所得者層の経済支援に力を入れ始めている。(ソウル=島谷英明)(01:42)