高齢者問題講演資料 2006年11月の高齢者情報から | NPO法人生涯青春の会

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NPO法人生涯青春の会の会報及びイベントの紹介をいたします。
ここに収録する記述は、会報、エッセイ「癒しの森」、高齢者情報、日々の映像のまとめなどです。


1、自分の死に場所
2、65歳以上の労働力人口増加(541万人)基調に
3、自殺問題
4、高齢者生活実態調査:「自宅で介護を」66% 在宅志向強まる
5、療養病床の削減


1、 この数字が時代の流れだ(自分の死に場所)
2006年10月24日 10:56
 10月15日医師の藤・霽月さんから以下のデータの書き込みがあった。藤さんが講演で使っているスライド原稿である。「死亡者数が1.7倍に増えるのに、病床は半減する。病院で死ねるなんて思わないほうが良いですよ」というアドバイスだ。現在は約80%の人が病院でなくなっているが、これが難しくなってくるのだ。追って、自分の死の場所を明確にする必要がある。

    死亡者数推計 一般病床数 療養型病床数  床数計
2003年  106万人
2006年           96万床    38万床     134万床
2009年  122万人
2012年           65万床    15万床      80万床
2015年  138万人
2021年  151万人
2027年  162万人
2033年  168万人
2039年   170万人

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2、65歳以上の労働力人口増加(541万人)基調に
2006年11月13日 11:11


 少子・高齢化に伴い65歳以上の人口比率は世界最高水準に達している。総務省の6月30日付けの国勢調査によれば、2005年10月1日時点の15歳未満の人口は1740万人で、一方65歳以上の人口は2682万人(人口比21.9%)になっている。

 総務省の調査によると、65歳以上の労働力人口(仕事をしている人と仕事をする意欲がある人の合計)は7―9月平均で541万人と、四半期ベースで過去最高になったという。仕事をしている541万人の高齢者人口をどう受け止めればよいのか。541万人という数は65歳以上の20%に相当する。ヨーロッパでの統計では60歳を超えて仕事をしている人の割合は2~3%に過ぎないのである。

 景気回復を背景に、企業が高齢者の雇用に取り組み始めたことも原因していると思うが、仕事をしなければ生計が成り立たないために働いている人もかなりの割合であろう。少子化で働き手の減少傾向が強まるのは必至で、厚生労働省は労働力人口の減少を緩和するため、高齢者雇用をさらに後押しする方針だという。働きずくめで「ハイ、病気そしてあの世行き」ではやや侘しいのではないか。


3、 自殺問題
    2006年11月08日 22:48
文部科学省は7日未明、いじめを苦にした自殺予告の手紙が6日午前中に伊吹文明文部科学相あてに送られてきたと発表した。手紙は「僕は、いじめが原因で11月11日土曜日に自殺することを証明します。手紙を書いた理由は生きていくのがつらいからです」などとつづっていた。内容や字体から小中学生の男子からとみられるという。

ここのところ子どもの自殺のオンパレードだ。
1、いじめを苦にした自殺では8月に愛媛県で中学1年の男子が遺書を残し首つり自殺。
2、10月上旬、北海道滝川市教委が小学6年の女子児童(12)の自殺をいじめ自殺と認めて以降。
3、福岡県筑前町立三輪中学校2年の男子生徒(13)が自宅で首をつって自殺。
4、岐阜県瑞浪市の中学2年生の女子生徒(14)も自宅で首をつって自殺。

 子どもの自殺は大きく報道されるが、一番多いのが高齢者に自殺である。1997年1月から日々の映像を書いてきたが、最も多く書いたのは「自殺」問題であった。ここでは①自殺を考えている人は何を欲しているのか? ②自殺を考える人が欲 しないもの ③自殺の兆候を引用したい。自殺に関する知識くを身に付け、少しでも自殺者の減少に役立ちたいと思っている。

①自殺を考えている人は何を欲しているのか?
1、聞き手になってくれる人。 自分の時間をさいて聞いてくれる人。判定を下したり、助言をしたり、意見を述べるのではなく、ただ真剣に聞いてくれる人。
2、信頼出来る人。 監督するのではなく、敬意をもって応対する人。全て秘密として聞いてくれる人。
3、心配してくれる人。 時間を割いてくれる人、寛いだ気持ちにさせて静かに話す人。安心させ、受け入れ、信じてくれる人。関心を持ってくれる人。

②自殺を考える人が欲 しないもの
1、一人きりでいる事。 倍も悪化するように見えるかも知れません。相手にしてくれる人がいるだけで、事情がすっかり変わるものです。 聞く。
2、助言される事。 お説教は無駄です。「元気をだせ」とか、「すべてうまくいくでしょう」のような元気付けも役に立ちません。分析、比較、分類、批判等も無用です。 聞く。
3、尋問。話題を変えたり、哀れんだり、もったいぶらない事。感情について話すには困難が伴います。自殺を考えている人は急かされたり、守勢に立たされるのを好みません。 聞く。

③自殺の兆候
とっさの判断で自殺する人はあまりいません。自殺に先立つ何日も前、或は何時間も前からその兆候や手掛かりがあるものです。最も顕著で警戒を要するのが、「もうやっていけない」とか、「もうどうでもいい」とか、或は「全てお終いにする」のような言葉です。そのような言い方は常に本気で受け止める必要があります。
この他にも次のような兆候が良く見られます:
1、塞ぎ込んだり、引っ込み思案になる
2、行動が投げやりになる
3、やりかけの諸事を片付け、貴重品を処分する
4、行動、態度、外見に目立った変化が現れる
5、麻薬の乱用又は過度の飲酒
6、大きな損失を蒙るか、又は生活が大きく変わる


関連サイト
http://www.befrienders.org/int/japanese/index.asp?PageURL=warningSigns.php
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2770.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061107-00000003-mai-soci
http://www.befrienders.org/int/japanese/index.asp?PageURL=suicidal.php
http://www.find-j.jp
http://www.inochinodenwa.or.jp/03-denwa.htm  


4、 高齢者生活実態調査:「自宅で介護を」66% 在宅志向強まる
                    2006年11月20日 22:55

 今までに書いてきたように、要介護状態になっても施設に簡単に入れない状態となっている。これらが原因しているのか自宅での介護を希望する高齢者が増えている。東京都福祉保健局が昨年実施した「高齢者の生活実態調査」によると、介護が必要になった場合に自宅での介護を希望する高齢者は66%と、5年前の前回調査に比べ14ポイント増えたことが分かったという。

 これとは対照的に、高齢者福祉施設での介護を望む人は全体の1割で前回より半減したとのこと。東京都福祉保健局は「ホームヘルパーの利用など介護保険制度が浸透した結果、在宅志向が強まったのではないか」と分析している。在宅での介護は「家族」が最多の56.2%。介護保険制度の普及を受け、「ホームヘルパー」と答えた人は28.1%で前回の倍以上に増えた。自宅での介護を希望する高齢者が66%もいる背景に経済問題もかなりのウエートがあると以下のデータに察することが出来る。

1、世帯構成では、「高齢者のみ」が増え続け、今回は52.4%と初めて半数を超えた。うち3分の1は「独り暮らし」だった。高齢者本人の年収は「200万円未満」が前回より2.1ポイント増の48.9%で、高齢者の低収入化が進んだ。

2、特に女性の場合、「独り暮らし」は4人に1人で、「年収200万円未満」が7割を占め、老後の生活は男性より厳しい実態が浮かび上がった。


3、 療養病床の削減
                    2006年10月27日 19:07
 10月25日の日々の映像で「療養病床削減4万人が介護難民」と題して記述した。このテーマは高齢者福祉情報の重要なテーマでもあるのでここに引用しておきたい。
 
 「療養病床」を2012年までに15万床に削減する方針である。病院は勝手に「療養病床」を作ってきたわけでなく、総て認可を受けて作ってきたものだ。これを4~5年で半分以下15万床に削減する方針を決定している。現在38万人の療養病床の患者がいるのだ。その中には「医療の必要度が低い」人も含まれているだろう。しかし、僅かの期間で23万人を退院させれば、問題が起こることは必然である。
 
 政府はこの方針に基づいて今年7月、同病床の患者を病状に応じ「医療区分1~3」に分類。「医療の必要度が低い」と位置づけた区分1(約10万人)の患者については、医療機関の収入が最大5割程度減る診療報酬体系に変えている。患者を抱えても商売にならない環境にしたのだ。追って病院側は区分1の患者の追い出しにかかることになる。
  
 日本医師会は25日、長期入院する慢性病患者向けの設備、「療養病床」を削減する政府方針を受けた緊急調査の結果を公表した。医療の必要度が低いとされる「医療区分1」の患者のうち、4割に当たる約4万人は退院後の行き場がなく、「介護難民化」すると推計している。これは十分にうなずけるデータである。

 2ヵ月ほど前、沖縄のある病院の患者がこの方針を伝えられ「行き場」がないと泣き叫んでいるとの報道があった。強引に退院を迫れば自殺者が出ることは目に見えている。23万床削減の方針に異を唱えるものでないが、この実行は現在の2倍の12年のサイクルで進めるべきである。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061025-00000104-mai-soci