2023年までにのべ43回行われた日本初の国際GI・ジャパンカップ。日本国内では言うまでもなく、海外においてもレベルの高いレースとして評価されてきたわけです。これはひとえに出走馬の豪華さにあるでしょう。

 

海外から参戦した馬(私のカウントで、出走取消は除く、重複もなし)はのべ232頭です。数多くの激闘や衝撃、その一方で2014年トレーディングレザー予後不良や2019年海外不出走という問題もありました。

イギリス・アメリカ・フランス・アイルランド・カナダ・ドイツ・オーストラリア・ニュージーランド・香港・アラブ首長国連邦・インドから各の重賞勝ち馬が参戦し、中には物凄い大物もいました。

 

今回はトップ20を選出し、概要と選出理由を述べたいと思います。

20位からです。

 

20位:Rough Habit・ラフハビット:ニュージーランド

Amazon.co.jp: Rough Habit: An Unlikely Champion : Linnett, Ken: 洋書

結果:1991年・8番人気5着、1994年・12番人気7着

 

概要と選出理由:ラフハビットはザ・豪州血統の馬でニュージーランド調教、ジャパンC2度出走で人気以上の結果とはいえ、2度目はシンガリ追走の上タイム差もあると厳しい内容でした。

ラフハビットは騙馬ゆえのタフさが選出理由に輝きました。なんと74戦29勝!!!GⅠが豊富な地域とはいえGI11勝という怪物成績であります。ストラドブロークHとオールエイジドSを連覇しており、ダービー馬の称号をもつなど息の長い活躍馬です。コーフィールドCなど最高峰のタイトルには恵まれなかったが引退レース2着と最後まで走りぬきました。

1992/95年のニュージーランド年度代表馬であります。ラフハビットプレート(G3)にその名を残し2012年にはニュージーランド競馬名誉の殿堂入りした南半球の歴史的名馬だということです。

日本だけでなくアメリカのダートGⅠハリウッド金杯にも挑戦したが20馬身近くの8着と惨敗しています。

ナチュラリズムやジューン、シャフツベリーアヴェニュー、デーンウインなど南半球の傑物と7年もの間戦いこれだけの成績を残したのだから大変な名馬なのです。

2014年11月に28歳で大往生、戦績に見合う幸せな余生を過ごせたようです。

上記のように伝記やDVDが製作され、youtubeでも彼の雄姿が見れますよ。

 

19位:Red Cadeaux・レッドカドー:イギリスGerald Mosse riding Red Cadeaux celebrates on the line after defeating Douglas Whyte riding Jaguar Mail in The Longines Hong Kong Vase during the...

結果:2012年・12番人気8着

概要と選出理由:父カドージェネルーは20世紀屈指の名スプリンター、母の父パントレセレブルは凱旋門賞を5馬身差つけて快勝したことで知られる1990年代のヨーロッパ最強の一頭。そんな血統のレッドカドーは国際派ステイヤーでした。

54戦7勝、GⅠ勝ち馬は日本のジャガーメイルを破った香港香港ヴァーズのみですが、騙馬の彼には国内での活躍は厳しいのでした。戦績だけ見ればまぁまぁの名馬ですが、とにかく海外での活躍が素晴らしい。選出理由は戦場を選ばず好走し続けた国際競走での戦績から一流名馬に相応しいと考えたからです。

香港ヴァーズは4年・メルボルンCは5年連続出走出走しメルボルンCでは2着2回しています。オールウェザーのドバイワールドカップに2度出走しなんと1回目はアメリカの強豪アニマルキングダムの2着!!そして次走に選んだのは日本の天皇賞(春)、6番人気3着と大健闘し史上初の海外調教馬の馬券対象という結果でした。なお翌年は不調で14着…

年齢とともに体力に限界が訪れる中、9歳まで現役を続けます。

そんな彼を言い表すなら悲運の馬…。8着のジャパンCはジェンティルドンナ岩田康誠の強引な騎乗で物議をかもしたあのレースです。レッドカドー陣営は抗議するも棄却…海外組が二桁惨敗の中・不利の中でこの成績は評価するべきです。

そして2015年メルボルンC、5度目の出走という記録と日本馬2頭出走が注目されました。11番人気だったレッドカドーは故障発生、命に別状ない、そんな知らせに安堵したのも束の間。懸命な治療は報われることなく、血流障害からの合併症で回復不能・安楽死となりました。

GⅠ1勝とはいえ、8ヵ国で9億2,500万円を稼ぐ大活躍、日本においても力を見せた国際派の死は競馬界に悲しみをもたらしました。彼の活躍に敬意を表し、思い出のフレミントン競馬場に埋葬されることになったのです。

「レッドカドーは豪州を愛し、豪州はレッドカドーを愛しました」…勝利以上に愛される名馬を、国際派ホースをこれからのジャパンCでも招待し続けられるといいですね。

主戦騎手はG.モッセ、凱旋門賞優勝など欧州でも一流ながら香港国際競走完全制覇・香港ダービー3勝というこちらも国際派ジョッキーでした。世界的な騎手を見るのもジャパンCの醍醐味ですな。

僚友でメルボルンC4着のトリップトゥパリスが弔い合戦としてジャパンカップに挑みましたが14着に終わっています。