顔真卿は山東省出身、字は清臣。

安禄山の乱の際に平原太守であった功績をたたえ『顔平原』と呼ばれたり、

魯郡開国公に封ぜられたので『顔魯公』とも呼ばれています。

 

草書の名人 張旭から書法を学び、篆書の第一人者 李陽冰の影響を受けたことで、

楷書を含む顔法が完成したと考えられています。

 

建中告身帖は顔真卿七十二歳の書。皇子の教育係に任命された辞令(告身)を自分で

書いた、現存する唯一の肉筆楷書で、台東区にある書道博物館に収蔵されています。

 

書は直筆で向勢、縦画が太く横画が細いです。また起筆を蔵鋒で蚕の頭、

右払いの収筆を燕の尾のように書く『蚕頭燕尾』という形が特徴です。

 

顔法は篆法を根底としていますが、蔵鋒で筆を立て、

じっくり引いていくより寧ろ突き込んでいくという感覚です。

そうすることで線が丸みを帯び、立体感を持った重厚な線になります。

 

縦画や横画の起筆は穂先を上から打ち込むように入れ、

筆を立て一気に押していきます。送筆中に浮きやすいため筆圧を維持することも重要です。収筆も筆を立て、打つようにして止めます。

ハネは収筆で更にもう一度打ち込み、一旦筆を立ててから撥ね上げます。

蔵鋒や穂先に気を取られて過ぎて萎縮しないよう、時には思い切って書くことも大切です。

 

創玄二科サイズ(42cm×162cm)に運筆早めに書いたもの

筆:羊毛、紙:紅星牌を使用

顔真卿は創玄展でも人気がありますね〜アップ

 

運筆遅く、筆は羊毛、紙は手漉き滲み大。墨はよく入りました。

 

兼毫と羊毛の線の違い。ニジミ大の紙は原帖の雰囲気を出しづらいかはてなマーク

 

兼毫でニジミ小の加工紙に書きました。(この線質が一番合ってるかも合格

横画が送筆中に細くなる原理(部分)は篆法を用いた『先行鋒』によるもの。

筆管をひねるように使うのですが・・・近々解説したいと思います。

 

 

この告身帖は顔真卿が自書したものと伝えられています

書風が顔書の特徴を備えていることや、当時の辞令を発行する

吏部尚書(顔真卿の署名)が無いことから慎んで避けたとも考えられています。

 

自分で自分の辞令を書くのは異例ですが、

この告身は唐朝の受官を完全な形式で伝えており、大変価値があります

重要な官職を授ける際には、天子の秘書省である中書省

天子の命令及び臣下の上奏等の審議機関である門下省、

執行機関である尚書省の三省を通す形式が如実にあらわれています。

 

 

建中(自書)告信帖は顔真卿の楷書の集大成ビックリマーク

実は創作に役立つ秘密が詰まってますラブ音譜