参考文献: 日本大腸肛門病会誌 70:68-72,2017

 

いきめ大腸肛門外科内科,宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野

 

(私のコメントは青字)

 

患者集団

平成24年ー平成27年、機能性直腸肛門痛と診断した33名(男性13名、女性20名)にプレガバリンを投与した.

プレガバリンを1か月以上治療効果を観察できた患者21名(男性9名、女性12名)を対象とした. 

初診時までの直腸肛門痛の持続期間は6か月以上前に発症し,直前3か月は直腸肛門痛を有する. 肛門出血は除外.

 

 

検査所見

全例で肛門指診,肛門鏡検査,S 状結腸内視鏡検査または全大腸内視鏡検査を,4 名で腹部CT検査を行った.

虚血,炎症性腸疾患,陰窩炎, 筋層内膿瘍,裂肛,痔瘻,前立腺炎,尾骨痛などを除外した.

 

肛門指診によって恥骨直腸筋を後方に進展した時に圧痛を9 名に認め、肛門挙筋症候群の基準を満たす.残りの12名は特定不明の機能性直腸肛門痛と診断. 治療効果に有意差を認めなかった.

 

 

治療

プレガバリンは25~75mg/日で開始し,(神経障害性疼痛治療薬、リリカ)

効果がない場合は2 - 4週おきに漸増し50~450mg/日で維持.

平均投薬量は100±91(25- 450)mg で,投与期間は140±140日.

治療効果は患者の主観的評価.

 

併用薬はクロチアゼパム10 名,(チエノジアゼピン系の抗不安薬)

メコバラミン9 名,(ビタミンB12/末梢性神経障害治療剤)

酸化マグネシウム8 名,その他の刺激性下剤2 名,

睡眠薬4名,抗うつ剤3名であっ た.

消炎鎮痛剤は併用しなかったが,プレガバリン開始後に消炎鎮痛剤使用を希望した3 名は無効群とした.

 

リリカの副作用の頻度は少なかったそうで、脱落例は副作用に関係あるかどうか不明。

 

効果

うつ病が無効群に有意に多く,肛門手術既往のあるものが有効群に多かった

 

手術により肛門周囲神経が損傷され患者に、リリカは効きそうですね。

 

 

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