
板尾創路第二回監督作品。終戦後の東京に、突如現れた傷痍軍人。記憶を失ったその男の正体は、かつて寄席で一、二を争うほどの人気落語家・森乃家うさぎだった…?
いきなりでなんだが、察するに本作は何も言っていない。
おそらくは多くの批評サイト、あるいは個人個人で、様々な考察や推測がなされると予想するが、それら全てに対し、十人十色の見解があるように見せかけ「ああ・・・。君がそう思ったんなら、そうなんちゃう?」とズッコケさせるのが最大の目的ではないかと勘ぐってしまいたくなるほどに、本作には内包されたメッセージ、感情の具現、壮大な死生観、その他諸々が随所に散りばめられているように見えて、実は一切そんなものはないと断言してしまいたい。
まあ、監督自ら「あのラストシーンを撮りたいがためだけに作った」と語っているため、それまでの約2時間は単なる余興みたいなモノだと仮定しても(どんだけ長い余興だ 笑)、そのためにわざわざ古典落語「粗忽長屋」をアレンジし、あまつさえ要所要所に伏線を思わせる数々を配置する労力には単純に頭が下がる。
かつて故・立川談志師匠が「意味がないモノにも、意味がないという意味がある」と仰られていたが、例えるなら、役者陣、スタッフ一同が全力で無意味を行い、無意味である事の意味を突き詰めていった結果、無意味である事の意味に辿り着いたといい具合か。
…自分でも何を言っとるのかさっぱり分からんし、何だか厨二病〇ヴァヲタクがよくやる哲学ゴッコみたいになってしまったが、それにしたって、コメディともシリアスとも、まして反戦モノともつかない本作を形容する単語が、果たしてこの世に存在するのだろうか。
感覚としては松本人志監督の「しんぼる」や、北野武監督の「TAKESHIS’」の近い世界観で、ちゃんとした(?)ストーリーを動かしたらどうなるか、という実験的な要素が強く、正直、腹を抱えて笑うような作品でもなく、苦手な人も多いと思われる。
小生自身、本来この手の類は許していないのだが、こういう映画を世に出しても「まあ、板尾さんだからな」の一言で済んでしまう、またはこういう映画だと分かっていながら撮らせてもらえるのも、監督の人徳かキャラクターなのかと、妙な納得を覚えてしまう。
もっとも、こうして高卒低所得であれやこれやと足りない知恵を振り絞って駄文を並べている事さえ、監督の術中のような気がしなくもないが(笑)。
中身について全然触れてない気がするので、チラッとそれらしい事を書いておく。
怪優としても知られる板尾氏の存在感は、文句ナシに素晴らしい。作中、ほとんど言葉を発しなくても、画面上にいるだけで何かしらの物語を感じさせる、不思議な説得力がある。
確かに、演じる役が限定されるタイプではあるが、そこにハマりさえすればオンリーワンの働きを見せてくれる、稀有な方だと称しておく。
もう一人の主人公を演じる浅野忠信氏もまた、出番こそ短いものの、非常に良い仕事。
素人ゆえ落語の上手下手は分かりかねるが、高座に上がって一席演じる様は、本職のお笑い芸人にも引けをとらない、むしろ氏の方が堂々としていて上手いんじゃないか、と思えるほど板についていた。
それからヒロインの石原さとみは…、普通にいつもどおりキレイだった(笑)。
とまあ、これ以上書いても特にまとまりもないんで(エー)、とりあえず、小生の、この映画に対する評価は…、
☆☆☆★★
何だかんだ言って、キライじゃないんだよ、星3つ!!
しかし、何でこの曲がEDだったんだ?単に監督の趣味か?
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