ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト原作の純愛スリラー小説を、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のマット・リーヴス監督・脚本で映画化。
(ちなみに、映像化の権利自体は「ぼくのエリ200歳の少女」より先に取得したそうで、一応参考にはしたもの決してリメイクではないそうな)
どこまでも哀しく、儚く、残酷でありながら、限りない美しさを秘めた、数少ない「映画館で観ておくべき」秀作のうちの一本。「ぼくのエリ」とどっちが優れているではなく、双方それぞれの良さがあるので、既に「ぼくのエリ」鑑賞済みの方も、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい。
居場所を持たない孤独な少年オーウェンと、いつも裸足で歩くミステリアスな少女アビーとの、淡い初恋にも似た心の交流を描いた本作。二人を演じるコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツの中性的な魅力、そして舞台となったニューメキシコ州ロスアラモスの雪景色が見事にマッチし、少年期ならではの暗鬱さ、人ならざる者としての悲劇、共有し合える痛み等を孕んだ、神秘的な物語をより相乗させている。
一見して、拠り所となる少女のために奮起する、少年の成長譚のように思え、事実そういう側面も併せ持つが、実は不老不死という呪いにも等しい業を背負った少女の、どこまでも続く旅の一遍こそ本作の正体ではないかと、小生は察する。
本編では具体的な描写はなく、アビーの口からそれを匂わせる発言があった程度に留めているが(詳しくは「ぼくのエリ モザイク」で検索。ネタバレ注意)、そこから考察するに、おそらく彼女が真に欲していたのは、彼氏でも僕でもなく「家族」だったのではないだろうか。
おおよそ「人としての生活」と呼べる一切を剥ぎ取られたまま、一人の人間としては気の遠くなるような歳月を生きなければならない彼女にとって、孤独は何よりの恐怖に違いあるまい。
筋肉少女帯の、同名の名作映画を歌った「小さな恋のメロディ」という曲の中で、「トロッコに乗って逃げていくラストシーンの後、あの二人がどこへ行くのか。それはきっと地獄だ」という内容の歌詞がある。
果たして、オーウェンに対する特別な感情がアビーにあったのか、それは分からない。ただ、同じ傷を舐めあい、塞ぎあう相手がアビーには必要であり、オーウェンもそれを理解し、受け入れた上での、あの結末だったのではないか。
その先に、たとえ地獄しかなくても。
人ならざる者に対し、道徳や人道が通用するか、まして捕食としての殺人を正当・否定できるかなんてのは、そんなものが実在しない以上、ただの言葉遊びの域を出ないため、ここでは割愛する。
確かに暴力シーンも多く、生理的に受け付けない人も多いかと思われるが、それを踏まえても、この「21世紀の大人のためのおとぎ話」とも言うべき傑作に、一度騙されたと思って触れてみていただきたい。
これは、間違いなく映画史に燦然と名を残す一本。オススメです。
…随分簡単なような気もするけど(ていうか、これ以上小生の文章力では書き切れないんだよ 笑)、そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、
☆☆☆☆★-
星4つマイナス!!
(マイナス分の内訳は、途中のVFXシーン。できれば影や音を効果的に使って、CG効果なしでやっていただきたかった…。でも、それ以外はパーフェクト!!)
キャー!!オーケンかっこいい!!
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