【シンCOVID-19襲来〜来るべき医療逼迫に備える知識 vol.86


『「最強の感染力」オミクロン「XBB.1.5」どれほど危険?』


🇺🇸米国を中心に急速に拡大🇰🇷韓国はまだわずか最強の抗体回避力、細胞への付着力も向上 症状がより危険かは未確認改良ワクチンに効果

新型コロナウイルス感染症の発生以降、最強の感染力を持つコロナウイルスの変異株が新年早々世界中の保健当局を緊張させている。▶︎XBB.1.5(クラーケン)という名のこの変異株は、オミクロン株の下位系統の中でも最新のもので、111日現在、38カ国で感染例が保健当局に報告されている。▶︎XBB.1.5(クラーケン)は、20228月に🇮🇳インドで発見されたXBBが、その後他国に拡散する過程で変化したもう一つの下位系統だ。▶︎🇺🇸米国で主に拡散しており、感染者の82%が🇺🇸米国で確認されている。▶︎🇺🇸米国のある研究チームは、202210月下旬に🇺🇸米国に上陸したこの変異株の実効再生産数を1.6と推定している。▶︎1人の感染者が1.6人を感染させることを意味する。▶︎🇰🇷韓国では2022128日に初の感染例が確認されたが、感染者全体に占める割合はまだ0.2%と低い。▶︎🇺🇸米国疾病予防管理センター(CDC)によると、この変異株は現在、🇺🇸米国の新規感染者の28%を占めている。▶︎🇺🇸米国全体に占めるその比率は2番目。▶︎しかし北東部地域では新規感染者の70%を超える。▶︎問題は、一部の科学者がこの変異株に「クラーケン」というあだ名を付けるほど感染力が強いということ。▶︎クラーケンは北欧のスカンジナビア半島の神話に登場する恐ろしい海の怪物だ

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【用語解説】

◉『クラーケン(ノルウェー語:krake)』=近世ノルウェーに伝わっていた海の怪物。巨大タコとみなすことが通念となっている。近代の学者は実在のダイオウイカとすれば説明がつくとする


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世界保健機関(WHO)のマリア・ヴァン・カーコブ博士は、XBB.1.5(クラーケン)はこれまでに発見されたオミクロン系統の変異株の中で最も感染力が高いと語った。▶︎ XBB.1.5(クラーケン)を集中的に研究している北京大学の曹雲龍研究員(免疫学)は国際学術誌「ネイチャー」に「この変異株が全世界で優勢になるということはほぼ確実だ」、「ただ一つのライバルも見あたらず、他のどの変異株も比較にならない」と語った。▶︎「ネイチャー」は202212月、コロナウイルスの進化を追跡することで変異の方向性を予測してきた同氏を「今年の10人」の1人に選定している。▶︎ XBB.1.5(クラーケン)が全世界のコロナ状況にどの程度の影響を及ぼすかは、現在のところは不確実だ。▶︎感染力が高くても、すでに広範な感染と予防接種を通じて多くの人がコロナウイルスに対する免疫力を持っているため、感染者や入院者が急増しない可能性もある。

486番目のアミノ酸の変異が核心

名前からも分かるように、XBB.1.5(クラーケン)XBBの派生型だ。▶︎XBB2022年初め、BA.2系統の2つの系列が組み合わさって誕生した変異株だ。オミクロン株から派生したBA.2の表面にあるスパイクタンパク質に14の新たな突然変異が起きた変異株だ。▶︎スパイクタンパク質は、ウイルスが細胞に浸透する際に細胞壁にくっつくために使う道具だ。▶︎現在、市中で接種中のワクチンは、このスパイクタンパク質を標的にして作られている。▶︎ところがXBBのスパイクタンパク質は、一連の突然変異によってこれまでに登場した変異株の中で抗体を回避する能力が最も高くなっている。▶︎XBB.1.5(クラーケン)はさらにアミノ酸にF486P変異が生じている。▶︎F486Pはスパイクタンパク質を構成する1270個のアミノ酸のうち、486番目のアミノ酸がフェニルアラニン(F)からプロリン(P)に変化したもの。▶︎曹研究員の研究チームは15日、事前出版論文集「バイオアーカイブ」に、コロナウイルスが細胞に浸透する際に細胞壁のACE2受容体タンパク質にくっつく力がこの変異によって強まったとみられるとする研究結果を発表した。▶︎抗体を回避する能力は弱まっていない状態で、F486P変異が細胞への結合力をさらに高めているわけだ。▶︎曹博士は「ネイチャー」に「XBB.1.5(クラーケン)F486Pのおかげで他の変異体よりはるかに感染力が高まっているため、現在のところはさらなる変異に対する進化圧力はほとんどない状態」だと語った。▶︎同氏はしかし、人体内に派生型に対する免疫力が構築されれば、XBB.1.5(クラーケン)もじっとしてはいないだろうと強調した。

2価ワクチン、最近の変異株にも高い効果

XBB.1.5(クラーケン)がいつ世界で優勢になるかは予測が難しい。▶︎🇩🇪ドイツのがん研究センターのモリッツ・ゲルストゥング研究員(コンピューター生物学)は、🇺🇸米国では1週間で2倍に増加しているが、その他の国では増加速度が相対的に遅いと語った。▶︎同氏は「拡散速度は非常に速いが、オミクロンの初期拡散速度よりは遅く、2022年秋のBQ.1BQ.1.1(ケルベロス)の拡散速度と似ている」と語った。▶︎保健当局と科学者たちは、XBB.1.5(クラーケン)は感染力はより強まっているものの、症状がより危険になったわけではないとみている。▶︎WHO11日に発表した危険評価報告書で「XBB.1.5(クラーケン)株は、他のものより感染力は強いとみられるが、感染者をより危険にするいかなる特性も確認できていない」と述べている。▶︎疾病管理庁は、コロナの2価ワクチンXBBをはじめ、このところ猛威を振るっている変異株に対しても高い効果を示しているとし、積極的なワクチン接種を勧告している。▶︎国際学術誌「セル」に発表された研究によると、ワクチンを3回接種したグループと3回接種した後に2価ワクチンを追加接種したグループの中和抗体を比較したところ、2価ワクチンを接種したグループの中和抗体の方が1.52.8倍多かった。▶︎別の研究では中和抗体が312倍にのぼっている[*hankyoreh新聞 2023.01.14付記事抜粋]

🇯🇵日本でも確認「XBB.1.5急拡大する🇺🇸アメリカでは?』


東京都は112日、新型コロナのオミクロン株の変異ウイルスのひとつ「XBB.1.5」について、2022121日以降、都内で15件確認されたと発表しました。▶︎🇺🇸アメリカ北東部で拡大している「XBB.1.5」の特徴とは?

🇺🇸アメリカで急速に置き換わりが進む「XBB.1.5」とは?


2022年秋に🇺🇸アメリカ・ニューヨーク州などで、初めて検出されたXBB▶︎WHO=世界保健機関によると、20221022日から2023111日までで38か国で確認されました。▶︎そのうち82.2%と、ほどんどが🇺🇸アメリカからだということです。▶︎🇺🇸アメリカのCDC=疾病対策センターの最新の推計では、114日までの1週間で新規感染者に占めるXBB.1.5の割合は43%となっていて、2022123日時点の推計2.3%から1か月あまりで、およそ40ポイント増加しています。▶︎地域別ではニューヨーク州などがある🇺🇸アメリカの北東部が80%以上にのぼっていて、他の地域に比べて突出しています。

免疫を回避する能力は「最も高い部類」に

WHO=世界保健機関の最新の調査結果によると、免疫を回避する能力がこれまでの変異株の中で最も高い部類に入り、世界の患者数を増やす要因になるかもしれないと分析しています。▶︎一方で重症化しやすいかどうか、ワクチンの効果についてなどは、データがアメリカからしか得られていないため、世界全体としての評価の信頼性は低いとしています。

XBB.1.5」の置き換わりが進むニューヨーク州の状況は?


XBB.1.5への置き換わりが進むニューヨーク州の新型コロナウイルス陽性者数は、202212月上旬に増加しましたが、年末から年始にかけては感染者数は横ばいから減少傾向で推移しています。▶︎🇺🇸アメリカの場合は、家庭用のキットで検査で済ませるケースも多く、実際の感染者はさらに多いと考えられますが、2022年にオミクロン株が流行した時のような急激な増え方にはなっていません。▶︎また、入院患者数は202212月から年明けにかけて上昇傾向にありましたが、年明けは減少に転じています。▶︎マンハッタンを歩いていても、PCR検査のテントには閑古鳥が鳴いていて、マスクを着用して歩いている人はあまりみかけず、市民が感染拡大を懸念する様子は見受けられません。▶︎一方、死者については202212月から年明けにかけては増加傾向となっていて、ニューヨーク州の保健当局は、新型コロナウイルスとインフルエンザのワクチン接種を呼びかけると共に、屋内の公共空間や人混みなどではマスクの着用を検討するようすすめています。▶︎また、ニューヨーク市周辺では、新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザやRSウイルスの感染も広がっていて、🇺🇸アメリカメディアによりますとニュージャージー州などの学校では、マスク着用が再び義務化されているということです[*日テレnews 2023.01.14付記事抜粋]

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【掲載日】20230114日(土)