【自民党終焉への道〜戦後利権政治との決別 vol.89】
■『岸田政権支持率 「低空安定の30%」なら歓喜 「20%に底割れ」なら九死…2023年の政局解説』
2022年夏以降、内閣支持率が大きく低下した岸田政権だが、2023年はどのような政局運営となるのか。▶︎テレビ朝日・政治部の千々岩森生デスクに聞いた。▶︎「岸田政権の支持率は2022年7月17日段階で53.6%ありましたが、旧統一教会や国葬の問題などがあり2022年11月20日段階で30.5%と大きく下落しました。▶︎とはいえ、直近の2022年12月18日では31.1%と下落は止まっています」(以下、千々岩デスク)▶︎この31.1%という数字をどのように捉えればいいのだろうか。▶︎「岸田おろし」の可能性はあるのだろうか。▶︎「支持率がこの水準を維持する限りは岸田おろしの可能性は低いです。▶︎岸田おろしが行われるケースは3つ考えられます。▶︎1つは支持率が底割れ(20%以下)した場合。▶︎2つ目は可能性としては低いですが4月に行われる統一地方選挙で大敗をした場合。▶︎3つ目は今年の後半などのタイミングで解散総選挙を模索した岸田総理が周囲に止められて解散出来なかった場合です」▶︎安定した地盤に立っているとは言いがたい岸田総理はこの2023年にどのようなことを成し遂げたいと考えているのだろうか。▶︎「岸田総理のやりたいことは3つあります。▶︎1つは4月8日に日銀の黒田総裁が任期満了を迎えるタイミングで、アベノミクスを転換すること。▶︎長期的な賃上げにつなげたい狙いです。▶︎2つ目は5月19日に開催されるG7広島サミットの成功。▶︎🇺🇦ウクライナ問題などもあるなかで核兵器の無い世界の実現を強く訴えていきたい考えです。▶︎3つ目は6月の骨太の方針で、少子化対策や子供予算を倍増したい狙いがあります」▶︎年末の番組で岸田総理は「防衛費のための増税」と「適切な時期の解散」の可能性を示唆して話題になったが、岸田総理はどのタイミングでの解散を考えているのだろうか。▶︎「岸田総理は、G7広島サミットから2024年9月に行われる総裁選の間に解散に打って出たいと考えているようです。▶︎岸田総理は総裁選に勝つと2期目に入ります。▶︎この総裁選を乗り切るために解散総選挙で勝ちたいというのが構想としてある。▶︎衆院議員の任期折り返しを迎える10月以降はいつ選挙があってもおかしくないと思います」▶︎様々な構想がある一方で「別の総理」が浮上する可能性もあるのだろうか。▶︎「4つほどシナリオが考えられます。▶︎1つ目は年内退陣という一番短いパターン。▶︎2つ目は解散総選挙に打って出られるパターン。▶︎3つ目は来年9月の総裁選まで務めて総裁選に出られずに終わるパターン。▶︎4つ目は総裁選に勝利し長期政権というパターンです。▶︎少子化対策やアベノミクスの転換で賃上げなどの政策が上手く行けば長期政権という可能性もあるとは思いますが、今の政局を見ている限り現状の支持率を加味すると来年の総裁選ぐらいまで続く3つ目の可能性が高いと思います。▶︎仮に別の総理となるとポスト岸田としてあがってくるのは、岸田政権を支えている河野大臣や茂木大臣の名前ですが、党内での人気はイマイチ。▶︎わざわざ岸田総理をおろしてまで変えたいと考える人が少ないこともあり、しばらくは岸田総理のままで続くのではないかと予想しています」▶︎「2023年の永田町」は特にどの点に注目すべきだろうか。▶︎「前半は岸田総理が取り組みたい政策がポイントとなり、後半は解散総選挙をにらんだ政局に注目していただきたい。▶︎目が離せない一年になりますよ」[*テレ朝news 2023.01.12付記事抜粋]
■『「生産性が低い🇯🇵日本」は増税の口実?…『新しい資本主義』3つの疑惑をサステナビリティ学者が一刀両断』
◆「大胆な」「異次元の」…だけど、“具体性”が見えない
2023年を「新しい資本主義」を本格起動させていく年と打ち出した岸田文雄首相。▶︎岸田首相は「新しい資本主義」を掲げ、新自由主義的な経済政策を改めて、「成長と分配の好循環」を実現すると謳っているが、具体的にどういうものなのかはわからない。▶︎2022年12月には突然「防衛費増額のための増税」を表明。▶︎「国民の責任」発言が批判を浴び、自民党内からも反対の声があがったが、結局、防衛費の総額は2023年度から2027年度の5年間で43兆円規模(過去5年間の1.5倍)と決め、2027年度からは不足する財源補填の名目で所得税・たばこ税・法人税の「増税」を与党の方針として打ち出している。▶︎さらに1月4日には「児童手当」「子ども予算倍増」などを打ち出したが、財源には一切触れないまま。▶︎「大胆な」「異次元の」と冠した具体性のない方針については、「ただの増税ではないか」▶︎「単なるアベノミクスの焼き直しではないのか」という批判が続出している。
◆【第1の疑惑】「中小企業」をぶっ潰そうとしている?
では、岸田首相の目指す「新しい資本主義」とは本当は何なのか。▶︎世界経済フォーラム(WEF)や国連責任投資原則(PRI)のメンバーとして、SDGs/ESGデータサイエンスの新技術を研究・開発する天才集団を率いるサステナビリティ学者の笹埜健斗氏は、岸田首相政権が進めようとしている「新しい資本主義」に関して、「3つの疑惑がある」と指摘する。▶︎1つ目は「中小企業をぶっ潰そうとしている」疑惑だ。その根拠とは?▶︎「飲食や宿泊など、コロナで本当に大きな打撃を受けた企業のほとんどが中小企業ですよね。▶︎コロナで赤字の中小企業が増えると、国の税収は減りそうな印象を受けますが、2019年度の国税庁『会社標本調査結果』を見ると、247万法人のうち税金を納めている法人は38%で、納めていない法人は62%。▶︎税金を納めていない企業はそれなりに多く、コロナで打撃を受けた中小企業はもともと赤字の企業が多いので、税収への影響は限定的だったと財務省は見ているはずです」▶︎つまり、コロナで赤字が膨らんでも、以前から赤字で税金を納めていない中小企業が多い実態を考えると、税収面ではさほど影響がなかったということ。▶︎逆に、税収が過去最高になったことから、大企業のK字回復組の業績がいかにすごかったかもわかると言う。▶︎「となると、国がもし税収の観点だけ考えるなら、中小企業は潰れてもかまわないと考えていても不思議ではありません」▶︎こう聞くと、「実際に助成金をもらうだけの中小企業は無駄だから、潰れても良い」などと極論を言い出す者もいるだろう。▶︎日々の生活を支えてくれているモノやサービスがいかに中小企業によって支えられているかは、少しばかりの想像力があれば、誰にでもわかるはずなのだが……。▶︎さらにもう一つのポイントとして「消費税増税」の思惑も挙げる。▶︎「2020年度の消費税は20兆9714億円で、前年よりも2.6兆円増えて初めて20兆円の大台に乗りました。▶︎所得税・法人税・消費税で“基幹三税”と言いますが、消費税が初めてトップに立ったのです。▶︎このからくりは簡単で、2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げた効果が如実に出ているということ。▶︎例えば、100円のものが108円から110円になって『たった2円じゃないか』と思うかもしれませんが、8円→10円は25%増えており、税収の規模全体で見ると大きな効果を与えることになります」▶︎確かに、景気に関わらず最低限必要な消費は誰もがするため、増税で一定の税収を得ることはできたろう。▶︎しかし、経済的弱者からとりすぎになるという不平等感を訴える人は多い。▶︎さらに忘れてはいけないのは、消費税を上げるときに社会保障などが理由とされたにもかかわらず、実質、負担が増えるばかりで、社会保障には使われていないこと。▶︎それどころか、2022年12月には、復興税の一部を防衛費財源に転用する方針まで打ち出している。▶︎これは「復興のためなら仕方ない」と受け入れていた多くの人々を裏切る行為ではないか。
◆【第2の疑惑】バラマキ『再分配政策』で、「地方創生」は達成できるのか?
さらに岸田首相が進めようとしていることの2つ目として、笹埜氏は「地方後回し」疑惑を挙げる。▶︎「岸田首相の『新しい資本主義』の名のもと、所得格差が話題となっていますが、特に地方創生の観点からは、地域間の所得格差が問題となるでしょう。▶︎地域所得格差の問題というと、とかく単なるバラマキの『再分配政策』にばかり耳目が集まりがちですが、もっと地道な構造改革が必要です。▶︎実際、海外では地域を盛り上げるための法人、企業の設立などがすでにトレンドになっています」▶︎実は戦後以降、1人当たり実質県民所得で見た🇯🇵日本の地域間所得格差は、長期軸では縮小傾向にあったという。▶︎それは、地域が競争力を持つ特定産業に特化し、競争力を高めたことが背景にあるというが、一方、農林水産業に特化した地域(北海道や宮崎など)では東京との所得格差が縮まらないという、業種間の違いが課題となっている。▶︎「今後、地域間の所得格差を縮小するためには、国内の他地域への財・サービスの販売(移出)と、国外への財・サービスの販売(輸出)により、高付加価値の財・サービスを地域内で生み出すことが重要です。▶︎特に、海外向けの純輸出の高い地域においては、より東京との所得格差は小さくなっています。▶︎しかし、現在、純移出、純輸出がプラスとなっている地域は、関東や東海などの一部地域にとどまり、北海道、東北、山陰、四国、九州・沖縄では純移出や純輸出はマイナスとなっています。▶︎そのため、地域の得意分野で移出や輸出を伸ばす一方、原材料等の購入で所得が他地域へ流出するのを抑えるよう、地域内に関連産業のすそ野を広げるなどの地道な構造改革も必要です」
◆【第3の疑惑】本当に「🇯🇵日本の生産性」は低いのか?
そして3つ目の疑惑は、「🇯🇵日本の生産性は本当に低いのか」という問題だ。▶︎「🇯🇵日本のGDPは🇺🇸アメリカ、🇨🇳中国に次いで3位ですから、本来は、生産性が低いと言い捨てることが賢明とは思えません。▶︎一方、経済成長の方法は、『人を増やす、資本を増やす、生産性を上げる』の3つしかないと思っていますが、🇯🇵日本の人口は縮小していますし、資本はたくさんあっても、生産性が非常に低い。▶︎つまり、『生産性を上げる』しかないという結論に行きつくのですが、では生産性を上げるにはどうしたら良いか。▶︎ガバナンスを改善し、資本配分を改善し、企業が保有する巨額の資金を再投資することで、生産性は向上するのですが、こうした解決策は一切語られないですよね?▶︎🇯🇵日本には技術など、資本がたくさんあるのに、アピールする力がないために、海外に販売することができていない。▶︎そこを棚上げしたまま補助金等をちらつかせ、『人を育てよう』『生産性を上げるためにスタートアップ企業に投資しよう』といった、流行語の寄せ集めのようなことを打ち出すばかり。▶︎そんなスタートアップ企業の補助金に関しても、急に創薬関係などに絞ってきましたからね」
◆「新しい資本主義」は、“増税の口実”?
そうした根拠は、岸田首相の掲げる「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を読み込むと見えてくると言う。▶︎「グランドデザインでは、『生産性』について3回しか言及されていないのに対し、『支援』という言葉は54回も出てくる。▶︎『ガバナンス』や『株主』は一度も出てきません。▶︎また、『賃金』は、19~20回。▶︎ガバナンスと労働法の柔軟化でなければ、利益と賃金を増やす仕組みは一体何なのでしょうか。▶︎どうやら政府は、企業に対して価格を上げて賃金を上げるよう要求すれば、賃金が上がると考えているようですが、企業は競争しなければならないのに、ただ価格を上げるわけにはいかないですよね。▶︎結局、価格を上げれば、競争に負けてますます収益を失い、利益が減り、ボーナスが減り、倒産する方程式です。▶︎彼らは『来春の賃金交渉においては、物価上昇をカバーする賃上げを目標にして、価格転嫁や生産性向上策の強化や補助制度の拡充を図る (補助金、支援)とともに、非正規労働者の賃金改善のため、同一労働同一賃金制の遵守を徹底する』と述べています。▶︎しかし、企業に値上げや賃上げを促し、その両方を行えば企業に何らかの短期的な税制優遇があるなどという話をしているだけ。▶︎それは、15年後にこの経済を成長させ、若者のために活気と興奮と利益をもたらす長期的戦略ではありません。▶︎実際、ほとんど達成できないでしょうし、私たちをより大きな負債に追いやるでしょう。▶︎その負債は増税という形で若者が支払わなければならなくなるのです。▶︎自民党が本当に生産性を上げようとしているとは思えない。▶︎結局、増税のための口実として、新しい資本主義を悪用しようとしているように見えてしまうのです」▶︎では、今後、生産性を高めるためにはどうしたら良いのか。▶︎その答えは「🇺🇸アメリカの投資家に売ること」と笹埜氏は言う。▶︎「世界の投資家の持っている資産の半分が🇺🇸アメリカなんですよ。 ▶︎そんな中、今、🇺🇸アメリカの投資家の発想は、ESG(環境Environment/社会Social/ガバナンスGovernance)が基本で、ちゃんとエビデンスに基づいた経営をしているかどうかを見るのですが、🇯🇵日本ではそうした企業情報をまとめた統一のプラットフォームがないから、せっかく優れた技術を持っていて、サステナブル(持続可能)な経営をしていても、🇺🇸アメリカの投資家にアピールすることができない。▶︎そこで私たちが今行っているのが、そうしたプラットフォーム作りなんです」▶︎「🇯🇵日本は生産性が低い」「🇯🇵日本は終わっている」ではなく、優れた技術をアピールする方法を持っていないだけのこと。▶︎そう聞くと、「価格上げ→賃金上げ」のムリゲーとは異なるロジックで確かな光が見えてきそうな気はする[*FRIDAY DIGITAL 2023.01.13付記事抜粋/解説:笹埜健斗氏・サステナビリティ学者/取材・文:田幸和歌子氏・フリーランスライター]
=======================
【掲載日時】2023年1月13日(金)

