【地球崩壊カウントダウン?〜忍び寄る気候変動の傾向 vol.62


『【解説】核融合が大きく前進21世紀における最も偉大な科学的功績の一つ」と🇺🇸米エネルギー省長官』


🇺🇸実験に寄与した同施設の前置増幅器]

念願の「エネルギー純増」ついに成功、🇺🇸米研究所

恒星のエネルギー源となっている核融合を利用して、この地球上で大量のクリーンエネルギーを作ることはできないものか。▶︎60年以上にわたって、科学者たちは物理学が提示するこの難題に取り組んできた。


[ローレンス・リバモア国立研究所全景]

そして1213日、🇺🇸ローレンス・リバモア国立研究所は、この分野において画期的な成果があったと発表した。▶︎研究所の核融合炉が、投入したエネルギーよりも多くのエネルギーを取り出すことに成功したというのだ。▶︎125日、同研究所の国立点火施設(NIFで、凍らせた重水素と三重水素の球(ペレット)を小さな円筒に入れ、2.05メガジュールのエネルギーをレーザー照射したところ、ペレットは圧縮されて高温高圧の状態になり、中に入っている水素の核融合が起こった。▶︎10億分の1秒以下というごく短い間に、融合した原子核はペレットを熱するのに使われたエネルギーよりも約50%多い3.15メガジュールのエネルギーを発生させた。▶︎わずか一瞬で終了したものの、この成果が後々まで与える影響は大きい。▶︎核融合の研究者たちは長年の間、入力したレーザーエネルギーを上回る核融合エネルギーを生む「エネルギーの純増」を達成しようと努力を重ねてきた。▶︎21世紀における最も偉大な科学的功績の一つです」。▶︎ワシントンDCで行われた記者会見で、🇺🇸米エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官はそう発言した。▶︎エネルギー純増を達成することで、NIFは、簡単に核融合反応が持続する状態を作る「点火」が可能であることを示した。▶︎点火の条件を詳しく研究することは、「熱核融合の分野全体に大変革をもたらすことになるでしょう」と、今回の記録的な実験に携わった🇺🇸米マサチューセッツ工科大学のプラズマ物理学者ヨハン・フレンジェ氏は言う。▶︎ただし、この成果がすぐに実用化につながるわけではない。


NIF核融合反応で作り出されたエネルギーは、原子核を熱するために使用したエネルギーよりは多かったものの、核融合炉が使用した総エネルギーを上回ることはなかった。▶︎ローレンス・リバモア国立研究所の所長であるキム・ブディル氏によると、照射した約2メガジュールのレーザーを作り出すために、300メガジュールのエネルギーが必要だったという。▶︎「あとはNIFを電力網に接続するだけ、というわけにはいきません。▶︎今回の結果は、基礎的な部分に過ぎないのです」

核融合の火花


核融合核分裂は、どちらも原子からエネルギーを得るが、その仕組みは異なる。現在運用されている原子力発電所は、ウランなどの大きくて重い原子が放射性崩壊を起こすときにエネルギーを解放する核分裂反応を利用している。▶︎一方、核融合の場合、水素のように小さくて軽い原子が互いに融合して大きな原子(ヘリウム)となり、その過程で合体した質量の一部がエネルギーとして放出される。▶︎実験室では、水素の原子核を融合させてヘリウムにするために、太陽の内部より数倍高い温度までこれを熱し、電子と原子核がばらばらに離れた「プラズマ状態」にして、閉じ込めておく必要がある。▶︎できるだけ高温・高密度のプラズマを作り、そのなかの原子核が点火に達するまで閉じ込めることができる核融合炉の研究は、1950年代末頃から行われてきた。▶︎ところが、プラズマはコントロールが難しいという問題がある。▶︎電気を帯びているため、磁場に反応したり、自分で磁場を作りながら動き回る。▶︎これらを融合させるには想像を絶する高い温度にまで熱する必要があるが、放っておくととばらばらに飛んで行ってしまうため、すぐに熱が冷めてしまう。▶︎🇺🇸米ロチェスター大学の物理学者でレーザー核融合を専門とするリカルド・ベッティ氏は、核融合の点火の難しさを、ガソリンの燃焼と比較する。▶︎少量のガソリンが空気と混じり合ったところに火花を当てると、ガソリンは引火する。▶︎火花そのものはごくわずかでいい。▶︎火が付きさえすれば、あとは勝手に燃え広がるだけだ。▶︎核反応からは、ガソリンに起こる化学反応と比較してざっと100万倍ものエネルギーが得られるが、その反応を起こすまでがはるかに難しい。▶︎過去の核融合実験では、点火に至るための温度、圧力、プラズマの閉じ込め時間のどれか一つを達成したことはあるが、全てを同時に達成したことはない。

核融合発電の夢

NIFが核燃料の火花として利用したのは、コショウ粒大のペレット。▶︎その中には、重水素と三重水素を混ぜ合わせて凍らせたものが入っている。▶︎これを、「ホーラム」と呼ばれる小さな円筒のなかに置くと、両側の穴から内部に向けて、192本のレーザーを一斉に照射する。▶︎これによりペレットの内部は高温高密度に圧縮され、中に入っている重水素と三重水素が核融合を起こす。▶︎NIF核融合「点火」を目的に1997年に着工、2009年に運用を開始した。20218月には、1.92メガジュールのレーザーエネルギー入力に対して、それまでで最高の1.32メガジュールが出力されたことを報告していた。▶︎しかし、ここからさらに核融合炉の商業化にこぎつけるのは簡単なことではない。▶︎ベッティ氏は、このような核融合炉が自らのエネルギー消費を賄いながら電力網に電気を供給するためには、レーザーが発するエネルギーの50100倍のエネルギーを作る必要があるという。▶︎また、毎秒10個のペレットを長時間蒸発させ続ける必要があるが、このペレットの製造には、現時点では莫大な費用が掛かる。▶︎しかも、そのために必要な水素の放射性同位体である三重水素は短命なため、原子炉がある場所でペレットの製造もしなければならない。▶︎こうした課題のほとんどはNIFに限ったことではなく、世界中の核融合研究所や民間企業が解決に向けて取り組んでいる。▶︎これらの研究が実を結び、新しいエネルギーの未来が実現するのはいつになるのか、そもそも実現するのかすら、はっきりとは分からない。▶︎しかし核融合の研究者たちは、この技術が実現したとき、人類にとって素晴らしいツールになると信じている[*NATIONAL GEOGRAPHIC 2022.12.15付記事抜粋]

『レーザー核融合で「ブレークスルー」クリーンエネルギーへの投資加速か』


[カリフォルニア州のローレンス・リバモア研究所にある国立点火施設]

🇺🇸アメリカエネルギー省の科学者たちは、核融合反応で初めて、投入したエネルギー以上のエネルギーを生み出した。▶︎125日、ローレンス・リバモア国立研究所にある国立点火施設で、このマイルストーンが達成された。▶︎原子力発電の擁護者は、これによってクリーンで安く、ほぼ無限の電力開発に向けて一歩前進したと述べている。▶︎核融合反応を活用するための「ブレークスルー(突破口)」が達成された。▶︎🇺🇸アメリカエネルギー省(DOE)は20221213日、核融合エネルギー研究における画期的なマイルストーンについて公式発表を行った。▶︎投入したエネルギー以上のエネルギーを生み出す核融合反応(ネット・エネルギー・ゲイン:正味のエネルギー利得)に、初めて成功したのだ。


[核融合に必要な条件を満たすために、ターゲットにレーザーを照射するイメージ図]

125日、カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所(LLNLで核融合の実験が行われ、2.05メガジュールのエネルギーを投入したところ、3.15メガジュールのエネルギーが生成された。クイーンズ大学ベルファストの物理学者であるジャンルカ・サリは「科学的にこれが可能であることが示されたのは初めてだ」とNew Scientistに語っている。▶︎「理論的にはできるはずだと分かっていたが、これまで実験で確認されたことはなかった」

核融合エネルギーとは何か、そしてなぜそれが重要か

核融合は、軽い原子核同士が融合してより重い原子核になることだ。▶︎例えば、水素の同位体である重水素と三重水素の原子核が融合すると、ヘリウムになる。このプロセスで爆発的なエネルギーが大量に放出されるとDOEは説明している。▶︎これは、現在商業的に利用されている原子炉を動かしている核分裂とは逆の反応だ。▶︎核融合は恒星の中心で自然に起こる現象で、そうしてエネルギーが生み出されている。1950年代から、この現象を地球上で再現する方法について研究が行われてきた。▶︎原子力発電擁護者が言うところのクリーンで安く、ほぼ無限の電力を開発するためだ。


[ロシアのレニングラード原子力発電所(2022914日撮影)]

国際原子力機関(IAEA)によると、核融合で生み出されるエネルギーは、同量の燃料を原子力発電所で核分裂させて得られるエネルギーの4倍で、石油や石炭を燃焼させて得られるエネルギーの約400万倍だという[*BUSINESS INSIDER JAPAN 2022.12.15付記事抜粋]

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【掲載日時】20221215日(木)