【シンCOVID-19襲来〜来るべき医療逼迫に備える知識 vol.50


『新型コロナ “8” 年末年始は?…わかってきたこと』


10月から増加傾向が続いてきた新型コロナの「第8波」。しかし、全国の感染者数は爆発的には増えず、微増・微減を繰り返して、ほぼ横ばいの状態になっています。これがピークで、減少に転じるのか。年末年始にかけての感染状況はどう推移していくのでしょうか。(129日時点)

「第8波」は横ばいに、今後は


新型コロナの1日の感染者数は127日、全国で149383人となり、「第8波」では最も多くなりました。▶︎亡くなった人の数も増えてきていて、128日には243人となっています。▶︎ただ、1週間平均の1日あたりの感染者数は、12月に入ってから横ばいの状態が続いています。▶︎厚生労働省の専門家会合は127日、「全国的には増加速度の低下が続き、足元で横ばいとなっている」と指摘しました。▶︎いまの状況をどうみればいいのか。▶︎手がかりとなるのは感染の主流となっている変異ウイルスの状況です。▶︎今、主流となっているのはオミクロン株の「BA.5」。▶︎ことし夏の「第7波」を起こしたものと同じです。▶︎専門家は、これまでの「第8波」は、市中に残っていた「BA.5」が再燃している状態だと考えられるとしています。▶︎実際に「第8波」は「第7波」での感染者数が比較的少なかった、北海道や東北などの地域から拡大しました。▶︎今、この「BA.5」の感染が収まりつつあるため、感染者数は横ばいのような状態にあると考えられています。▶︎それが今、次の主流になりうるオミクロン株の一種「BQ.1」系統などの新たな変異ウイルスが増え始めようとしていて、さらに拡大することが懸念されています。▶︎厚生労働省専門家会合・脇田隆字座長:「感染拡大が比較的先行した、北海道、東北、北陸甲信越などで、頭打ちあるいは減少となっている。▶︎ただ、その他の地域では遅れて感染拡大が始まっていて、特に大都市圏では緩やかな増加が続いている。▶︎全国的に見るとやはり増加傾向が続いていくとみられる。▶︎いまは『BA.5』が中心だが、『BQ.1』の割合が徐々に増えていて、この割合がさらに増えていったときに影響が出てくると考えられる」。

新たな変異ウイルス拡大でどうなる?海外では入院急増も

今、検出が多くなってきているのは「BA.5」のスパイクたんぱく質の部分に変異が加わった「BQ.1」と、そこにさらに変異が加わった「BQ.1.1」です。▶︎いずれも、免疫をすり抜ける性質が強く、感染拡大が懸念されています。▶︎BQ.1」「BQ.1.1」を合わせてBQ.1」系統と呼ばれています。


東京都のデータでは、111か月間では、ゲノム解析を行った変異ウイルスのうち、主流は「BA.5」で76.7%ですが減少傾向で、「BQ.1」は2.2%、「BQ.1.1」は7.5%と徐々に増えてきています。▶︎1121日までの1週間では「BA.5」は73.5%でしたが、「BQ.1」は2.6%、「BQ.1.1」は9.3%と増加してきています。▶︎BQ.1」系統が先行して増加した海外では、再び感染が拡大したり、重症者数が増えたりしています。▶︎ECDC(ヨーロッパ疾病予防管理センター)によりますと、BQ.1」系統の割合は、🇫🇷フランスでは、11月に入ってからは半数を超えているほか、🇪🇸スペインでは11月中旬には75%を超えるなど、11月下旬の時点でヨーロッパの7か国で最も多い変異ウイルスになっているとしています。▶︎BQ.1」系統が多くなっても必ずしも感染状況の悪化にはつながっていないとしている一方、一部の国では感染が広がりや重症化する人の増加につながっているとしています。▶︎また、🇺🇸アメリカのCDC(疾病対策センター)によりますと、🇺🇸アメリカでは、123日までの1週間で「BQ.1.1」が31.9%、「BQ.1」が30.9%と多くなってきている一方、「BA.5」は13.8%と減っています。▶︎さらに新規感染者数は、127日までの1週間でおよそ459000人と、前の週のおよそ307000人から増加し、亡くなった人も127日までの1週間で2981人と、前の週の1844人から増加しています。▶︎海外の感染状況に詳しい東京医科大学・濱田篤郎特任教授:「🇺🇸アメリカではBQ.1』系統6割に達し、特に11月下旬の感謝祭の休み以降、入院患者数が増えている。▶︎ヨーロッパでもBQ.1』系統が増えている国で重症患者が増えている国がいくつかある。▶︎データ上は感染者数そのものはそれほど増えていない国もあるが、軽症の感染者を捕捉できていないだけで、実際には、感染者数そのものが増えていることも予想される。▶︎🇯🇵日本ではまだBQ.1』系統があまり増えていないが、早々に波及してくるのではないかと考えられる。▶︎🇯🇵日本でも、新規感染者数や重症者数が増えることを想定しておく必要がある」。

忘年会、帰省、今後は行動次第で


国内でもBQ.1」系統の割合は今後、増加すると予測されています。▶︎国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長が127日、厚生労働省の専門家会合に示した資料によりますと、1211日までの1週間では、「BA.5」が54%、「BQ.1」系統が36%、「BA.2.75」が8%、「XBB」が3%になると推定されています。▶︎BA.5」がことし夏の感染拡大を引き起こした際の増加スピードには及びませんが、徐々に「BQ.1」系統が増えていくという予測です。▶︎名古屋工業大学の平田晃正教授のグループは、AI=人工知能を使って、新たな変異ウイルスの状況や125日までの感染状況、ワクチンの接種状況、それに、ツイッターなどで出てきた飲み会の開催状況などの情報を加えて、今後の感染状況を予測しました。


東京都の1週間平均の1日あたりの新規感染者数は12月上旬時点ではおよそ12000人ですが、新たな変異ウイルスの感染力が1.2倍と想定すると、忘年会の開催状況が抑え気味となるなど、社会の活動が控えめな場合には、年明けにかけて緩やかに上昇し、1月上旬におよそ19000人でピークとなるとしています。▶︎一方で、社会活動が大きかった場合には12月下旬には2万人を超え、1月上旬にはおよそ28000人に達するという試算が示されたということです。▶︎名古屋工業大学・平田教授:「今後の感染者数の推移は私たちの行動次第だ。▶︎社会の行動がいまと同じ程度であれば、感染者数はゆっくりと上昇していく可能性が高いと思う。▶︎一方で、忘年会など年末年始で人の交流が増えてくるので、これから上昇に転じる可能性は十分ある。▶︎SNSの投稿を分析していると、11月下旬くらいから飲み会などの開催が増えていて、これから昔の友人と会うといった機会も増えると思うので、人と人との接触の機会は増える。▶︎そういったときに、感染対策が十分でなく、人の行動も抑えられなかった場合には、『第7波』に相当するような感染状況になる可能性はある」。▶︎東京医科大学の濱田特任教授は、海外からの流入も想定しておくべきだと指摘しました。▶︎濱田特任教授は、🇨🇳中国が「ゼロコロナ政策」を転換し、今後、🇯🇵日本への旅行者が増えることも考えられるとして、国内への感染状況に影響が出る可能性があるとしています。▶︎また、サッカーのワールドカップ🇶🇦カタール大会が開かれている🇶🇦カタールからの帰国者で、空港での検疫で感染が確認される例が相次いでいることも、懸念材料だと指摘しました。▶︎東京医科大学・濱田特任教授:「ワールドカップの会場などで新型コロナが流行しやすい状況があったのではないかと考えられる。▶︎新型コロナを疑う症状がある場合には、空港でも自宅に帰ってからでもいいので、積極的に新型コロナの検査を受けていただきたい」。

インフルエンザの同時流行も警戒を


今後、インフルエンザの流行が拡大する可能性も指摘されています。▶︎1医療機関あたりの患者数は124日までの1週間で全国では0.13人と、流行入りの目安とされる「1」を大きく下回っています。▶︎新型コロナウイルスが感染拡大して以降、おととし(2020)と去年(2021)はインフルエンザの感染が広がりませんでしたが、124日までの1週間では38の都道府県で患者が報告されています。▶︎厚生労働省の専門家会合は、インフルエンザの流行状況は引き続き低い状態ではあるものの、関西を中心に学級閉鎖が散発的に起きていて、注意が必要だとしています。▶︎また、WHO=世界保健機関は1128日の発表で「インフルエンザの感染は世界的に増えてきている」として、特に北米では流行が急激に拡大していると指摘しています。▶︎濱田特任教授は「🇺🇸アメリカや🇬🇧イギリス、🇵🇹ポルトガル、🇩🇪ドイツなどでインフルエンザの感染者数が増えている。▶︎ことしは『A香港型』と呼ばれるタイプが流行していて、高齢者では重症化することもあるため注意が必要だ」と話しています[*NHK NEWS WEB 2022.12.10付記事抜粋]

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【掲載日】20221212日(月