【盛者必衰・ビッグテックの落日〜新たなパラダイムシフトを探すためのヒント vol.3】
■『YouTube、Twitter、Netflix…大手のビジネスモデルが完全崩壊…ネットが“お金を払って広告を見る時代”に突入するこれだけの理由』
◆「広告を見る代わりに無料で楽しめる」時代は終わった
インターネットサービスは広告を見る代わりに無料で楽しめるもの、という牧歌的な世界観は崩れた。▶︎その背景には、行動履歴を大量に蓄積して利用者の性質に合わせて最適な広告を出すという大手プラットフォームによるターゲティング広告の限界が2つの点で明らかになっている。▶︎1つめはターゲティングの精度が限り無く高まった結果、競合に勝る認知の獲得のためには結局従来のテレビCMのようなマスメディア広告との組み合わせが不可欠になったこと。▶︎ターゲティングを行うのはもう当たり前で、それだけでは広告の効果が十分に出なくなってしまっている。▶︎もう1つはユーザーの嗜好が細分化し、SNS上でもその好みに応じたコンテンツを積極的に表示するアルゴリズムの精度が上がった結果、コミュニティの分断が起こったことだ。▶︎ターゲティングを正確に行おうとすると、あらゆる広告クリエイティブの種類が求められる傾向が強まっている。▶︎結局、細分化されたターゲットに対して広告のバリエーションを際限なく準備するには莫大なコストが掛かるので、マスメディア型の広告を大量投下し認知度を上げる手法に回帰しつつある。▶︎YouTubeを無料で利用しようとすると頻繁に、さほど最適化されているとも思えない広告を「見せられる」のはそのためだ。
インターネット広告を巡るプラットフォームの「変質」が最も如実に表れたのがTwitterだ。▶︎世界でMAU3億3300万人を擁するTwitterは、スタート以来利益がほとんど上がらず累積赤字が積み上がっていた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【用語解説】
◉『MAU』=MAUMonthly Active Usersの略。 Webサイトやアプリ、各種オンラインサービスで、特定の月に1回以上利用や活動があったユーザーの数。 ユーザーの利用実態を把握するために使われる指標。 同様に特定の日の利用実態を把握する指標としてDAU(Daily Active Users)がある。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
先に挙げた2つの要因に加え、先の🇺🇸アメリカ大統領選挙で起こったようなデマやヘイト投稿を繰り返すアカウントが大量に登場するなど政治的な分断とそれを巡る混乱が可視化されることでメディアとしての信頼性が高まらず、広告主にとってメリットよりもリスクの方が大きいメディアという印象が強まった。▶︎Twitterはそれを引き起こしていると見られるアカウントを大量に凍結・排除することでその改善を図ろうとしたが、人的リソースが際限なく必要な上に、誤認によると見られる処置も相次ぎ、今度はユーザーの満足度が下がるというジレンマに陥っていた
Twitterはイーロン・マスクによる買収を契機に、ビジネスモデルを広告から認証アカウントの有償化によるユーザー課金型に転換を図ることで、このジレンマから脱しようとしているが、これが成功するかどうかは不透明だ。▶︎凍結されていたトランプ大統領のアカウントを自身のアカウントでのアンケート結果のみで復活させるなど、拙速なマスク氏の姿勢にも疑問が投げかけられている。
◆Netflixはテレビに取って代わる存在にはならない?
◆1カ月で広告を見る時間は9000円相当?
ITサービス側が取る手立ては、マスク氏のTwitterが認証アカウントへの課金を急いだように、私たち顧客(コンシューマ)に直接課金する方向しかない。▶︎もしそれを嫌うなら、YouTubeが既にそうなりはじめているように延々と広告を見続けることになる。
ある調査では、20代の19%が1日「3時間」もYouTubeを見ている、という結果も出ている。▶︎仮に5分の動画に6秒のバンパー広告を5回=30秒見るとすれば、1時間あたり360秒=6分間、3時間なら18分間CMを見ることになる。▶︎これを1カ月続ければ540分=9時間。▶︎時給1000円換算なら9000円分となる。▶︎まだここまで大量のCMが挿入されてはいないが、時間対費用のパフォーマンスを考えれば、CM無しで視聴可能となり、動画のダウンロードもできるYouTubeプレミアム1180円は割安に見えてこないだろうか?▶︎一方、海外では「OTTダイエット」という言葉も聞かれるようになった。▶︎OTT=オーバーザトップとは、動画などコンテンツ配信系のサービス全般を指す。▶︎1つ1つは月額数百円~千円前後と大きな負担ではないが、それが積み上がると家計への負担は無視できないものとなる。▶︎コンテンツの重複もあるなか、できるだけ契約数を絞り込むことが家計の防衛策となるというわけだ。
実際、動画サービスの利用状況を見ても1年に1~2サービスしか利用しない人が全体の9割を占める。▶︎サービスを絞り込む傾向は、円安・物価高を受けて更に強まっていくはずだ。▶︎ITジャーナリストの西田宗千佳氏は対策として「たとえ割安であっても、1つのサービスに縛られることになる年間一括契約は避けるべきだ」と指摘する。▶︎独占タイトルなどその都度利用したいコンテンツに応じて契約サービスを切り替えた方が、結局コスパが良いというわけだ。▶︎インターネットサービスの利用が広告によってほぼ無料であった時代は終わり、対価を求められる場面は動画以外でも増えてくるはずだ。▶︎サービスの取捨選択、契約形態について賢さが求められていくことになる[*文春オンライン 2022.12.08付記事抜粋/まつもとあつし氏・Webライター]
=======================
【掲載日】2022年12月8日(木)







