【汚れた東京五輪(パクリんピック)第2章〜《逃げ得は許さない!》東京地検特捜部が追う東京五輪官製談合疑惑 vol.1》
■『五輪組織委、官製談合か…テスト大会業務で「割り振り表」作成』
東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合疑惑で、広告会社などから大会組織委員会に出向した複数の職員がテスト大会の業務について入札開始前に広告業者側に希望する競技会場を聞いて回り、「割り振り表」を作成していた疑いがあることが関係者への取材で判明した。▶︎実際の受注は、ほぼ表の通りになっていたという。▶︎東京地検特捜部はこの割り振り表を入手しており、業者間の受注調整を示す証拠と位置付けている模様だ。▶︎東京五輪・パラ特別措置法は組織委職員を「みなし公務員」と定め、民間からの出向者にも適用される。▶︎発注元の組織委側が割り振り表の作成に関与した疑いが浮かび、疑惑は業者間の受注調整にとどまらない「官製談合」となる可能性が出てきた。談合の疑いがあるのは、テスト大会の計画立案業務の入札。▶︎テスト大会は本番と同じ会場で運営の問題点を洗い出し、本大会に生かす目的がある。▶︎組織委は2018年に競技会場ごとに26件の競争入札を実施し、大手広告会社「電通」など9社と共同企業体1団体が総額計約5億3000万円で落札した。▶︎関係者によると、テスト大会の運営は組織委大会運営局が担い、職員には広告会社やイベント会社の社員が出向していた。▶︎このうち一部の出向者が2017年ごろから、9社を中心に希望する競技会場や入札への参加意向を聞き取り、割り振り表を作成していたという。▶︎企業ごとに実績のある競技は異なり、各社の意向で表を随時更新し、そのたびに各社で共有していた。▶︎落札業者の中には、組織委元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=に賄賂を贈ったとして前社長らが贈賄罪で起訴された大手広告会社「ADKホールディングス」のグループ会社が含まれ、割り振り表は汚職事件の捜査の過程でADK側が特捜部に提出したとみられる。▶︎独占禁止法は業者間の受注調整を「不当な取引制限」として禁じるが、公務員が業者に談合をそそのかしたり、入札に関する秘密を漏らしたりした場合は官製談合防止法が適用される。▶︎東京都が資本金の半分を出資している組織委は同法の対象となる。▶︎組織委は大会公式報告書で、テスト大会の発注先について「総合評価方式一般競争入札により、厳正かつ慎重な選考に基づき決定した」としている[*毎日新聞 2022.11.23付記事抜粋]
▶️組織委の大会公式報告書内容など示されても、な〜んの説得力もない。なぜならその報告書も、組織委に出向している電通社員によるご都合作文に過ぎないのだから…。東京五輪にまつわる“官製談合疑惑”。果たして、ゼネコン・政界ルートへ司直の手が伸びるか?〆
■『汚職の次は談合疑惑…東京五輪の実態を解明しないまま札幌招致を進めると何が起きるのか』
汚職事件が「一区切り」した東京五輪で、今度は談合疑惑が浮上した。▶︎本番の前に運営体制をチェックするテスト大会の入札で、何が行われていたのか。▶︎汚職捜査「終結」で、国や都は再発防止のための有識者会議を立ち上げているが、そもそも今回の汚職や談合がどこまで検証されるかは未知数。▶︎東京五輪の実態解明なくして札幌招致はあり得ないと、専門家は強調する。
◆「組織委の組織自体が腐っている」
東京五輪の主会場だった国立競技場(東京都新宿区)。▶︎近くの「日本オリンピックミュージアム」前にある五輪モニュメント前では、11月22日も観光客らが写真を撮る姿が見られた。
「組織委員会の組織自体が腐っているのだろう。▶︎五輪で頑張ったスポーツ選手は悪くない」。▶︎鹿児島県から自治会の旅行で訪れた男性(64)は談合疑惑について、こう断じた。▶︎「スポーツを利用して金もうけしている。▶︎こういう話が後から出てくるのは残念」▶︎明治神宮外苑のイチョウを見に来た50代と70代の女性2人は「やっぱりお金が動いていた。▶︎札幌で誘致しているけど、もう🇯🇵日本では五輪はやってほしくない」と競技場を見上げ、ため息をついた。▶︎談合が疑われているのは、五輪・パラリンピック本番前に行われたテスト大会関連の入札だ。▶︎大会組織委員会(清算法人へ移行)の公開資料によると、2018年に計26件実施されたテスト大会の計画立案などの業務委託事業で、広告大手の電通など9社と1共同事業体が落札。▶︎落札業者らが受注調整した疑いがあるという。▶︎テスト大会は、本大会と同じ競技場を使って運営や警備、誘導の課題を洗い出すため、2018〜2021年に56回行われた。▶︎清算法人よると、そこで落札した業者と事業体が、いずれも本大会運営の随意契約を締結している。▶︎担当者は「競争入札した計画について、落札業者に本番での実施能力があると判断した。▶︎それぞれの段階で、組織委の手続きに沿って契約している」と説明する。
◆「海の森」の落札率は驚異の99.99%
元日本オリンピック委員会(JOC)参事で五輪アナリストの春日良一氏は「テスト大会は各競技の国際連盟と調整、交渉をしながら実施する必要があり、本番を見据えた計画となる」と証言する。▶︎大規模な国際スポーツイベントならではの難しさがあるようだ。▶︎ただ、東京五輪で談合疑惑が取り沙汰されたのは今回が初めてではない。▶︎2014年、旧国立競技場の解体工事の入札で官製談合が疑われ、再入札が行われる事態になった。▶︎2016年には、競技施設の設計・施工の入札で極めて高い落札率が問題視された。▶︎ボートやカヌーの会場となった海の森水上競技場は、一つのJV(大成JV)しか入札がなく、落札率は99.99%。▶︎バレーボールなどの会場になった有明アリーナは二つのJV(竹中JV/大林JV)による入札となり、落札率は99.82%だった。▶︎相次ぐ問題を検証しようにも、大会開催後、組織委は解散。▶︎経費に関する契約書などの文書は清算人が10年間保管するが、開示の義務はない。▶︎元博報堂社員で作家の本間龍氏は、五輪そのものが持つ、こうした不透明な体質を問題視する。▶︎「スケジュールありきで入札の不成立が許されないという発注側の弱みがあり、結局、五輪は談合の温床になりやすい構造を持っている。▶︎組織委が電通におんぶに抱っこで、今回のようなことが起こらないわけがない」
◆ガバナンスの検討組織が検証するものは
五輪汚職を踏まえ、国や都は、再発防止に向けて大規模なスポーツ大会の組織ガバナンス(統治)の在り方を検討する組織を立ち上げる方針を示した。▶︎11月18日には、国のプロジェクトチーム(PT)が第1回会合を開催。▶︎スポーツ庁の室伏広治長官は「不退転の覚悟で一丸となって取り組みを進める」とあいさつした。▶︎だが、構成メンバーをみると、第三者の弁護士や公認会計士のほか、日本オリンピック委員会(JOC)幹部ら利害関係者が含まれている。▶︎会議では、組織委の元職員らへのヒアリングも予定されてはいる。▶︎ただ、その目的は「今後の国際大会運営の透明化、公正化に向けての検討」(永岡桂子文部科学相)で、五輪汚職そのものの検証ではないそうだ。▶︎スポーツ庁の担当者は「汚職は刑事事件なので背景は公判で明らかになる。▶︎PTはガバナンスの改善点を出す場」と説明する。▶︎一方の東京都も、12月中に有識者会議を設置する。▶︎弁護士など5〜6人で構成し、国際スポーツ大会の情報公開の在り方などを議論するが、こちらも「汚職事件や談合疑惑について議論する想定はない」(都スポーツ総合推進部の横山潤氏)という。
◆「ポーズに過ぎない」「全く期待できない」
五輪を巡る問題に詳しいジャーナリストの後藤逸郎氏は「過去の問題点をあぶり出さないで、次に生かせるはずはない。▶︎国も都も組織委にたくさん職員を出向させていたわけで、彼らに聞き取りして事件の検証はある程度できる。▶︎それをしないのは、札幌の五輪招致に向けていろいろ対策してます、というポーズに過ぎないからだ」と指摘する。▶︎スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏も「スポーツ庁を中心にした身内の検証では全く期待できない。▶︎過去の徹底検証がないなら、上っ面の体裁だけに終わってしまう」とあきれる。▶︎バタバタと「検証」が打ち出されたのは、東京地検特捜部が受託収賄罪で4回起訴した組織委元理事の高橋治之被告(78)の捜査が「一区切り」したと、メディアが一斉に報じた直後だ。▶︎国や都の担当者は「たまたま」と口をそろえるが、東京五輪の不祥事に幕を引き、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致に進むには絶好のタイミングだったのかもしれない。▶︎しかし今度は談合疑惑が浮上し、冬季五輪招致を目指す札幌市を直撃。▶︎贈収賄事件を受け、9月にJOCと連名で大会運営の透明性と公平性を確保する「宣誓文」を出したばかりだった。▶︎新たな疑惑に、スポーツ局の戦略誘致担当課長の松島康之氏は「状況を見守っていくしかない」と困惑気味だ。
◆札幌市民は反対が賛成を上回る
ただでさえ札幌五輪に反対する市民は少なくない。▶︎3月の市の調査では賛成52%、反対38%で、その後のメディアの調査では反対が上回っている。▶︎さらに物価高で開催経費は170億円増え、総額2970億〜3170億円に修正されるなど、経費は増大方向だ。▶︎ここは一度立ち止まって、なぜ金にまみれた東京五輪となったのか検証すべきではないか。▶︎帝京大の川上祐司教授(スポーツマネジメント)は「広告代理店(電通)におんぶに抱っこの仕組みを変えないと、今後も同じようなことが起きかねない」と懸念する。▶︎宇都宮大の中村祐司教授(スポーツ行政学)は「五輪汚職は個人の誤った行為というレベルを超えた問題だ。▶︎特に大会主催者の東京都の責任は大きい。▶︎民間同士の契約だからとブラックボックス化した金の流れなど、実を持った形での検証は欠かせない。▶︎徹底検証の上で、新しい五輪の在り方を模索する転換点としてはどうか」と指摘する。
◉デスクメモ
独占禁止法は1条で、公正で自由な競争を促し事業活動を盛んにして「国民経済の民主的で健全な発達を促進する」目的を掲げる。▶︎東京五輪では、それを妨げる行為があったということか。▶︎コロナ禍で苦しんだ国民が憤るのも無理はない。繰り返す前に、再度住民の声を聞くべきだ[*東京新聞2022.11.23付記事抜粋]
▶️ 一斉に大手メディアが報じた「一区切り」「終結」という見出し……「五輪汚職」に多少でも関わり、身に覚えがある人々は、ほっと胸を撫で下ろしたに違いない。しかし、それはあくまで束の間の「(第一章の)一区切り・終結」にすぎない。そして新たに始まる東京地検特捜部・第二章「五輪談合ルート」解明劇。首を洗って待つがいい〆
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【掲載日時】2022年11月23日(水・祝)


