【自民党終焉への道〜戦後利権政治との決別 vol.54】
■『“政治とカネ”くすぶる「寺田・秋葉W更迭」は11.20しかない…岸田首相は決断できるか?』
[辞任は拒否の寺田稔総務相(左)と秋葉賢也復興相の2大臣]
急転直下の葉梨法相の更迭により、異例の未明出発にずれ込んだ東南アジア歴訪。▶︎岸田首相は、いまは外国でチヤホヤされていい気分かもしれないが、11月19日に帰国したら即刻、針のムシロだ。▶︎閣僚ドミノ辞任の有力候補に「政治とカネ」の問題がくすぶる寺田総務相と秋葉復興相が控え、国会が紛糾するのは必至だからだ。▶︎2人を辞めさせるなら、総合経済対策を盛り込んだ補正予算案の審議が始まる前の11月20日しかない。▶︎11月14日の参院行政監視委員会でも寺田氏はノラリクラリだった。▶︎妻に事務所の賃料を払って還流させていた裏金づくりの疑いや、妻が代表を務める政治団体が源泉徴収をせずにスタッフに人件費として報酬を支払っていた脱税の疑いなどを野党議員が追及。▶︎「もういい加減、辞任したらどうか」と迫られると、「疑惑であって、事実ではない」と辞任を拒否した。▶︎政治資金を所管する省庁トップが、自らの政治資金に疑惑を持たれ続ける重大性への意識は相変わらず薄い。▶︎国会でのこうしたやりとりは、寺田氏が辞任しない限り、ずっと続く。▶︎「今国会の会期末は12月10日で、残り1カ月を切った。▶︎総合経済対策のための補正予算と、岸田総理が今国会での成立を明言した旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済新法は何としても通さないといけないが、審議日程はかなり窮屈。▶︎まずは、補正予算だが、政府・与党は総理帰国後の来週11月21日からの審議入りと、衆参2日ずつの予算委員会で11月中の成立を目指していたが、野党の対応次第でどうなることか。▶︎そんな中で、予算委で寺田総務相や秋葉復興相が火だるまになれば、山際辞任の二の舞いです」(自民党関係者)
◆補正予算審議前のワンチャンス
[2度の失態から学んでいれば帰国直後に…?(G20に出席する岸田首相)]
山際前経済再生相の更迭では、10月の予算委が始まる前のタイミングで辞めさせず、結局、予算委後の追い込まれ辞任となり、岸田首相は“後手後手”批判を浴びて痛い目に遭った。▶︎葉梨氏更迭では、外交日程にまで影響するドタバタを演じた。▶︎2度の失態から学んでいれば、岸田首相は、アジア歴訪から帰国する11月19日から補正予算案審議を見込む11月21日までの間、つまり11月20日に問題2閣僚をダブル更迭しなければ、政権運営は立ち行かなくなる。「寺田・秋葉の両大臣をこのまま続投させれば、会期内に補正予算は成立させられても、その後が進まない。▶︎被害者救済新法で野党に相当譲歩しなければならなくなる。▶︎内閣支持率もさらに下落という悪循環でしょう」(前出の自民党関係者)▶︎岸田首相の本音は、今国会を閉じた後に、高木ポンコツ国会対策委員長を含めた閣僚・自民党執行部人事の“総とっかえ”ともいわれている。▶︎だったら自分も辞めて、内閣総辞職した方が早いんじゃないか[*日刊ゲンダイDIGITAL 2022.11.16付記事抜粋]
■『岸田内閣の支持率は続落…その原因と今後の見通しは』
岸田内閣の支持率を問う主要報道機関の世論調査が週末行われ、各社の数字が出揃いました。▶︎すべての報道機関で内閣支持率は下がっており、支持率の下落傾向に歯止めがかかりません。▶︎旧統一教会の問題が顕在化した2022年7月以降、下落傾向は4ヶ月以上続いており、特にこの1ヶ月には閣僚が2名辞任するなど、事態は収束に向かうどころかより悪化しているようにもみえます。▶︎この低調な支持率の原因と、今後の見通しについて考えていきます。
◆報道各社の世論調査が指し示す内閣支持率
[11月11〜13日に行われた主要メディアによる世論調査のうち内閣支持率の抜粋]
まず、報道各社が今週末に行った世論調査の結果をみていきたいと思います。▶︎NHK、FNN、朝日新聞が行った今週末の世論調査では、いずれも内閣支持率は下落傾向にあり、10月に引き続いて不支持が支持を上回っている状況が続いています。▶︎特にNHKの調査は官邸などもベンチマークとして取り扱う数字ですが、支持率が5pt下落し、「不支持ー支持」の乖離が5ptから13ptに増えたことでより厳しさが増したという認識です。▶︎この前週に読売新聞が行った世論調査でも、内閣支持率は36%(前回10月よりー9pt)、不支持率は50%(前回10月より+4pt)となっており、各社が同じ傾向を示していることから、支持が減り不支持が増えていることは明らかです。▶︎すなわち、葉梨康弘法務大臣の失言からの辞任の流れがなくても、下落傾向は続いていた可能性があります。▶︎10月あたりから「臨時国会が始まれば下落傾向は止まるだろう」▶︎「経済対策を打ち出せば下げ止まりになるだろう」と言われてきましたが、臨時国会も中盤に差し掛かるなかで下げ止まらない状況は、政府与党にとってやや危機的ともいえます。
◆支持率の下落を今回は止めたかった岸田首相
[衆議院予算委員会で話す山際大志郎前大臣]
さて、11月11日には、葉梨康弘法務大臣の失言による辞任・交代がありましたが、岸田首相が「この時期は勘弁してほしかった」と漏らしたとされる(FNN)ように、時期的には「最悪」のものだったといわざるをえません。▶︎まず、旧統一教会の問題で支持率が下落しているなかで、全く関係のない点での不祥事であったことです。▶︎配慮に欠ける発言で法務行政の信頼を損ねる発言であっただけでなく、厳しい国会運営となっている中で新たな火種をつくってしまったことは、政権にとって新たなマイナス材料となりました。▶︎10月28日には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を岸田首相が打ち出しており、これが最近のインフレに対する具体的な経済対策として目玉政策となる見込みでした。▶︎実際のところ、家庭の電気代補助や出産時の補助などは来年から始まるということですぐに国民に実感が感じられるものではないことから、近い将来への期待感を寄せる内容としつつ、統一地方選挙に向けた布石的政策とも言われていました。▶︎これをきっかけにしつつ、コロナ禍で縮んだ旅行、宿泊、エンタメ等の消費の取り戻しや中小企業支援対策を強化することで、個人事業主や中小企業経営者の支持基盤を固めていく方針とみられていましたが、このような打ち出しをした直後の葉梨法相の失言は、積み上げてきた戦略が無駄になるという意味でも「この時期は勘弁してほしかった」という発言に繋がったものとみられます。▶︎さらに、先ほど述べたように官邸もベンチマークとするNHKの世論調査の直前の失言だったことも今回の数値にダイレクトに影響を及ぼしたとみることもでき、このこともまた「この時期は勘弁」という発言につながったものとみられます。
◆山際大臣・葉梨大臣の更迭にかかる岸田首相の対応は
[取材陣に囲まれる葉梨康弘前法務大臣]
さらに今回の件で注目をされているのが、大臣更迭に至るまでの経緯と首相の判断です。▶︎山際大臣と葉梨大臣の更迭に際し、岸田首相はその判断をする日の午前中までは国会の答弁で更迭を否定したものの、昼以降に翻意をし、夕方には更迭の見通しとの一報が報じられ、夜には辞任という流れまで一緒でした。▶︎一度は否定した更迭をその日の夕方には実施する朝令暮改の対応に対し、野党だけでなく与党からも「もっと早く対応しておけばよかった」との声が聞かれました。▶︎自民党幹部の意見などを聞いたものと言われていますが、短期間に2度も同じような形で更迭にいたった点について、任命責任や朝令暮改の責任が今後問われることは間違いなく、与党内でも更なる辞任ドミノにつながることを警戒する声が多く上がっています。▶︎旧統一教会の対応については後手の対応が続いており与党の中でも批判的な意見が多かったものの、最近では質問権の行使表明など対応が進み始めており、少しずつですが旧統一教会の問題に関する着地点が見え始めていました。▶︎与野党協議が今後うまくいくのか、また旧統一教会以外の問題も含めて審議中の法案が多く国会審議が厳しいなか、この臨時国会をきちんと乗り切れるかどうかがまず鍵となります。▶︎臨時国会は2度の延長が認められますが、民法改正案をはじめとする様々な法案を無事に通すことができるのか、また与野党協議となっている旧統一教会関連の救済法案などを無事可決成立までもっていけるのか、与党側による国会運営のハンドリングの出来が、12月のさらなる内閣支持率の行方を決めることになりそうです[*文:大濱崎卓真氏・選挙コンサルタント、政治アナリスト…2022.11.16付記事抜粋]
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【掲載日時】2022年11月16日(水)





