【地球崩壊カウントダウン?〜忍び寄る気候変動の傾向 vol.32】
■『地球温暖化は紛争を多発させる──COP27でも問われる気候安全保障』
[インド北部で発生した大雨による洪水被害]
自然環境の悪化が軍事衝突をエスカレートさせる一因であることは確認されてきた。▶︎火種を抱えるアジアの国々にとって温暖化のリスクはとりわけ大きい。▶︎地球温暖化は洪水や熱波などの異常気象を引き起こし、これは社会や経済に大きなダメージとなる。▶︎それは避難民も増やしており、こうした緊張が安全保障上の懸念も高めている。▶︎とりわけアジアは、その懸念が最も高い地域の一つである。▶︎🇷🇺ロシアによる🇺🇦ウクライナ侵攻をはじめ世界各地には対立と緊張が蔓延しているが、地球温暖化はこれをさらにエスカレートさせかねない。
◆地球温暖化は安全保障上のリスク
🇪🇬エジプトで開催中の第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)で11月8日、🇻🇦バチカン代表は地球温暖化が食糧危機、経済の混乱、格差などとともに、紛争にも深く結びついており、トータルで取り組む必要を強調した。▶︎地球温暖化と国家の安全保障を結びつける考え方は気候安全保障(climate security)と呼ばれる。▶︎地球温暖化はさまざまな自然災害を増やし、社会や経済に大きなダメージを与え、これが国同士の対立をエスカレートさせると考えられるのだ。▶︎これまでも自然環境の悪化が軍事衝突をエスカレートさせる一因になることは確認されてきた。▶︎しかし、気候安全保障への懸念は深刻さを増している。▶︎今夏ヨーロッパが500年ぶりともいわれるほどの熱波に見舞われ、インド洋沿岸でも洪水が相次ぐなど、地球温暖化による自然災害が、これまで以上に増えているからだ。
◆北朝鮮ミサイル危機と温暖化
ミサイル実験が相次ぐ🇰🇵北朝鮮情勢も、地球温暖化と無縁でないといわれる。▶︎2022年6月には🇸🇬シンガポールで気候安全保障に関する国際会議が開催され、ここにも参加した国際戦略研究所フェロー、ジェフェリー・マツォ博士は「🇰🇵北朝鮮による核・ミサイル危機が地球温暖化で加速しかねない」と警告した。▶︎🇰🇵北朝鮮では世界食糧計画の推計で1000万人以上が食糧不足に直面しているが、その一因はこの数年相次ぐ洪水などの自然災害にある。▶︎🇰🇵北朝鮮の核・ミサイル開発は🇺🇸アメリカに「対等な交渉相手」と認めさせる手段だが、ミサイル実験には国威発揚など国内向けのデモンストレーションという側面もある。▶︎国内で生活苦が広がり、不満がたまるほど、そうした鬱憤を晴らすように、あるいは「食糧危機で弱っている」という海外の見方が強まるほどそれを否定するために、金正恩の引き金が軽くなっても不思議ではない。
◆避難民の増加
リスクは北朝鮮だけではない。地球温暖化は数多くの避難民も生んでいる。▶︎近年では各国で記録的な大雨や超巨大台風が発生する一方、その正反対に日照りや熱波が続くことも珍しくなくなった。▶︎🇳🇴ノルウェーの国内避難民監視センターによると、2021年に発生した国内避難民は世界全体で3800万人にのぼったが、このうち紛争によるものが約1400万人だったのに対して、自然災害によるものは約2400万人を占めた。▶︎なかでも目立つのは、🇨🇳中国(603万人)、🇵🇭フィリピン(568万人)、🇮🇳インド(490万人)などアジア諸国での多さだ。
◆アジアのリスク
アジアには火種を抱えた国も多く、これが地球温暖化で加速しかねない。▶︎例えば、🇮🇳インドと🇵🇰パキスタンはカシミール地方の領有権をめぐって70年以上にわたって対立し、しばしば軍事衝突を繰り返してきただけでなく、1998年にはそれぞれ核保有を宣言するに至った。▶︎両国は2019年にも国境付近で衝突した。▶︎これらの国で日照りや洪水が増え、生活に困窮する人々が増えるほど、政府は食糧調達に力を入れる。▶︎それは農業に欠かせない水の重要性を飛躍的に高める。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◉【YouTube】『Indian army fire for Pakistan army bunker』
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
🇵🇰パキスタンの農業用水の9割はインダス河からのものだが、インダス河は🇮🇳インド国内も流れていて、その水利をめぐる対立は両国の長年の懸案の一つであり続けてきた。▶︎国際戦略研究所のマツォ博士は、アジア最大の火種の一つである🇮🇳インド・🇵🇰パキスタン対立は、地球温暖化によって加熱しかねないと警告するが、それは🇨🇳中国を巻き込む対立に発展する懸念さえある。▶︎🇨🇳中国は「一帯一路」構想を通じて🇵🇰パキスタンをテコ入れしている一方、🇮🇳インドとは国境問題を抱えているからだ。▶︎一年ほど前、麻生副総理(当時)は「地球温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」と発言し、品種改良に取り組んできた農家の努力を無視していると批判されたが、そればかりでなく「だから地球温暖化は悪いことばかりではない」という趣旨は、地球温暖化にまつわる多くの問題を軽視するものでもある。▶︎地球温暖化は気温だけでなく国家対立までヒートアップさせているのだから[*Newsweek 2022.11.12付記事抜粋]
■『地球の気候はこんなにも変化している…COP27を機にあらためて考えてみたい気候変動』
近年、世界は、記録的な暑さ、熱波、巨大台風、洪水などの異常気象に見舞われている。▶︎気候変動の影響は未来のことではなく、もはや顕在化している今日的問題である。▶︎もちろん、地球環境の変化から🇯🇵日本も免れることはできない。▶︎われわれ一人一人にとっての危機でもあるのだ。▶︎🇪🇬エジプトで11月6日に開幕した🇺🇳国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の前に、世界気象機関(WMO)が発表したところによると、2022年の世界の平均気温は産業革命前を1.15度上回り、観測史上5、6番目の高さになるとの見通しを示した。▶︎この10年間(2013~2022)の世界の平均気温は産業革命前(1850~1900)を推定で1.14度上回っている。▶︎ちなみに、2011年から2020年までの10年間はプラス1.09度だった。▶︎2021年に🇬🇧英グラスゴーで開かれたCOP26では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「1.5度に抑える」ことを世界共通目標にすることで合意している。▶︎ヨーロッパ・アルプスの氷河が溶けている。▶︎🇬🇱グリーンランドの氷河は26年連続で減少した。▶︎🇨🇭スイスの氷河の体積は、2021年から2022年の間に約6%減ったという。▶︎2001年から2022年の間に🇨🇭スイスの氷河の体積は77キロ立方メートルから49キロ立方メートルへと3分の1が失われた。▶︎長期にわたる厳しい熱波、冬の終わりにピークを迎えるはずの降雪が少なかったこと、サハラ砂漠から飛んできた砂ぼこりが影響したという。▶︎北極海の氷は2022年2月25日の時点で192万立方キロメートルにまで減った模様。▶︎これは記録的な低水準で、これまでの長期平均から100万立方キロメートル少ない。▶︎そして、海面水位も上昇し続けている。▶︎2020年1月からの上昇は約1センチだった。▶︎過去2年半の海面水位上昇は、約30年前に観測が始まって以来の上昇の10%に上る。▶︎「海水面の上昇は沿岸部の住民や低地にある国々にとって長期的で大きな脅威になっている」とWMOのターラス事務局長は記者会見で述べた。▶︎人間が生み出す温暖化ガスによる熱のおよそ90%を蓄積しているとされる海。▶︎その表面2,000メートルの海水温は上昇を続けており、2021年には記録的な高水準となった。▶︎とりわけ過去20年の上昇率が極めて高い。▶︎この上昇傾向は続くとみられている。▶︎ターラスWMO事務局長は「気候変動に最も責任が少ない人々が最もひどい影響を受けています。▶︎例えば、🇵🇰パキスタンの洪水や、アフリカの角(アフリカ大陸東端の🇸🇴ソマリア全域と🇪🇹エチオピアの一部などを占める半島)で長期間続いている干ばつなどです」という。▶︎2022年7、8月の記録破りの豪雨によって🇵🇰パキスタンでは大規模な洪水が発生した。▶︎少なくとも,1700人が亡くなり、3,300万人が影響を受け、790万人が避難を余儀なくされた。▶︎一方、東アフリカでは乾季の平均降雨量が四期連続で平均を下回っている。▶︎これはこの40年間で最も少ないという。▶︎干ばつなどによって、推定で1,840~1,930万人が「食料危機」に直面している。▶︎これが続けば、農作物が不作となり、🇰🇪ケニア、🇸🇴ソマリア、🇪🇹エチオピアでは食料不安がさらに悪化すると警告されている。▶︎南アフリカ地域は2022年初めから2カ月間、相次ぐ台風に見舞われた。▶︎最も影響を受けたのは🇲🇬マダガスカルで、豪雨によって激しい洪水に襲われた。さまた台風によって🇨🇺キューバや🇺🇸米フロリダ南西部も被害を受け、多くの人命が失われる結果となった。▶︎ヨーロッパの多くの地域で熱波が報告された。▶︎🇬🇧英国では2022年7月19日に気温が初めて40度を超える記録的暑さとなった。▶︎干ばつや森林火災も続いている。▶︎ライン河、ロアール河、ドナウ河といったヨーロッパの川は危険なほどの水位の低下をみている。▶︎ここ🇯🇵日本も気候変動の影響を免れない。▶︎これまで40度以上を観測したのは、1875年の統計開始以来、32地点で計67回。▶︎そのうち2018年以降で、計40回観測している。▶︎これまでの国内最高気温は、埼玉県熊谷市(2018年)と静岡県浜松市(2021年)の41.1度。▶︎一方で、一日の最低気温が30度以上の日は、北陸地方を中心とした11地点で計15回となっており、新潟県糸魚川市で2019年8月15日に観測された31.3度が最高記録。▶︎気象庁は、最高気温35度以上の日を「猛暑日」、夜間の最低気温が25度以上は「熱帯夜」としている。▶︎しかし、この数年の「熱さ」が異常なレベルになっていることを受けて、一般財団法人「日本気象協会」(東京)は、所属する気象予報士130名にアンケートを行い、40度以上の日を「酷暑日(こくしょび)」、夜間の最低気温が30度以上の夜を「超熱帯夜(ちょうねったいや)」と呼ぶことにしたと、2026年8月に発表した[*OVO 2022.11.10付記事抜粋]
=======================
■『【図解】主要排出国の協調が焦点=COP27、🇪🇬エジプトで開幕』
■『COP27で注目される、途上国への支援って?』
[2019年に気候リスクが高かった上位10カ国]
=======================
【掲載日時】2022年11月12日(土)





