【地球崩壊カウントダウン?〜忍び寄る気候変動の傾向 vol.25】
■『「CO2排出実質ゼロ」…🇺🇳国連が条件示すーCOP27』
🇺🇳国連の専門家グループは11月8日、企業や自治体が温室効果ガス排出を「ネットゼロ(実質ゼロ)」という目標を掲げる場合の条件についての提言をまとめた。▶︎先進国で2030年までに石炭火力発電を廃止するなど、脱化石燃料を具体的に進めることを求めている。▶︎強制力はないものの、投資先の選定に活用されるといった形で、世界の脱炭素マネーの行方に影響を与える可能性がある。▶︎🇪🇬エジプト・シャルムエルシェイクで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で発表した。▶︎専門家グループは、🇺🇳国連のグテレス事務総長が2022年3月に立ち上げた。▶︎実態を伴わない宣言や、環境に配慮したように装う「グリーンウオッシュ」を防ぎ、排出削減を進めるのが狙いだ。
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【用語解説】
◉『グリーンウォッシュ(greenwashing)』=環境に配慮した、またはエコなイメージを思わせる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語。 環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではなく、環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなことを指す。
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提言によると、まず2025年までの排出削減目標を策定し、以降も2030、2035年といったように少なくとも5年ごとに目標を設定することが求められる。▶︎化石燃料事業の段階的廃止に向けた具体的な目標を掲げることも要件で、石炭火力発電については、先進国の企業は2030年まで、それ以外の国は2040年までの廃止に向け、新たな建設や投融資を停止する。▶︎石油と天然ガスについても、新規開発への投融資の終了を目指すべきだとした。▶︎自治体には、化石燃料を使った新たな発電施設建設を許可しないことなどを求める。▶︎また、自ら大幅削減せずに、安い排出権を購入して「削減した」とみなしたり、政府の温暖化対策強化の足を引っ張るロビー活動をしたりしないことも要件とした。▶︎農業などによる森林破壊で炭素の吸収源が失われているとして、金融機関に対し、森林破壊につながる農業関連事業を2025年までに投融資先から外すことも求めた。▶︎企業や自治体が「2050年までにネットゼロにする」と宣言するケースが世界中で増えているが、宣言の内容や具体策は組織によってまちまちで、世界全体の排出量は減少に転じる兆しがない。▶︎グテレス氏は「化石燃料の拡大を隠すために偽りの『ネットゼロ』を宣言するのは非難されるべきだ」と指摘。▶︎公表した提言に沿って宣言や計画を見直すよう、企業や自治体に呼びかけた。▶︎環境省や経済産業省によると、国内では東京都や横浜市など797自治体のほか、200社以上の企業が2050年までのネットゼロを宣言しているという。▶︎専門家グループの三宅香・三井住友信託銀行ESGソリューション企画推進部主管は「🇯🇵日本では2050年までのネットゼロ目標を宣言する企業が増えて心強い一方、定義や基準が明確でないことが行動に移す努力を妨げていた。▶︎今回の提言で何が求められるか明確になり、今すぐ行動を起こすことが重要だ」としている。
◆「ネットゼロ」宣言に求められる主な条件
(国連・専門家グループの報告書による)
⚫︎5年ごとの中間的な排出削減目標(2025年、2030年までなど)を設定する
⚫︎目標は「世界全体で2030年までに半減、2050年以前にゼロ」の道筋に合致させる
⚫︎自ら大幅削減せずに、安い排出権を購入して「削減した」とみなしてはならない
⚫︎先進国は2030年、その他の国では2040年までに石炭火力発電を廃止する
⚫︎政府の温暖化対策強化の足を引っ張るようなロビー活動をしない
⚫︎排出量や進捗(しんちょく)状況を毎年公表する
[*毎日新聞 2022.11.09付記事抜粋]
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■『南極の沿岸部に“巨大な渦”を世界で初めて発見…南極の氷を解かす要因か』
◆暖水を運ぶ“巨大な渦”を発見
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新報告書は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。▶︎大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」と従来より踏み込んで断定した。
[トッテン氷河の沖に巨大な渦を4つ発見した]
報告書は海面水位の上昇について、今世紀末までに2メートル上昇する可能性も、2300年までに5メートル上昇する可能性も排除できないとした。▶︎海水が上昇する水位が2メートルと5メートルでは未来予想図が大きく変わる。▶︎1メートルの上昇だけでもほとんどの沿岸部は浸水し、数百万人の生活が脅かされることになる。▶︎しかし、水位の上昇予測に、2メートルから5メートルと差がある原因は、南極の研究が進んでいないからだ。▶︎海面上昇は、温暖化で海水の温度が上昇して水が熱膨張することや陸の氷が解けて海に流れ込むことなどが主な原因だ。▶︎なかでも、南極には地球に存在する氷の9割があるが、極地で現地調査が難しいこともありまだあまり研究が進められていない。▶︎南極の氷がどのくらいのスピードで、どのようなメカニズムで解けているのかについて、世界中の科学者が今、最も熱心に研究を進めている。▶︎こうした中、🇯🇵日本の科学者が、南極の方に“暖かい海水”を運ぶ「巨大な渦」が存在していることを世界で初めて発見した。
◆直径150~200キロメートルの巨大な渦が4つ
発見したのは、極域海洋学の研究者、東京海洋大学の溝端浩平さん。▶︎溝端さんが発見した巨大な渦は、南極で近年、氷の融解が注目されはじめたトッテン氷河の沖にあった。▶︎しかも、直径150~200キロメートルの渦が4つ。いずれも時計回りに回転し、動かずに同じ場所で回り続けていることがわかった。▶︎この渦が、暖かい海水を南極の方へ送り続けるポンプの役割をしていたのだ。
◆南極の東側のトッテン氷河だけ氷が減少に疑問
溝端さんがいかにしてその巨大な渦を発見したのか。▶︎南極の氷は、温暖化の影響で減少している。▶︎NASAの観測衛星の画像で捉えた南極をみると、西南極の広範囲で氷が減少していることがわかる。▶︎一方で、東側では一カ所だけ減少しているポイントがある。▶︎ここがトッテン氷河で、溝端さんが発見した渦のある場所だ。▶︎溝端さんは、なぜトッテン氷河だけ氷が減少しているのかを調べることにしたが、これまでの調査では、トッテン氷河周辺が海氷に覆われているため、データが取れていなかった。▶︎そこで、溝端さんは、人工衛星を使って、海氷の所々に空いているから穴からのぞける海水面を捉えることで、海氷の下に、巨大な渦が存在していることを突き止めたのだ。▶︎渦を発見した当人である溝端さん自身も、「単発でこの付近で渦があるかもしれないという説はあったが、巨大な渦が見つかったことに驚きました。▶︎しかも通常、渦は移動しますが、発見した渦は同じ場所に留まり続けていたことにもびっくりしました」と大変驚いたという。▶︎溝端さんは、南極観測船しらせとともに南極の海に向かう東京海洋大学の練習船、海鷹丸(うみたかまる)に乗船し、発見した渦の現地調査を行った。▶︎すると、この渦は時計回りで回転していること、そして渦の西側は冷たい海水を北へ、東側は暖かい海水を南極へ運んでいることがわかった。▶︎つまり、動かない渦が“暖かい海水”をトッテン氷河に向けて送り続けていることがわかったのだ。
◆巨大な渦は、トッテン氷河を解かす熱量の3倍
溝端さんはさらに、この渦に氷を解かす力がどれくらいあるかを調べた。▶︎衛星のデータなどから、トッテン氷河では、年間63.2ギガトンの氷が解けている。▶︎(1ギガトン=10億トン)。▶︎この63.2ギガトンの氷を解かすには、0.7テラワットの熱量が必要とされるが、調査の結果、巨大な渦1つだけでも、2.6テラワット相当、つまりトッテン氷河の氷を解かす熱量の3倍以上の熱量を運んでいると推定されることがわかったという。▶︎溝端さんは、今年も海鷹丸で、トッテン氷河沖へ行き、より詳細なメカニズムを調査・解明したいと考えている。▶︎研究がさらに進めば、南極の氷が解ける概念図が変わり、IPCCの海水面上昇予測にも反映されるものと見られている[*FNN PRIME online 2022.11.08付記事抜粋/文:溝端浩平氏・東京海洋大学 学術研究院准教授]
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【掲載日時】2022年11月09日(水)





