【第三次世界大戦への火種〜🇷🇺ロシア・🇺🇦ウクライナ関連ニュース vol.31】
■『ハイブリッド戦争は🇯🇵日本にとっても他人ごとではない――慶應義塾大学 廣瀬陽子教授』
慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子氏が「ハイブリッド戦争から見る不安定な世界の脅威」をテーマに講演した。
◆ハイブリッド戦争は🇯🇵日本にとっても他人ごとではない
近年、戦争の形態が大きく変化している。「ハイブリッド戦争」という言葉を耳にする機会が増えてきたが、特に注目されたのは、2014年のクリミア併合・🇺🇦ウクライナ東部の危機である。▶︎そのため欧州諸国では、🇷🇺ロシアのハイブリッド戦争を脅威と感じているが、国によってその感覚にはかなりの差がある。▶︎廣瀬氏は、「長年、旧ソ連地域を研究していますが、2014年に限らず🇷🇺ロシアはこれまでもハイブリッド戦争的な手法を使ってきたことに気が付き、ハイブリッド戦争に興味を持ちました。▶︎現在、北大西洋条約機構(NATO)や欧州諸国は、一丸となってハイブリッド戦争に立ち向かうための協力体制を構築しています。▶︎このハイブリッド戦争は、🇯🇵日本にとっても他人ごとではありません」と話す。▶︎🇯🇵日本では、2018年12月に「防衛計画の大綱」が改訂された。▶︎通常、防衛計画の大綱は10年に1度改訂されるが、今回5年に1度の改定となった。▶︎改定が早まった理由は、🇰🇵北朝鮮が核兵器の能力を顕著に増強させたこと、🇷🇺ロシアのクリミア併合以後、戦い方が変わり「ハイブリッド戦争」の脅威が高まったことの2つ。▶︎またサイバー攻撃も、🇯🇵日本にハイブリッド戦争の脅威を意識させた。▶︎例えば「東京2020大会」では、関連のサイトに4億5000万回のサイバー攻撃があり、水際で阻止したことがのちに明らかになった。▶︎さらに🇯🇵日本の安全保障問題の主軸として、「経済安全保障」が重要になっている。▶︎その一環として岸田新政権では、経済安全保障担当大臣が新設されている。▶︎ハイブリッド戦争の脅威を理解し、対策を講じていくことが安全保障対策にとって不可欠だ。▶︎それでは、ハイブリッド戦争とはどのようなものなのか
◆現代型戦争としてのハイブリッド戦争
ハイブリッド戦争とは、政治的目的を達成するために、政治、経済、外交、サイバー攻撃、プロパガンダを含む情報・心理戦のほか、テロや犯罪行為など、軍事的脅迫とそれ以外のさまざまな手段、つまり非正規戦と正規戦を組み合わせた戦争の手法である。▶︎2014年の🇷🇺ロシアによるクリミア併合で話題になったが、古代から使われたという説もあり、特に新しい手法ではない。▶︎🇷🇺ロシアでも、1990年代から議論されてきた。▶︎ハイブリッド戦争に関する認識・理解は多様で、画一的な定義はほぼ不可能だ。▶︎戦う主体の多様性とその方法の多様性の両者によって特徴づけられる複合型の戦争ともいえる。▶︎世界で最も大きい軍事共同体であるNATOでも、ハイブリッド戦争の定義はできないとしている。▶︎🇷🇺ロシアにおいては、ハイブリッド戦争は欧米が仕掛けているもので、🇷🇺ロシアは被害者だという位置付けである。▶︎🇷🇺ロシアにおけるハイブリッド戦争は、それ自体が戦略ではなく作戦の1つ。▶︎クリミア併合を経て、軍事コンセプトから🇷🇺ロシアの外交政策の理論に準じるものに変わっている。▶︎🇷🇺ロシアのハイブリッド戦争の主軸となっているといわれているのが、いわゆる「ゲラシモフ・ドクトリン」である(実際は、その前後に多くの優れた文献が出ている)。
[2018年に撮影されたプーチン大統領(左)とゲラシモフ参謀総長]
ゲラシモフ・ドクトリンとは、🇷🇺ロシア軍のバレリー・ゲラシモフ参謀総長が『軍産新報』誌の2013年2月27日号に掲載した論文に基づくもの。▶︎実態は講演内容の起こしで、ドクトリンといえる代物ではなく、西側の現代の戦争を描写しただけで、内容も新しいものではない。▶︎要点は、以下の通りである。
◉21世紀の戦争のルールは大幅に変更され、政治的、戦略的目標の達成のためには、非軍事的手段は、特定の場合には軍事力行使と比較してはるかに有効。
◉21世紀に入り戦争と平時の境界線がぼやける傾向がある。▶︎もはや宣戦布告はなされず、戦争というものは気づいたときには始まっていて、よく分からない様式で進む。
◉「アラブの春」は戦争ではないため、軍人にとっての教訓がないことは明白だが、その逆も真であり、これらの出来事こそが21世紀の戦争の典型的なスタイル。
◉現代の戦争では総合的かつ多くの側面からのアプローチが必要。▶︎非軍事的手段として重要なのは、政治、情報、心理操作や反対派の利用や経済的影響力の行使。
「🇷🇺ロシアでは、ハイブリッド戦争が国家戦略にもなっています。▶︎2014年12月に改定された新軍事ドクトリンでは、ハイブリッド戦争の内容が色濃く反映されています。▶︎しかし新軍事ドクトリンの草案は、🇺🇦ウクライナ危機の前の2013年7月に提出されているということは、🇺🇦ウクライナ危機でのハイブリッドな作戦は既定路線でした」(廣瀬氏)▶︎ハイブリッド戦争のメリットは、低コストで、効果が大きく、介入に関して言い逃れができること。▶︎正規軍を動かすには莫大な費用がかかるが、民間軍事会社(PMC)に置き換えると極めて低コスト。▶︎サイバー攻撃やプロパガンダ作戦などもコストがかからない。▶︎低コストのわりに相手にかなりのダメージを与えられ、威嚇効果も大きく、国際的な影響力も高い。▶︎さらに目立たず、証拠が残りづらく、責任の所在をうやむやにしやすい。▶︎「🇷🇺ロシアがコストにこだわるのは軍事支出にあります。▶︎🇷🇺ロシアの軍事支出は世界第5位ですが、支出額を見ると🇺🇸米国の8%強にすぎません。▶︎それにもかかわらず、核大国として🇺🇸米国と肩を並べるためにはハイブリッド戦争の手法で低コストに抑えることは重要です。▶︎🇷🇺ロシアには、火のないところを炎上させる能力はありませんが、小さな煙を炎上させることに長けており、ハイブリッド戦争は極めて有益になります」(廣瀬氏)
◆サイバー攻撃の内容は目的や相手によって変化
サイバー攻撃は、実戦を避けつつ、相手に打撃を与えられる重要手段であり、ハイブリッド戦争の主軸となっている。▶︎🇷🇺ロシアのサイバー攻撃者は、犯罪者、国家が目的・意図をもって行うもの、愛国者、民間の会社など。▶︎2020年のコロナ禍においても、🇬🇧🇺🇸英米などの政府、ワクチン関係、東京2020大会関係などへの攻撃が明らかになっている。▶︎「🇷🇺ロシアのサイバー攻撃は、国家支援型が多く、高いスキルを持っています。▶︎ネットワークの侵入からPCやデバイスの乗っ取り、システムダウンまでを約18分で実現します。▶︎ただし防衛力が弱いので、サイバー総合力では第2ランクです。▶︎技術の多くは🇨🇳中国から学習しており、2015年5月に相互にサイバー攻撃を行わない“サイバーセキュリティ協定”を結んでいます。▶︎攻撃の内容は、目的や相手によって変化します」(廣瀬氏)▶︎例えば、欧米諸国の政治を混乱させることが目的の場合は、情報の入手や拡散を、軍事的な戦争を展開しながらサイバー攻撃を行う場合や相手国への懲罰的な意味合いが大きい場合は、政府関連、インターネット網や電力システム、銀行システムなどの重要インフラを狙う。▶︎🇷🇺ロシアのサイバー攻撃で特徴的なのは、国内の反体制派の弾圧にも利用されること。▶︎西側のインターネット企業への圧力もある。▶︎効果的心理戦としては、フェイクニュースや宣伝キャンペーンをSNSなどで拡散し、インフルエンス・オペレーション(誘導政策)を展開する。▶︎最も大きな成功を収めたのは、IRAが2016年の🇺🇸米国大統領選挙で行った反クリントンキャンペーンである。▶︎このとき1人10個以上のアカウントを持ち、書き込みを継続した。▶︎これにより、次第に一般人も拡散を始め、結果としてクリントンが敗北した。▶︎さらに、ハイブリッド戦争は世界の危機に波及している。▶︎例えばエネルギー価格高騰では、🇺🇦ウクライナ危機前からの動向がさらに深刻になった。▶︎また、🇷🇺ロシア、🇺🇦ウクライナは、世界の小麦の3割を供給してきたが、それが輸出できない状態のため食糧危機も引き起こした。▶︎🇷🇺ロシア、🇧🇾ベラルーシは、肥料の輸出大国でもあるが輸出できない状況である。▶︎7月に🇺🇳国連、🇷🇺ロシア、🇺🇦ウクライナ、🇹🇷トルコの4者会談で食料輸出合意したが、状況が改善するかは不透明である。▶︎こうした状況が世界規模のインフレにもつながっている。▶︎また、🇺🇦ウクライナの原子力発電所への攻撃がされていることも問題の1つ。▶︎サイバー攻撃で原発事故も起こすことで、核兵器と同等の被害を及ぼすこともできる。
◆ハイブリッド戦争では多面的な対応が必要
ハイブリッド戦争では、🇯🇵日本が🇺🇦ウクライナ役になっていた可能性があることを認識すべきである。▶︎🇷🇺ロシアは🇯🇵日本を🇺🇸米国の一部と考えており、🇺🇦ウクライナも欧米の手下と考えている。▶︎今後、🇯🇵日本が🇺🇸米国の代わりに攻撃される可能性もある。▶︎その脅威は、北方領土問題もかかわってくる。▶︎🇷🇺ロシアの諜報活動や北方領土での軍事演習などの見せつけ、日本海などでの🇨🇳🇷🇺中露共同歩調なども🇯🇵日本に対するあおり行為である。▶︎「🇺🇦ウクライナ問題から波及する安全保障について、いま一度考えるべきです。▶︎🇯🇵日本はサイバー攻撃に脆弱です。▶︎専守防衛にこだわらず、ホワイトハッカーなどで攻撃的立場を取る必要もあります。▶︎🇯🇵日本は情報リテラシーが低いことも問題で、優れた人材の育成、情報リテラシー能力の向上、国民の意識強化、サイバー衛生の対応が必要です」(廣瀬氏)。▶︎また、国際協調も重要。▶︎🇯🇵🇺🇸日米同盟ではサイバー領域もカバーしており、今後NATOやアジア諸国との協力も肝要になる。▶︎現在のサイバー攻撃は、一国レベルでの対応では不十分になっており、ハイブリッド戦争では多面的な対応が必要だ。▶︎『シャドウ・ウォー 中国・ロシアのハイブリッド戦争最前線』の著者でもあるジム・スキアットは、以下の9つの解決策を論じている。
(1)敵を知る
(2)レッドライン(超えてはいけない一線)を設ける
(3)敵が負担すべきコストを引き上げる
(4)防衛を強化する
(5)攻撃
(6)結果を警告する
(7)サイバー領域と宇宙のための新たな条約の締結
(8)同盟を維持して強化する
(9)リーダーシップ
廣瀬氏は、「9項目に総合的に取り組んで、初めてハイブリッド戦争の脅威に立ち向かう準備ができるレベルです。▶︎ハイブリッド戦争をしているのは🇷🇺ロシアだけではなく、🇺🇸米国、🇬🇧英国、🇮🇱イスラエル、🇨🇳中国などの方が歴史は長く、規模も大きいのです。▶︎🇷🇺ロシアは裏切られて続けてきたという意識がとても強く、被害妄想をより強めることも世界の安定には寄与しません。▶︎🇷🇺ロシア以外の国からの攻撃に対抗する準備も必要です」と締めくくった[*ITmedia 2022.10.18付記事抜粋]
■『窃盗が横行、半数が病気... 動員されたロシア兵が撮ったキャンプ内部の悲惨な実情』
[プーチン大統領の発令した「部分的動員令」により戦地に派遣される男性(10月7日、ロシア・オムスク)]
テントには「役に立たない」ストーブが一つだけ。▶︎目を離せばそれさえ盗まれるとおびえる兵士。▶︎ある🇷🇺ロシア兵が撮影したキャンプ内部の悲惨な様子がソーシャルメディア上で話題となっている。▶︎🇷🇺ロシアメディアを監視する団体「ロシアン・メディア・モニター」の創設者で、🇺🇸米誌デイリー・ビーストのコラムニストであるジュリア・デイビスがツイッター上でこの映像を紹介した。
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【映像】「靴も、お金も、マットレスも盗まれた」ロシア軍キャンプの絶望的な様相
Until recently, russians have been enjoying the “Squid Game" series on @netflix
— Defense of Ukraine (@DefenceU) 2022年9月28日
After russia’s full-scale invasion of Ukraine, Netflix left the russian market, but "Squid Game" remains.@squidgame pic.twitter.com/GRmO7AwvvO
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最近🇷🇺ロシア軍に動員されたとみられる匿名の男は歩きながら、彼らがいかに劣悪な環境に置かれているかを淡々と説明する。▶︎動画に映っている兵士は全員ハンティ・マンシースクの出身だという。▶︎ハンティ・マンシースクは、🇷🇺ロシア中西部の都市でハンティ・マンシ自治管区の行政の中心地だ。▶︎このキャンプでは窃盗が横行し、病気も流行っているという。▶︎動画の冒頭、兵士は「テニスシューズも軍靴も持っていない」と語る。▶︎数人が寝床にしているテントには暖を取るためのストーブが一つしかなく、それも「何の役にも立たなかった」と言う。▶︎「私の声はしゃがれてひどいし、兵士の半分は風邪をひいてしまった」▶︎テントからはさらにマットレスまで盗まれたが、(窃盗は)生き残るための唯一の方法だから仕方ないと力なくつぶやく。▶︎テントから離れるとストーブも盗られかねないと警戒する。▶︎このようにキャンプ内では盗難が絶えないにもかかわらず、上役にはまるで力になる様子がない。「副官には『私はお前のママかパパか?自分で見つけろ』と言われた」[*Newsweek日本版 2022.10.18付記事抜粋]
■『戦力に劣る🇺🇦ウクライナの活路は「情報戦」と「制空権」』
10月13日にも🇺🇦ウクライナ南部や中部の40か所以上で、🇷🇺ロシア軍がミサイル攻撃を行うなど、市民の被害が増えている。▶︎これを受けて、🇺🇦ウクライナ軍も反撃の勢いを強め、今なお予断を許さない状況が続いている。▶︎今回のニュースを見る限り、陸だけではなく、空中戦でも🇷🇺ロシアの激しい攻撃に苦しんでいるように見える🇺🇦ウクライナ。▶︎しかし決して劣勢というわけではなく、SNSを巧みに活用した情報戦を行ったり、制空権は未だに🇺🇦ウクライナが優勢であると、軍事のプロフェッショナルである小川清史元陸将、伊藤俊幸元海将、小野田治元空将は説明します。▶︎ただ、そこには🇺🇦ウクライナ側の戦闘機がかなり消耗してきているという現状もあるそう。▶︎防衛問題研究家の桜林美佐氏の司会のもと、現状と懸念点を語り合います。
◆戦力で圧倒的に不利なウクライナは「情報戦」で対抗
桜林:ところで、Twitterなどで動画も上がっているようですが、5月には黒海のスネーク島付近に停泊していた🇷🇺ロシアの揚陸艦が爆破されたというニュースがありました。▶︎🇺🇦ウクライナ政府の発表によると、以前話題にあがったバイラクタルというドローンで攻撃したという話ですが、これについてはいかがでしょうか。
[▲トルコ空軍のバイラクタル「TB2」]
伊藤(海):この揚陸艦は、いわゆる「舟艇」といって、防御能力のない小型の船舶です。▶︎呉総監時代には、私も隷下部隊がこの舟艇は持っていました。▶︎対空能力もないので、別に爆破することは難しくありません。▶︎第二次世界大戦の上陸作戦で使われていたような船です。▶︎ただ、ご承知の通り、スネーク島は🇺🇦ウクライナが死守しながらも🇷🇺ロシアに取られてしまったところです。▶︎当初は🇺🇦ウクライナ兵がそこで玉砕したと思われていたけど、実は生きていた、という報道もありましたよね。▶︎そうした一連の流れを踏まえれば、その島に停泊していた🇷🇺ロシア船を爆破したということは、🇺🇦ウクライナ側の反攻作戦が徐々に始まっていると見てもいいのでしょう。
[▲スネーク島(ズミイヌイ島)]
桜林:この非常に象徴的な場所であるスネーク島を、🇺🇦ウクライナの戦闘機が空爆しているという情報もありますが。
小野田(空):その様子は、🇺🇦ウクライナの国防部が自ら画像付きで発表しています。▶︎現在2つの動画が発表されていて、1つはバイラクタルが地上に駐機してあるヘリコプターを誘導爆弾で爆破している場面。▶︎もう1つは、「Su227」という戦闘機2機で、おそらく無誘導の爆弾だと思いますが、実際に空爆している場面です。▶︎後者は赤外線画像なので、おそらくバイラクタルのIR(赤外線)カメラで上から撮影したものだと思いますが、それがTwitterで流れていました。
[▲ウクライナ空軍のSu-27UB]
それを追認するかのように、🇺🇸アメリカの国防総省は「スネーク島の3か所ぐらいを目標にして攻撃がなされたようだ」とコメントしています。▶︎ただ、その目的については一切分析がなされていません。▶︎おっしゃる通り、スネーク島は「象徴的な場所」ですから、そこで🇺🇦ウクライナ側が反撃に出ている画像を発信することで、🇺🇦ウクライナ国民の士気を鼓舞することができます。▶︎同時に、🇺🇦ウクライナがしっかりと戦っているという印象を、世界に向けてもアピールできる。▶︎そういう意味のほうが大きいんじゃないかと私はみています。
桜林:🇺🇦ウクライナ側はTwitterなどSNSをかなり活用して、動画や画像を流しながら情報戦を戦っています。▶︎むしろ映像を見せるための攻撃などもありそうですね。
小野田(空):🇺🇦ウクライナはそれを多用していますよね。▶︎上手に情報戦を戦っている。
◆🇷🇺ロシアは航空機を失うことを恐れている?
桜林:🇬🇧イギリスの国防省は4月27日の時点で、まだ🇺🇦ウクライナが大半の制空権を守っていると報告していますが、どうご覧になっていますか。
小野田(空):それについては間違いありません。▶︎4月に入ってすぐに🇺🇸アメリカの雑誌が🇺🇦ウクライナの「MiG-29」のパイロットをインタビューしました。▶︎そのパイロットは、東部のドネツク、ルガンスクの一番厳しい地域では、制空権の多くを🇷🇺ロシアに取られていると話していました。▶︎当時の状況からして、それはあながち嘘ではないだろうと思います。▶︎では、現在はどうなっているかというと、4月25日付で、MiG-29の別のパイロットが🇺🇸アメリカのNBC(米国三大テレビ局のひとつ)の10分ほどのインタビューに出ています。▶︎だいたい同じことを言っているのですが、制空権の話には触れていません。▶︎その彼が言うには、ほとんどの🇷🇺ロシア機は🇷🇺ロシア国内から離陸して、🇷🇺ロシア国内に帰っていくそうです。▶︎🇷🇺ロシア軍機は🇺🇦ウクライナ国内で離発着をしていない。▶︎同様のことを🇺🇸アメリカの国防総省も🇬🇧イギリスの国防省も言っています。▶︎もうひとつ重要な証言として、彼は「巡航ミサイルなどのミサイルは、カスピ海方面から飛んできている」とも言っていました。▶︎つまり、🇷🇺ロシア軍は脅威圏外の場所から「スタンド・オフ」攻撃(敵の反撃を受けない離れた場所からの攻撃)を行っているのです。▶︎ここから🇷🇺ロシア側が、自分たちの航空機を失うことに対して、非常に慎重になっていることがわかります。▶︎実際、🇺🇦ウクライナ上空には🇷🇺ロシア軍の戦闘機がけっこう飛んでいるのですが、先ほど言った通り、それらはすべて🇷🇺ロシア国内で離発着しています。▶︎おそらくサポートとして、空飛ぶレーダーサイトである早期警戒管制機「A-50(AWACS)」からさまざまな航空情報が戦闘機に伝えられ、なるべく自分の身の安全を確保しながら飛んでいるのだと分析できます。
◆🇺🇦ウクライナの戦闘機では🇷🇺ロシアの戦闘機に勝てない?
桜林:🇺🇦ウクライナ側もしっかりと情報を持っていて、防空に成功しているということですね。
小野田(空):そうですね。▶︎🇺🇦ウクライナ側の防空体制としては、相変わらず地対空ミサイルが活躍しています。▶︎ただし、彼らの「悲痛な叫び」をあえて申し上げると、戦闘機がだいぶ消耗してきています。▶︎3月10日時点で56機残っていると前にお話しましたが、あれから2カ月近く経っているので、下手をすると30~40機になっている可能性もある。▶︎破壊されなくても、やはり故障は出ますし、かなり減耗していると思います。▶︎それに関する詳しい数字はどこにも出てきていませんが。▶︎それともうひとつ、実際に乗っているパイロットが言っているのは、ロシアの「Su-34」や「Su-35」という最新の長距離戦闘爆撃機は、高性能のレーダーを持っていて、空中戦をやると、まず🇺🇦ウクライナの戦闘機では勝てないということです。
[▲Su-34]
たとえば、🇷🇺ロシアの戦闘機は「アクティブホーミング(ミサイル誘導方式)」という、いわゆる「撃ちっ放しミサイル」を撃つことができます。▶︎このミサイルは、撃てばすぐにその場から逃げられる。▶︎それに対して、🇺🇦ウクライナの戦闘機のミサイルは「セミアクティブ」なので、最後まで目標に対して自分の飛行機のレーダーを当てておかなきゃいけない。▶︎ミサイルの射程も🇷🇺ロシアのほうが長い。▶︎そのため、空中戦になると🇺🇦ウクライナ側は圧倒的に不利です。▶︎だからこそ、🇺🇸アメリカの戦闘機の「F15」「F16」「F18」を供与してくれ、と悲痛の叫びをあげているわけです。▶︎そこには2つの含意があって、性能的に負けているということがひとつ。▶︎もうひとつは、機数がかなり厳しくなってきているということです。
桜林:空の戦いの視点からすると、航空優勢をとるためには、やはり性能の高い航空機が必要だというのは、普遍的な世界共通の概念なんですね。
小野田(空):そうですね。▶︎ですから、🇺🇦ウクライナとしては戦闘機による防空体制を維持することで、🇷🇺ロシア軍機が🇺🇦ウクライナ領空内に入って来られなくなるシチュエーションを持続する必要がある。▶︎一方、🇷🇺ロシア空軍は、地上軍への近接航空支援として、🇺🇦ウクライナの地上部隊や都市に対して戦闘機が空爆を仕掛けているわけです。▶︎前線が前に進むと、今度は空爆する戦闘機の被撃墜リスクが高くなる。▶︎🇺🇦ウクライナの地対空ミサイルや戦闘機にやられる可能性が増すからです。▶︎やはり、🇺🇦ウクライナとしては高性能の戦闘機はいくらあっても足りない状況である、と理解すべきです[*NewsCrunch 2022.10.18付記事抜粋]
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【掲載日時】2022年10月18日(火)








