【コロナノコトバ】PART.1863


岩田健太郎医師:『コロナの急激な収束をもたらしたのは何か?ワクチン、自粛、それとも

新型コロナのいわゆる「第5波」が急速に収束しています。▶︎報告される患者数も激減していますし、入院ベッドも重症患者のいるICU、軽症患者の病棟ともに患者数がみるみるうちに減っていきました。▶︎検査の数が少ないから患者を捕捉できていない、わけではないのです。▶︎この患者減少はリアルなのです。▶︎5波は過去最大の患者数増加で、ピーク時はとても大変でした。▶︎入院できない方もたくさんいて、特に東京では自宅での症状の悪化や死亡の事例も多発しました。▶︎ですから、手放しで喜んでよいわけはない、のですが、それでも、僕らはもっともっと悲惨なシナリオを懸念していました。▶︎まあ、僕は「予測」の専門家ではないので、基本的に「準備」はしますが、予測はしません。▶︎異なる複数の仮定を想定して、最良のシナリオと、最悪のシナリオを考えて、どっちに転んでもよいように準備します。▶︎もちろん、プロは常に「最悪のシナリオ」を念頭に置いていますから、どちらかというと楽観主義よりは悲観主義に傾きがちです。▶︎が、「良い方のシナリオ」も忘れずに検討して、こちらの準備が肩透かしを食らった場合でも、すぐに対応法を変更できるよう、準備しておきます。▶︎5波がものすごい勢いで感染者数を激増させたときは、それはそれは、悪いシナリオがいくつも想定されました。▶︎そのうち、いくつかは不幸にも現実となりました。▶︎たくさんの入院待機、症状増悪時に入院できる病院・病床がない……といった事態は、想定はしていたけれども起こってほしくなかった「悪いシナリオ」です。

◆想定外だった急激な減少……

しかし、巨大に膨れ上がった総感染者数が、これほどの勢いであっという間に激減するとは、僕はちょっと考えていませんでした。▶︎この間、🇯🇵日本がやっていたのは緊急事態宣言の「延長」でした。▶︎通常、ある対策をとっているときに患者が増え続けていたら、対策を変えるのが定石で、うまくいっていない対策を続けるのは下策です。▶︎が、その下策にもかかわらず🇯🇵日本では感染がピークアウトし、一気に減少に転じました。▶︎本当は、プロは「想定外」というのを作ってはいけないんですけど、今回はまさに「想定外」の収束の素早さでした。▶︎自分の予測が良い方に間違っているのはとても良いことなのですけど。▶︎これは、いままでの「波」とは異なる展開でした。▶︎これまでは、患者数がピークに達して、「波」が減少に転じても、すぐには患者数が大きく減ることはありませんでした。▶︎入院期間の長いコロナの重症病床はいったん満床になるとまったく動かなくなり、いつまでも満床状態が続きました。▶︎典型的だったのが関西を大きく苦しめた「第4波」でした。▶︎ところが、今回はまったく異なる展開となりました。▶︎グラフを見ていただければ分かりますが、収束の「波」の角度がとても急峻(きゅうしゅん)なのです。


🇮🇳デルタ株で感染が広がりやすくなったから、ということで「増える」角度が急になるのは分かります。▶︎が、感染収束のスピードが変異株のために早まるというのは、ちょっと理解できない。▶︎いろんな仮説は出ていますが、決定的な原因はよく分かっていません。▶︎ヒントとなるのは、🇬🇧イギリスです。▶︎🇬🇧イギリスも去年から今年のはじめにかけて、巨大な「波」がやってきましたが、かなりのスピードでこれを収束させ、ほとんど新規感染者が発生しないほどになりました。▶︎1月から2月にかけて患者が激減、非常に少ない感染者数にまで問題を「収束」させることができたのです。

◆実効再生産数が毎日減少……

なぜ、🇬🇧イギリスでこれほどまでに急な感染者数の減少を達成できたのか。▶︎それは、大量のワクチン接種とロックダウンのダブルパンチによる効果だったため、と多くの専門家は考えていますし、ぼくも同じ見解です。▶︎🇯🇵日本でもこれと似たようなことが起きたのではないでしょうか。▶︎5波で興味深かったのは、実効再生産数(Rt)がコンスタントに下がっていったことです。▶︎東洋経済が出している簡易式でも、線形にRtが下がり続けているのが分かります。▶︎8月下旬くらいから、コンスタントに線形にRtが小さくなっていっています。▶︎Rtは、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す数字です。▶︎Rt1を下回っていれば感染者数はどんどん減っていきます。▶︎よく誤解されていますが、Rtが下がってきても1以上であれば感染者は増え続けます。増えるペースが緩慢になるだけで。▶︎で、このRtが毎日毎日コンスタントに減り続ける、というのが興味深いのです。▶︎多くの感染対策は「対策をとった」その日、あるいはしばらくたってから効果を発揮します。▶︎それはRtを一定の値(1未満)にして感染者を減らしていきます。▶︎例えば、緊急事態宣言などで夜間の酒類の提供を止めたりすると、Rtは一定数下がった後に、コンスタントになります(実際には、時間とともに対策の効果が目減りして、むしろ上がることもあります)。▶︎ところが、Rtがコンスタントに下がっていくということは、感染対策の「力」が毎日加わり続けて、より強い感染対策がなされていたことを意味します。▶︎だから、急峻な感染者数の減少が起きるのですね。

◆ワクチン接種のスピード 諸外国がダウンする一方で日本は……

では、どういう対策によって、こういう現象が起きたのでしょうか。▶︎それは、「こういう現象」の逆の現象について考えてみれば、分かります。▶︎つまり、「急峻な感染者数の増加」です。▶︎5波の増加のフェーズですね。▶︎東京オリンピックが開かれていた頃までは、🇯🇵日本は緊急事態宣言中にもかかわらず、ある種の「ノリ」が形成されていました。▶︎感染力の強い🇮🇳デルタ株の輸入もあいまって、患者数は激増していきました。▶︎感染経路を増やすような社会活動が増加を後押ししたためです。▶︎そして、過去最大の感染者数が更新を繰り返すようになり、今度は逆の現象が起きました。▶︎すなわち、「コロナが増えすぎてやばいぞ」という別の「ノリ」です。▶︎これが市民の行動制限を促し、人々は活動を自粛しました。▶︎これがコンスタントに感染者を減らし続ける持続的な力になったのではないか。▶︎さらに、🇯🇵日本ではワクチン接種がかなりスピードアップし、高齢者のみならず、感染を広げていた年齢層にもワクチンが普及していきました。▶︎ワクチン接種がうまくいっている多くの国では、ある程度ワクチンが普及すると接種のスピードはダウンします。▶︎🇺🇸アメリカしかり、🇬🇧イギリスしかり、🇫🇷フランスや🇩🇪ドイツもそうでした。▶︎が、🇯🇵日本では予防接種がある程度普及した現在でも、ワクチン接種のスピードは安定しています。▶︎🇯🇵日本では宗教や政治的な主義主張でワクチンに反対する勢力が、外国に比べて少ないです。▶︎僕は、かつて🇺🇸アメリカの病院に勤務していたので、とてもそう思います。▶︎🇺🇸アメリカだと、例えば医療従事者のインフルエンザワクチン接種率って、結構低いんですよ。▶︎「打ちたくない」という医療従事者が多いから。▶︎2004年に帰国して亀田総合病院(千葉県)に異動したとき、職員のワクチン接種率が9割以上もあって、🇺🇸アメリカのたいていの病院よりもずっと高くてびっくりしたことがあります。▶︎日本人のワクチンの受け入れって欧米のそれよりも良いのではないか、とそのとき思いました。▶︎それでも🇯🇵日本が「予防接種後進国」なのは、国民の側の問題ではなく、政治や官僚機構の失敗なのだと思います。▶︎以前も述べたように、コロナにおいて、🇯🇵日本はワクチン接種のしくみが非常にうまくいっています。▶︎このスピーディーでパワフルな予防接種が、「感染できる人々」の数を激減させ、さらに人々の行動抑制が加味されて、第5波が一気に減少に転じた。▶︎今年初めの🇬🇧イギリスがそうだったように。▶︎僕はそのような仮説を持っています。▶︎あと、抗体カクテル療法も多少は寄与したかもしれません。▶︎これが第5波という特殊な波の形の持つインプリケーション(意味合い)だとぼくは思います。

◆「第6波」に備えて……

ただし、🇯🇵日本の第5波がワクチンと「ノリ」で急速に減少し、収束していったのであれば、それはハッピーエンドを意味するとは限りません。▶︎似たような構造で感染がおさまった🇬🇧イギリス――ただし🇬🇧イギリスは「ノリ」ではなく、ロックダウンでしたが――も、社会制限を解除してからは感染者が激増しています。▶︎ワクチン接種が🇯🇵日本よりもずっと普及しているのに、です。▶︎毎日万単位の感染者が出現、「いやいや、死者は増えてないし」といつものように文句を言う人はいましたが、(いつものように)ほどなく死者も増え始めて、毎日100人程度の死者が出ました。▶︎🇬🇧英国もようやく、ここ数日で入院や死亡が減少に転じましたが、そこに至るまでにはけっこう大変だったのです。▶︎5波を収束させたのがワクチンと「コロナ怖い」の「ノリ」だったとすれば、次の第6波で起きそうなことも予測できます。▶︎僕は予測屋ではないので、予測なんて本来はしないほうがよいのですけど、あえて言ってしまうと、恐怖の閾値(いきち)は上がっていくのです。▶︎ご存じのように、🇯🇵日本では波が来るたびにそのピークは上がっていきます。▶︎1波よりも2波、2波よりも3波、3より44より5波のほうが大きくなっています。▶︎これは、少ない数で恐怖した過去の体験に「もう慣れてしまい」、ちょっとやそっとの数では驚かなくなってしまっているからです。▶︎よって、第6波のピークは、第5波よりも大きくなってしまう可能性が高いように僕は思います。▶︎今の🇬🇧イギリスが毎日万単位の感染者が出ていても、「ま、もう、いいんじゃない」というノリになっているように。▶︎それでも、ワクチンでリスクの高い人を守り、抗体カクテル療法でやはりリスクの高い人の重症化を防げば、6波の波は今までの波よりも「もっとマシな波」になるかもしれません。▶︎すなわち、感染者が増えるんだけど、重症者や死者が増えなくなるという。▶︎これまでは「感染者を増やしても大丈夫」的な策は皆無だったのですが、「感染者が増えても大丈夫」な世界がやってくるかもしれません。▶︎とはいえ、やはり個人的には、波が巨大になるのを待ってから対応するより、小さい波のうちに収束させてしまった方が、(経済的にも)合理的だとは思っています。▶︎6波が起きない、あるいは小さなママで収めてしまうか。▶︎これまで通り、巨大になってから対策をとって、さらに巨大なピークが来るまで看過するか。▶︎どちらが正しい予測になるかは、次の政権次第、という言い方もできるでしょうね[*読売新聞「yomiDr.2021.09.30付記事抜粋/文:岩田健太郎氏・医師、神戸大学教授]

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『コロナ後の世界を理解するための「11の数字」マッキンゼーが読み解くネクスト・ノーマル』

4回目となる緊急事態宣言が東京に発出(930日解除)されるなど、新型コロナウイルス感染の再拡大は収束の気配を見せていない。▶︎政府も、企業も、個人も、この先どうなるのかと不安を募らせているが、ひとつ言えるのは、ある日を境に「以前の状態」に戻ることはないということだ。▶︎私たちはこの先「新しい新常態=ネクスト・ノーマル」を生きていかなければならない。

◆ネクスト・ノーマルのはじまり……

パンデミックが発生して、18カ月が経とうとしている。▶︎現在、毎日世界で約50万件の新規感染者数が確認されている。▶︎また、未曽有のスピードでワクチン開発・普及が進み、全世界で合計56億回のワクチン接種が完了している。▶︎欧米では、新規感染者数は依然として多いものの、行動制限を大幅に緩和する動きが見られる。▶︎一方で、アフリカ諸国においては、2回目の接種を終えた人はわずか2.9%にすぎず、国連が発表した報告書では、こうしたワクチン接種の遅れにより2025年までに🇨🇳中国を除く新興国において、8兆ドルの機会損失が生まれ、新興国経済の回復は、2030年までかかるだろうと言われている。▶︎またワクチン接種が進んでいる国の中でも、ワクチン接種率に差異が生まれている。▶︎例えば🇺🇸米マサチューセッツ州では、人口の68%2回の接種を終えているのに対して、ワイオミング州では41%が終えているのみである。▶︎予期せぬ変異種のリスクもある。▶︎少なくとも、コロナ禍の終息に時間がかかっている要因の一つには🇮🇳デルタ株の存在がある。▶︎現時点ではその影響はわからないが、その後も変異種は増え続け、現在では🇨🇴ミュー株の脅威が議論されている。▶︎このようにコロナ禍の終息は、ワクチン接種のインフラや、ワクチンに対する人々の考え、変異株のスピードと毒性など、さまざまな要因が絡み合うため、見通しがつきにくくなっている。▶︎さらに言えば、私たちの日常が、いかなる形で戻っていくかについては、コロナの感染状況だけでなく、それによるリスクをどうとらえるかという国民感情が影響するため、国によってさまざまな形をとるだろう。▶︎一つはっきりしていることは、芝居の幕が上がるように、一気にコロナ前の日常が戻ってくることはないということだ。▶︎これから何年もかけて、国・地域がそれぞれに、いわば、「パッチワーク型(継ぎはぎ)」に、患者が増えたり、減ったりを繰り返しながら、少しずつこの病をコントロールできるようになるだろうということである。▶︎同様に、私たちの日常も、それぞれの国、地域や自治体、従事している職業などによって、さまざまな形をとる。これが私たちの「ネクスト・ノーマル」なのだ。▶︎では、「ネクスト・ノーマル」とは、どのような時代なのだろうか。▶︎4つのキーワードと11の数字で、浮き彫りにしたい。

◆『K字』……

パンデミック以前より、見えつつあった国、業界、企業間の格差は、コロナを契機に一気に拡大した。K字を描くように、明確に差異が拡大していった。

 10兆ドル:パンデミック発生後に世界で発表された経済対策の総額

コロナ禍が発生して3カ月で全世界で合計10兆ドルの景気支援策が発表された。▶︎前述のワクチン接種も含めて、先進国の対応は早かった。▶︎こうした資金の多くは、「リカバー・ベター(より良い状態への回復)」の掛け声の下、サステナビリティや医療などの分野へ振り分けられた。▶︎一方で、新興国においては景気刺激策も、ワクチン接種も遅れており、国間の格差を拡大させることになった。▶︎またコロナ禍は、旅行や飲食業など一部の業界に大打撃を与えたが、半導体産業や耐久消費財、ヘルスケア業界などなど、成長した産業も多く、産業間の明暗が先鋭化した。

②40%:コロナ発生後の1年間における世界の時価総額の増分のうちMEGA25の貢献分

こうしたK字回復の恩恵は、MEGA25と呼ばれるアメリカおよびアジアのテクノロジー、消費財(主にe-Commerce)、半導体、EV関連企業が独占した(MEGA25:中国旅遊集団中免[China Tourism Group Duty Free]、宣賓五量液酒[Wuliangye Yibin]、貴州茅台酒[Kweichow moutai]、ASMLNVIDIATSMCCATLBYD、テスラ、JD.com、アリババ、シー[Sea]、サムスン、拼多多[Pinduoduo]、美団[Meituan]、テンセント、スクエア、ズーム、ショピファイ、フェイスブック、ペイパル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、アップルの25社)。▶︎MEGA25は、コロナ禍における消費者のデジタルへの移行、ステイホーム需要、サステナビリティへの社会的な関心の高まりの恩恵を巧みに利用して、過去数年間を大きく上回る成長を実現した。

◆「デジタル、アジャイル、ボラタイル」……

企業を取り巻く環境は激変した。▶︎消費者のデジタル志向が一気に進み、消費者は、行動を機敏に変え、「移り気」になった(アジャイル)。▶︎さらに、需給の急変や、自然災害などにより、グローバル・サプライチェーンの危機が頻発するようになった(ボラタイル)。

 62%:デジタルチャネルで自動車を買いたいと述べた中国の消費者

コロナを契機に消費者はこれまで試したことのなかったブランド、店舗、購入方法を試すようになった。▶︎これまで対面でないと売れないと考えられていた商品の販売チャネルのデジタル化が進み、例えば、デジタル販売に特化していたテスラは大幅にシェアを伸ばした。

 30日未満:旅行の準備に要する期間

状況が刻一刻と変化する中で、消費者はこれまで以上にアジャイルに、行動を変えるようになった。▶︎ロックダウンが緩和されたら一気に旅行をするなど、消費者は、その都度の状況を踏まえて機敏に行動するようになり、これに呼応して素早く対応できる(アジリティを持つ)企業が成功している。▶︎これまでのブランドロイヤルティー(ブランドへの忠誠度)も崩壊して、消費者は言わば「移り気」になった。

3.7年に1回:サプライチェーンに1カ月以上の途絶を待たす危機の頻度

パンデミックを契機としたかつてないスピードでの需給状況の変化、温暖化の進展に伴う大規模自然災害の多発などにより、かつてない頻度で大規模なサプライチェーン断絶が発生している。

企業は、こうしたボラタイル(変動が激しい)事業環境を管理するため、迅速性と効率性を兼ね備えた新たなサプライチェーンの考え方を導入することが求められている。

◆「迫る社会の危機」……

社会の分断、デジタル化の進展によるワークシフト(働き方や職業の変化)、サステナビリティ危機。▶︎ネクスト・ノーマルにおいて、私たちはこの3つの危機を機会に変えていかなければならない。

 60%:仕事時間の低減や役割変更を検討したワーキングマザーの割合

コロナ禍による経済損失は、低所得者層、非正規雇用者、社会におけるマイノリティ層(人種、ジェンダーなど)により大きなダメージを与えている。▶︎一方で、世界の株式市場は過去最高値を更新し続けており、実体経済との乖離、特に社会的に脆弱な層が直面している現実との乖離が広がっている。▶︎こうした社会的な緊張が、ポピュリズムの台頭を招いている。

 16人に1人:先進国で2030年までに、異なる職業に移行する必要がある人口

危機と呼ぶにはふさわしくないかもしれないが、デジタル化、自動化、AIの進展により、「未来の働き方」が目の前に迫ってきている。▶︎民族大移動さながらに、人々は職業を大きく変えなければならない。▶︎こうした変化はチャンスでもあり、ラッダイト運動(第一次産業革命期の英国で起きた機械や工場の破壊運動)のような緊張を招く可能性もある。

 712億人:気候変動リスクが顕在化した場合に7年に一度の確率で生命にかかわる熱波が発生する地域に居住する人数

コロナ禍において、自動車の交通量などは一時的に減ったが、温暖化はいまだ着実に進展している。▶︎米中欧、それぞれにおいて、サステナビリティ危機をチャンスに変えるべく、政府による支援と技術革新が進展している。▶︎しかしながら、今のペースでは、気温上昇を2050年までに1.5度以内に抑えることはできない。▶︎民間セクターにおける目標の実行が鍵を握る。

◆「21世紀型の企業」……

社会の分断と緊張が高まる中で、企業は短期的な企業業績だけでなく、個々人の能力向上、職場のウェルネス(健康)の向上、エンドユーザーへの貢献、環境への貢献などを通じて、社会と調和的な発展を目指すことが求められている。▶︎さまざまな研究により、こうした方向は企業の競争力を中長期的に向上させることが明らかになっている。▶︎前述のMEGA25の多くは、こうした側面においても、先進的な取り組みを行っている企業が多い。

1万ドル:デジタル/AI人材を1名新規雇用する代わりに、1名リスキリングすることで削減できる費用

ネクスト・ノーマル(新常態)における成長を、デジタル/AIなどの技術が牽引することに疑いの余地はない。▶︎デジタル化を進める最も経済効率の良い方法は、大規模なリスキリング(従業員の職業能力の再開発・再教育)を成功させることである。▶︎企業にとって、コスト効率が良く、前述のワークシフトによるショックを和らげる社会的な効果も期待できる。

 63%:経営陣の女性の割合が30%を超える企業が、業界の平均利益率を超える業績を出す可能性

ダイバーシティー(多様性)の推進が、企業業績にポジティブな影響を及ぼすことが、明らかになってきている。▶︎しかしながら、前述のとおり、コロナ禍でリモートワークが進む中で、ワーキングマザーの負担が増えており、ダイバーシティーへの取り組みは正念場を迎えている。

 59兆円:国家として健康への投資を正しく行うことで得られる日本GDP効果

ウェルネス(健康)管理の経済的な効用の研究が進んでいる。▶︎コロナ禍を契機に企業は従業員の健康に関心を持ち、健康を向上させるためのさまざまな措置をとるようになった。▶︎企業は、簡単な行動変容を促したり、職場環境の改善に配慮することで、病欠者を減らし、個々人の生産性を向上させることができる。

ネクスト・ノーマル(新常態)」はすでに訪れている。▶︎国・産業・企業間に「K字」型の格差が生まれている。▶︎事業活動のデジタル化が進み、消費者行動がアジャイル(機敏)に変化し、そして需給関係やサプライチェーンのボラティリティ(変動幅)が増しており、ビジネス環境が激しく変動する時代が訪れている。▶︎パンデミックの克服に私たちが尽力している中で、社会の分断、ワークシフトによる混乱、さらにはサステナビリティ危機といった困難が、目の前に迫っている。▶︎社会的な危機と緊張が高まる中で、企業は大きく変革しなければならない。▶︎デジタル、AI等の技術をリスキリング(従業員の職業能力の再開発・再教育)を通じて自社に取り入れ、ダイバーシティーやウェルネスなどへの取り組みを拡大して、社会と調和的な発展する「21世紀型の企業」を目指さなければならない。▶︎11の数字は、「ネクスト・ノーマル」を生きる企業に課せられた使命を浮き彫りにしている[*東洋経済2021.09.30付記事抜粋/文:小松原正浩氏・マッキンゼー・アンド・カンパニー シニアパートナー  住川武人氏・山科拓也氏・ マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー]

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[*掲載日時:2021930日(木)15:25]


それ、知らんかっとってんちんとんしゃん。