橋本病はパセドウ病とは違い、倦怠感の質が違った。
怠いのは同じなのだが、パセドウ病の時は体中が鉛のように重く(数値も悪かったから)、動悸は凄いし手も痺れるし、体の背面(特に後頭部〜肩まで)が痛かった。
橋本病は、体は怠いのだけど心が追いつかないというか気分がどんよりして動き出せない感じ。
そんな怠さだった。
そして何よりも抜け毛が酷く、かかりつけの美容師さんに言われた言葉が衝撃的だったのを今でもはっきりと思い出す。
彼は私の髪の毛を梳かしながら、「早めに病院に行ってください。髪の毛がやばいです。梳かす度にパラパラと抜けます。ホラー映画みたいに…」と。
私は内心「やっぱり何かが起きてるんだ…」と思ったのを思い出す。
そしてその後すぐ病院に行き、検査の結果は橋本病。
実は、引越してきて今の主治医になってから私に橋本病の既往歴があったことが分かったのだった。
それまでの14年程は、当時の主治医も有名な病院の医師でさえも、私に橋本病の既往歴があることは気づいていなかった。
パセドウ病が再発した時、今の主治医が私の話を聞きながら血液検査の項目にチェックを入れてくれていて、それで既往歴があることが分かったのだ。
なので、橋本病を発症した時、パセドウ病との違いを細かく自分なりに観察できたのだった。
若い頃から、私はストレスが溜まると喉が辛くなり、首と肩が酷く凝って動けなくなっていた。
当時はネットもない時代。
病院は土日になるとお休みが多く、仕事をしていると受診するタイミングが合わなかった。
だから、大型連休や土日などは一日中横になっていた。
自分が甲状腺疾患持ちだとは思ってもいなかったから。
首や肩の凝りもなんで起きているか分からなかった。
誰がパセドウ病でどれが橋本病だったかも分からない。
ただただ、遊びたいのに遊べないもどかしさに、ベッドの上で凹んだのだった。
そんな私は両方の持病を持つため、よっぽどでない限り投薬治療ができない。
どちらかの数値が悪化して投薬治療を始めると、途端に反対側の数値が悪化してしまうからだ。
そんなことが数回続き、主治医と出した結論は「甲状腺の数値をいい塩梅で保つ」こと。
忙しかったり心がアップアップになるとすぐどちらかに振れてしまう。
だから心のバランスを保つこと。
疲労やストレスをコントロールすること。
適当に力を抜くこと。
これが最重要課題となったのだった。
これがとっても難しい!
でも、これは本当に大切なこと。
様々な病気を経験して言えるのは、「自分の心を蔑ろにし続けると体に必ず異変が起きる」。
まだまだ難しい時も多いけれど、でもそのことを知るだけで無理しすぎている自分に気づけるようには絶対になってくる。
自分の心が元気じゃないと体は元気になって行かない。
病は気から…なんですよ、本当に。