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 皇后殿 ブーケ1
パク尚宮:「皇后さま。妃宮様とチェ尚宮がお見えになりました」
 
皇后:「中へ」
 
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パク:「どうぞ、お入りください」
 
皇后が座っている正面に
緊張した面持ちで立つチェギョンとチェ尚宮。
そんな二人を黙って見上げる皇后。
チェギョンの目に泣いた後が残っている。
皇后の胸が痛む。
 
皇后:「妃宮、お座りなさい」
 
チェ:「はい」
 
皇后の正面に座ったチェギョン。
緊張で顔をあげることができない。
 
皇后:「そなたが茗禪堂に入っていくところを見かけたと報告があった。
     あのような場所にどうして一人で行ったのだ?」
 
厳しい口調の皇后。
体が硬直する。
横に並んでいるチェ尚宮がチラッとチェギョンを見たのが気配で解った。
返事をしなければ…。
チェギョンはチェ尚宮のことばを思い出した。
(チェ尚:「皇后さまは妃宮様をご心配なされています」)
膝の上の手をギュッと握りしめて、
 
チェ:「散歩していたら迷子になってしまって…。
    そのときに偶然見かけたんです。
    古い建物で、き・興味がわいて…つい足を…」
 
俯いて答えるチェギョン。
握りしめた手の中がじんわりと汗ばむ。
その声も心なしか震えている。
 
皇后:「では、あそこの行ったのは初めてだと?」
 
チェ:「は・はい」
 
皇后:「…」
 
チェギョンは、手紙のこともあるのであの場所のことを説明したくなかった。
ましてや、ユル君に教えてもらったなどとは言えない。
だから、初めてだと嘘をついた。
しかし、無言の皇后の視線を感じドキドキしてつい落ち着きをなくしてしまった。
皇后が信じてくれたかどうか不安になったのだ。
 
皇后:「そうか…。
     もともとあそこは歴代皇太子妃の所有になる建物だ。
     しかし、恵政宮以来使用してはいない。
     いたみも酷いと聞いている。
     危険な故、勝手に入らない方がよい」
 
恵政宮と聞きハッとして顔をあげたチェギョン。
しかし、皇后からは何も読みとれない。
 
チェ:「はい、わかりました」
 
皇后:「わかればよい」
 
皇后はそう答えた。
チェギョンは、それ以上追及されないようだと安堵のため息をついた。
皇后はそんなチェギョンの様子に違和感を感じた。
しかし、今の問題はそこではない。
 
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皇后:「ところで妃宮。
     今日は、護衛もつけずに学校から一人で下校し、しかも連絡もつかなかったと聞いた。
     どのような理由があったとしてもそのような行動は許されるものではない。
     なにかあったらどうするつもりだ」
 
皇后の声はさっきより怒りを含んでいる。
またもや緊張するチェギョン。
 
チェ:「はい、申し訳ありません。皇后様
    少し、街を歩るきたくなって…」
 
皇后:「街を?歩く?
     そなたは自分の立場を理解しておるのか?
     なにかあったらそなただけでなく皇室…そして世間に迷惑をかけるのだ」
 
チェ:「はい…もうしわけありません」
 
体を小さくして頭を下げるチェギョン。
皇后はそんな姿にため息が漏れた。
 
皇后:「ふぅ~、まったくいつまでも心が休まるときがないではないか…」
 
ふと皇后さまの口調が柔らかくなった。
項垂れていたチェギョンはそっと顔をあげた。
皇后さまはうっすらと笑みを浮かべてチェギョンを見ていた。
驚くチェギョン。
そして、次の言葉にもっと驚いた。
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皇后:「よく戻ってきてくれた」
 
チェ:「はあ?」
 
皇后:「礼を言う」
 
チェ:「こ・こ・皇后様?」 
皇后:「今は母上でよい」
 
チェ:「エッ?」
 
皇后:「先ほどそなたを茗禪堂に迎えに行くようチェ尚宮に伝えに行った時、
     パク尚宮がチェ尚宮たちの緊迫した様子に不信をいだき事情を聞きだしたのだ」
 
チェ:「はい」
 
皇后:「妃宮、写真を見たのじゃな。そのせいで…」
 
チェ:「エッ?どうしてそのことを?」
 
皇后:「実は、私の手元にもそなたに届いた写真が届いたのだ」
 
チェ尚宮もその事実を知らなかったようで驚いている。
 
チェ:「チェ尚宮がどれほど心配しておったかわかるか?」
 
チェ:「…」
 
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チェギョンは振り向いてチェ尚宮を見る。
ポロポロと涙が頬を伝う。
 
皇后:「どうして黙っていたのだ?」
 
チェ:「それは…」
 
皇后:「もしや…シンを庇ってか?」
 
チェ:「…」
 
俯いているチェギョンから嗚咽が漏れだした。
チェ尚宮が黙って皇后に頷いた。
 
皇后:「そうか…。
     本当は一番傷ついているのに…。
     そのような優しいそなたに…いったい誰が何のためにこのような酷いことを…。
     もう、一人で悩むことはない。
     皇太后さまもご存じだ。
     さぞ、辛かったであろう。
     そなたには知られたくなかったので黙っていたのがかえって仇になった…」
 
チェ:「う・う…」
 
チェギョンは声を抑えることができず泣きだしてしまった。
皇后が近寄り横に座るとそっと肩を引き寄せた。
ハッとしながらもチェギュンは皇后の胸に顔を埋め泣きじゃくった。
チェ尚宮とパク尚宮もそっと目頭を押さえた。
しばらく皇后は背中をさすりながら泣きやむのを待った。
チェギョンは恥ずかしそうに涙をぬぐいながら皇后から離れた。
 
チェ:「もうしわけありません」
 
皇后:「気にすることはない。
     しかし、皇族は人前では涙を見せてはいけない。
     これからは肝に銘じておきなさい」
 
まだ残っているチェギョンの頬の涙を袖で拭ってくれた。
 
チェ:「はい
 
自信がなくてつい小さな声になる。
 
皇后:「オホホホ…。
     泣くなではなく泣かせないようにしなければならぬのだな」
 
チェ:「いいえ、頑張ります」
 
皇后:「しかし、そうやって泣くとことができるそなたが羨ましい。
     シンの前でもそのように泣いたことがあるのか?」
 
チェ:「エッ?あ~っと。はい
 
皇后:「まぁ~、シンは、さぞ驚いたのではないか?」
 
チェ:「はい、多分」
 
皇后:「そうか…」
 
チェ:「すみません」
 
皇后:「謝ることはない。
     そういう感情をみせることも必要かもしれぬ…。
     そうでないと心の痛みが解らぬであろう」
 
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皇后はなにかを思い浮かべるような表情をした。
チェギョンは、そんな皇后の切ない表情に
「2人のことを知っているのではないか」…とふとそんな予感が胸をかすめた。
皇后は、そんなチェギョンの視線を感じ、ちょっと戸惑いを見せた後、
 
皇后:「所で先ほどは写真のことではシンを庇ってくれたようだが
     あの件についてシンはそなたにどのように言っているのだ?」
 
急に話題が変わり戸惑うチェギョン。
 
チェ:「それは…。
    お母様が東宮に新聞を持っていらしたあの時は私には関係ないと…。
    でも、私が学校で倒れたり、このことに拘っていたりすることを気にしてくれて、
    チェジュ島にお婆様とご一緒した時、少し話をしました。
    自分だけしか知らない秘密を持っていたいと…。
    だから、二人のことは言いたくないのだと説明してくれました。
    きっと、ヒョリンの存在だけが…皇太子でない高校生のイ・シンでいられるんです」
 
寂しそうに口元を歪めるチェギョン。
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チェ:「だから…私は聞かないことにしました」
 
皇后:「…」
 
チェ:「それに…本当はシン君、 アッ、
    殿下もヒョリンのことを考えると辛いんだと思います。
    ヒョリンも殿下を…」
 
チェギョンの胸が痛み言葉が続けられない。
 
皇后:「チェギョン、そなたもヒョリンとやらをよく知っておるのか?」
 
チェ:「いえ…、いいえ」
 
そう言って首を振る。
私生児だと…だからシン君とのことを諦めようとしたのだ…と。
しかし、ここで自分が言うわけにはいかない。
 
皇后:「前回、学校で倒れたのはその女性に何かを言われて…
     そのせいではなかったのか?」
 
チェ:「…」
 
皇后:「妃宮…シンが秘密がないと言っておったそうだが
     それは、そなたも同じじゃ。すべて報告が上がっている」
 
チェ:「エッ?」
 
皇后:「とは言っても詳しい内容まではわからぬ。
     これからのこともある。すべて話してくれぬか?」
 
チェギョンは判断に迷った。
しかし、シン君とヒョリンのことは私にはどうすることもできない。
それに二人を取り持つなんて辛すぎる。
そして、随分たってからやっと言葉を絞り出した。
 
チェ:「…離婚」
 
皇后:「??
     今、なんと申した?」
 
意外な言葉に信じられないという表情で聞きかえす皇后。
 
チェ:「離婚はできますか?」
 
皇后:「妃宮…」
 
皇后は驚愕の表情で言葉を呑みこんだ。
チェ尚宮もパク尚宮もチェギョンをみて驚いている。
 
チェ:「シン君はヒョリンを本当は好きなんだと思います」
 
皇后:「どうしてそのように思うのだ?
    タイでのことは突然尋ねてきた友人を空港まで送っただけと…」
 
チェ:「…」
 
皇后:「まさか…シンも離婚を?そのようにしたいと?」
 
チェ:「…」(頷く)
 
皇后:「なんということを…」
 
チェ:「私もいけなかったんです。
    シン君がヒョリンと結婚したいのを知っているのに…
    このお話を断らなかったから…」
 
皇后:「…、まさかそなたは結婚前から二人のことを知っていたというのか?」
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チェ:「…」
 
唇を噛みしめるチェギョン。
 
皇后:「どうなのじゃ」
 
黙って俯くチェギョン。
膝の上の握りこぶしが震えている。
 
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ヘミョ:「シンはチェギョンとの話が出た時、
     ミン・ヒョリンにプロポーズをしたそうよ」
 
突然入ってきたヘミョン。
チェギョンを始め皆がヘミョンの登場とその話の内容に驚いた。
 
 
 

                               \¤\᡼\¸ 3素材は、『kissme…』のAKKOさんに頂きました。
                               http://blogs.yahoo.co.jp/kissme_0516