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by love

   ハンチャンテな皇太子 

  シン家・リビング チューリップ赤  
昼食後、シンはチェギョンと一緒に法事の準備を手伝った。
沢山の供物を備えるための器を並べていく。
 
チェ:「シン君、5列に並べるんだよ。これそこに置いて」
 
シン:「わかった。これでいい?」
 
チェ:「うん、それからおじいちゃんの写真がここでしょ。
    ほら、そこにある写真をここに置いてくれる?」
   
部屋のサイドボードの上にある写真を指差したチェギョン。
シンがその写真を手にとって祭壇に並べた。
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チェ:「ありがとう。 
    大体これでおわりだよね。
    シン君、ご苦労さま。
    何か飲む?」
 
シン:「どういたしまして。
    俺がコーヒー入れようか?」
 
チェ:「ううん、シン君休憩してて」
 
シン:「わかった」
 
チェギョンはキッチンにいった。
シンは床に座ると箱などいらなくなったものを簡単に片付ける。 
そして、チェギョンが道具をだしていた扉棚を閉めようとして
そこにあるアルバムのらしきものに気がついた。
それをひっぱりだしたシン。
 
シン:「うん?チェギョン、これってアルバム?」
 
チェギョンが丁度コーヒーをトレイにのせて戻ってきた。
 
チェ:「そうだよ」
 
シン:「見ていい?」
 
チェ:「うん?いいけど…
    ちょっと恥ずかしいな」
 
チェギョンは、そういいながらシンの横に並んで座った。
 
チェ:「これ私の写真だね。
    シン君、そんなのみたい?」
 
シン:「ああ、みたい」
 
それはチェギョンが赤ちゃんの時からの写真だった。
シンは写真をみながら微笑みが自然にでてくる。
 
シン:「クスッ…これ3つくらい?
    結構おてんばだったんだな」
 
チェ:「うん、そうだよ。
    ほら、これなんかチェジュンと双子みたいでしょ」
 
シン:「まったくだ」
 
チェ:「でも、シン君と会ったころの写真ってほとんどないんだよ。
    えっとほらこれ。
    これって昌徳宮だよね」
 
シン:「そうだね。秘苑だろう?」
 
チェ:「きっと、家も当時は凄く大変だったみたいで写真どころじゃなかったのかな」
 
シン:「…」
 
シンは、チェギョンがいった「家も当時は大変だった」という言葉に胸が痛んだ。
シンが黙ってしまったのでチェギョンがシンをみる。
 
チェ:「シン君?」
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シン:「うん?」
 
チェ:「どうしたの?」
 
シン:「なんでもない。
    あれ、これチェギョン?」
 
チェ:「そうだね。小学生のころだね」
 
シン:「かわいい」ラブラブ!
 
チェ:「シン家の妃だもの」
 
ちょっと胸を張る。
 
シン:「やっぱりお団子頭?」にひひ
 
チェ:「そうだね。、この頃から女の子ぽくなってるでしょ。
    これって多分…おじいちゃんの故郷だよ」
 
シン:「そうか…」
 
シンはチェギョンが明るい笑顔で映っていることに安堵した。
二人でゆっくり写真をみていく。
 
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チェ:「シン君の小さいころの写真も今度みせてね」
 
シン:「ああ、でも俺のは5歳までのは結構あるんだけど
    それからは公式な写真しかないんだ」
 
チェ:「どうして?」
 
シン:「父上も写真が好きで5歳まで家族の写真をよく撮ってくれた。
    皇太子になってからは家族とも離れ離れだったし…」
 
チェ:「ふ〰ん、そうなんだ。
    でも、どうして皇太子になったら家族と離れるの?」
 
シン:「さあ、それはしきたりだからだろう。
    すべて乳母がしてくれたから。
    皇帝は天の子であってそれにふさわしい人格が必要なんだ。
    その皇帝になるための資質を身につけるためにいろいろなことを教えられた。
    いずれは皇帝になる…それを自覚させるためでもあるのかな?
    でも、それは韓国だけではない。
    多分王室や皇室がある国…たとえば日本でもそうだったんだ。
    でも、今の日本の皇室はそのしきたりを廃止している」
 
チェ:「廃止?」
 
シン:「ああ、僕だって王立に行くべきところを
    父上民間の学校にいれてくれた」
 
チェ:「ふうん。
    シン君は自分の子供ができたらどうするの?」
 
シン:「エッ?」
 
チェ:「だから、子どもができたら?」
 
シンは思わずチェギョンをまじまじと見つめてしまった。
しかし、チェギョンはまるで一般論をいってるみたいに興味深くシンの答えを待っている。
 
シン:「コホッ。ああ、絶対自分たちの手元で育てる」
 
チェ:「…よかった」
 
シン:「よかっ…(たって?)」
 
チェ:「私もそうしたい」
 
シン:「チェ・チェギョン…」
 
シンが真っ赤になって俯いた。
心臓が飛び出しそうだ。
やっとチェギョンはシンが真っ赤になった意味を理解し、
 
チェ:「えっと…」
 
チェギョンも恥ずかしくなってアルバムを無造作にめくった。
シンもちょっと気まずい感じでめくられたページに視線を落とす。
気まずい雰囲気になってしまった。
 
シン:「アッ、こ・これ…。
    チェギョン?これがおばあさん?」
 
チェ:「そ・そうなんだけど…私はほとんど記憶がないの。
    私が生まれてすぐに亡くなったそうよ」 
 
シン:「そうか…」
 
ホッとするシン。
なんとか雰囲気を変えることができた。
 
チェ:「だから、皇太后さまをみてるとお婆様ってこんな感じなんだろうな〰って。
    ママの両親はママが結婚する前に亡くなったの。
    だから、ママは天涯孤独なんだっていつも言ってる。
    家族を大事にするのも仕事をもって自立していたいのもそれでなの。
    いつ、誰がどうなるかわからないでしょう?」
 
シン:「そうか〰」
 
チェ:「だから、パパが仕事に失敗しても
    ママは『じゃ、私がはたらくわ』って言って働きだしたの。
    だから、パパも『そうか…じゃ』って」
 
シン:「…」
 
チェ:「シン君?
    いちいち深刻に考えないで。
    家はみんな楽天家なの。
    明日は明日の風が吹く…ってね」
 
シン:「『風と共に去りぬ』だな」
 
チェ:「『風』『去る』?なにそれ?」
 
シン:「はあ〰やっぱり」
 
チェ:「あ〰ばかにした」
 
シン:「してない、してない」
 
チェ:「してる〰ぅ」
 
チェギョンが頬をプッと膨らます。
シンは、そんなチェギョンが可愛くて頬をツンツンとつついた。
 
チェ:「もう、やっぱり馬鹿にしてる」
 
シン:「違うよ。本当にかわいいな〰って思ってるんだよ」
 
チェ:「ほんと?」
 
シン:「う…ん(やめてくれ…その上目使い)」
 
シンはフッと視線をそらした。
心臓がトクントクンと激しく鼓動を打ち出した。
そして、押さえていた激しい思いが体に変化を…。
 
シン:「まずいドンッ
 
シンはそっと体を離す。
 
チェ:「シン君?ホントにかわいいって思ってる?」キラキラキラキラ
 
そんなシンの変化にも気づかずさらに体を寄せてシンを覗き込む。
 
シン:「お前…離れてろ。
    でないと俺、襲うぞ」
 
チェ:「はあ  い・今なんて?」目
 
シン:「あ〰だめだ。
    チェギョン、離れてろ」
 
シンはチェギョンの体を急に突き放すように押し返した。
 
チェ:「…キャッ」
 
チェギョンは突然のシンの行動に驚いてバランスを崩し祭壇に倒れ込んだ。
道具類がガラガラとあたりに飛び散った。
 
シン:「エッ?」
 
チェギョンが唖然としてシンを見つめている。
そして、ウルウルと瞳が潤み涙が溢れてきた。
 
シン:「チェギョン!!!! ごめん」
 
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あっという間にチェギョンの両目から涙がこぼれおちた。
 
チェ:「ご・め・ん。でもどうして??」
 
シン:「チェギョン…違うんだ。
    その、俺…」
 
シンがいきなりチェギョンを抱き寄せて唇を塞いだ。
それは、いままでとまったく違う激しいkissだった。
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チェ:「う〰ん」
 
チェギョンは、いつもと違うシンに気持ちがついていかず
ぐっとシンを押し返した。
それでもシンはびくともしない。
なんどもなんども繰り返されるkiss。
 
チェ:「うううっつ」
 
ようやくシンを押し返したチェギョン。
そいて、シンが腕の力を緩めたとたん、
チェギョンは、さっと立ち上がって部屋を出て行った。
 
シン:「チェ…」
 
しかし、すでにチェギョンの姿はそこにはなかった。
シンは止めようとしてチェギョンに差し出した手を握り締めた。
そして、茫然としている。
まだ、息が整っていないが顔から血の気が引いていくのが解る。
耳を澄ましたがチェギョンが家の外にでていく気配はなかった。
自分の部屋にでも入ったのだろう…。
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シン:「はあ〰ぁ」
 
大きくため息をついたシン。
そして、チェギョンの写真をじっと見つめた。
そして、なんども息をすって大きく息を吐く。
ようやく気持ちと体が落ち着いた。
ゆっくり、道具を手に取り元の場所に戻していく。
 
シン:「ごめん。チェギョン…」
 
 チェギョンの部屋 チューリップ赤 
自分の部屋に飛び込んだチェギョン。
ドキドキドキ
びっくりした。
初めてシンが怖いと思った。
いや、不安を感じた…と言う方があっている。
 
チェ:「はあ〰〰〰ぁ」
 
抱きしめられたシンの力強さが腕に残っている。
そして、シンの唇が触れていた自分の唇をそっと指でなぞる。
触れていたと言うよりきつく吸われた。
唇から魂を吸い取られる…そんなkissだった。
まだドキドキドキがとまらない…。
心臓が飛び出しそうだ。
しかし、ハッとする。
 
チェ:「シン君…」
 
驚いてこの部屋に来たものの「シンはどうしているだろうか?」
振り返ってじっと耳を澄ますが家の中はし〰んとしている。
シンが後を追ってくる気配もない。
 
チェ:「どうしよう?」
 
またしてもため息が漏れた。
その時、シンがいる部屋からカタカタという音が微かに聞こえてきた。
 
チェ:「?」
 
そっと立ち上がるとシンがいる部屋に歩いて行った。
 
 シン家・リビング チューリップ赤  
チェギョンがそっと覗くとシンが祭壇に道具を並べ直しているところだった。
なんだかその背中が寂しそうだ。
シンはチェギョンが部屋に来たことを感じたが
どんなふうに声をかけていいのか解らずそのまま作業をつづけた。
チェギョンは、そのまま部屋に入っていく。
そして、シンの横に並んで一緒に並べだした。
黙ったまま道具を並べていく二人。
 
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シン:「ごめん」
 
チェ:「ううん、私こそ」
 
シン:「嫌いになった?」
 
チェ:「そ・それはないけど…驚いた」汗
 
シン:「チェギョンといると本当に感情がコントロールできなくなる」
 
チェ:「うん」
 
シン:「傍にいるだけで幸せだって…そう思っていたのに…」
 
チェ:「うん」
 
シン:「もう、しないから…って約束できそうにもない」
 
チェ:「クスッ」
 
シン:「なんだよ」
 
チェ:「正直だね」
 
シン:「だから、お前が気をつけろ」
 
チェ:「はあ?
    そんな…こと…言ったって…」シラー
 
シン:「でないと俺は無理だ。
     傍にいると自信がない」
 
チェ:「それは…ちょとなら…」
 
シン:「ちょっとなら?」
 
チェ:「いいよ」
 
シン:「ちょっとってどれくらい?」
 
チェ:「そ・そ・そんなこと聞く?」
 
シン:「だって、違うだろ?男と女じゃ」
 
チェ:「し・知らないわよ」
 
シン:「クスッ…俺たち何バカいいあっているんだ?」
 
チェ:「バカシン。エロシン」
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シン:「お・お前な〰ぁ」
 
こつんと頭を叩くシン。
 
チェ:「暴力はんた〰い」
 
その時、玄関のチャイムが鳴った。
そして、パパの元気な声が聞こえた。
 
パパ:「姫〰帰ったぞ〰」
 
ママ:「ただいま〰」
 
二人は、顔を見合す。
 
シン:「チェギョン、今のはパパには秘密」(シ〰ィと口元に指をたてる)
 
チェギョンは、ウンと頷くと
 
チェ:「お帰り〰ぃ」
 
そう言いながら玄関まで迎えにと立ち上がった。
シンは、屈託なく微笑んで走り去るチェギョンを見送りホッとため息をついた。
そして、シンも立ち上がり玄関へと向かった。
 

                               \¤\᡼\¸ 3素材は、『kissme…』のAKKOさんに頂きました。
                                                                     http://blogs.yahoo.co.jp/kissme_0516