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                                                                                          by love  

  思い合う心  

 釜山・ホテルの一室 ホテル 
公務が終了し、ホテルの部屋に入ってすぐに携帯を取り出し母に連絡を入れた。
 
シン:「母上、父上のことコン内官から聞きました。
    その後の容体は?
    父上は大丈夫なんですか?」
 
さすがのシンも少し取り乱している。
 
携帯皇后:「太子、公務は?」
 
シン:「つい先ほど無事終了いたしました」
 
携帯皇后:「ご苦労であった。
        陛下は、血圧が下がったようでめまいを起こしたようです。
        キム内官が早く気付き支えてくれたので大儀はなかったのです。
        陛下が授賞式だけなんとか済ませ、御医に診ていただきましたが
        発作とかではなく安静にすれば良いと…。
        今、義誠大君が戻ってくれて受賞者との夕食会は変わってくれるというので
        そなたはっこちらのことは心配しなくてもよい」
 
シン:「母上、父上は無理をなされたのではありませんか?
        先日の雑誌の件が原因で無理に公務を…」
 
携帯皇后:「そなたの気持ちはわからぬではないが
         陛下はご自分で公務への出席を判断されたのです。
         そなたも公務が続き、無理をしているのであろう。
         気の毒に思うがなんとか乗り切ってほしい。
       それから、今日の授賞式にはテレビの取材も来ていたようだ。
       ニュースになるであろうからチェギョンには先に連絡をしてあげなさい」
 
シン:「はい、わかりました。
    母上。今、そこに義誠大君がいますか?」
 
携帯皇后:「ええ、かわります」
 
皇后がユルに受話器を手渡す。
 
携帯ユル:「シン、ユルだ」
 
シン:「ヒョン、いろいろとありがとう」
 
携帯ユル:「いや、陛下は今薬で良く眠られているようだ。
        呼吸も穏やかだし、顔の色もいい。
        こっちのことは心配するな。
        それから、チェギョン喜んでいたぞ」
 
シン:「そうか…よかった」
 
そう言った途端にふいにシンは自分の体に違和感を覚えた。
ふわ〰と意識が遠のくような…。
一方、ユルも普段ならチェギョンのことをもっと聞きたがるはずのシンが
それ以上聞いてこないことに違和感を覚える。
 
携帯ユル:「お前の方は、大丈夫か?」
 
そのことばにシンの意識がまた戻る。
 
シン:「大丈夫だ。じゃ、後のことよろしく頼む」
 
携帯ユル:「…ああ、わかった」
 
シンは体がふらついたので急いで電話を切った。
そして、ホッとしたとたんにソファに崩れるように倒れた。
携帯電話が床に落ちた。
はずみで充電パックが飛び散った。
 
コン:「殿下」ドンッ
 
慌てて駆け寄るコン内官。
意識のないシンを見て、
すぐにドアの外に控えている内官と護衛官を大きな声で呼ぶ。 
 
コン:「カン内官、ヨンジェすぐに中に」
  
その声にドアが開いて数名の内官と護衛が部屋に入ってきた。
コン内官の呼び声と人の駆け込む気配にシンは微かに意識が戻った。
 
コン:「殿下、お気づきですか?」
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シン:「ああ…。
    内官…大丈夫です。
    だから、騒がないように」
 
コン:「しかし、殿下…」
 
シン:「命令だ。
    外部の者を呼ぶな」
 
シンの低く、厳しい声に静まり返る部屋。
シンは、軽く目を閉じると…
 
シン:「すまない。
    多分、寝不足です」
 
コン:「殿下、念のために御診断を…」
 
シン:「父上のこともあるのに私まで倒れたなどと知られてはまずい。
    大騒ぎになる。本当に大丈夫だ。
    これから、少し横になる」
 
コン:「解りました。
    では、少し楽な御召ものに…」
 
シン:「ああ、そうしよう。
    晩餐会の1時間前に起こしてほしい」
 
コン:「承知いたしました」
 
シンは、ソファから体を起こすとベッドルームに移動する。
背広を脱ぎ、部屋着に着替えベッドに横になった。
 
シン:「…(アッ、チェギョンに電話を……コン…内…官。携・帯…ぐぅぐぅ) 」
 
そんなことが頭をかすめたのに体が動かない…。
ことばも発することもできなかった。
するとあっという間に睡魔に襲われた。
様子を見に来たコンは熟睡しているシンをみて胸が詰まる。
 
コン:「殿下…」
 
元に戻した携帯をベッドサイドのテーブルに置き
もう一度、シンを見下ろすと頭をさげてから 
ゆっくり部屋の明かりを消すとドアを閉めた。
 
 ソウル・チェギョンの家  
友達とひとしきり話をしてお腹一杯食べたチェギョン。
宮の迎えの車が来て、家に帰ってきた。
 
チェ:「ただいま〰〰」
 
ご機嫌で帰宅の挨拶をして靴を脱いで上がろうとしていると
 
ママ:「チェギョン、大変よ。
     早く来て」!!!!
 
居間からママの切羽詰まった声が帰ってきた。
慌てて居間に入っていくチェギョン。
 
チェ:「どうしたの?」
 
パパとママがテレビにかじりつくようにして画面を見ている。
そのせいでチェギョンに画面が見えない。
 
チェ:「ちょっと、なにがあっ…」目
 
そう言いかけた時、テレビのアナウンサーの声がチェギョンの耳にも入った。
 
アナウンサー:「…ということで、皇帝陛下のご容体は皇室の発表では安定しており心配ないとのこと。
          皇太子殿下のご婚約もあり、御心労が持病を悪化させたのではと
          関係者は語っている。
          尚、皇太子殿下が地方公務中ということで
           急遽義誠大君殿下が本日の公務を行われることになったようです。
          では、次のニュースです
 
チェ:「ヘッ?陛下のご容体?なにそれ?
    さっき運転手さん、何も言ってなかったのに…」
 
パパ:「皇帝陛下が公務中に気分が悪くなられたそうだ。
     今、速報でこのニュースが入ったんだ」
 
ママ:「チェギョン?殿下は何も?」
 
チェ:「シン君は、今朝から釜山で公務なの。
    今日は帰れないって言ってたから…。
    そう言えば…さっきユル先輩が一緒だったんだけど急用で帰ったの…。
    このためだったのね」
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パパ:「皇帝陛下は、心配ないとのことだ」
 
チェ:「シン君に電話してみる」
 
携帯を取り出しシンを呼び出す。
しかし、途中で留守電に切り替わる。
 
チェ:「まだ、公務なのかな?」
 
ママ:「それじゃ、きっと
     後で連絡をくれるつもりでしょう」
 
チェ:「ニュースで婚約の心労で悪化したっていったよね」
 
ママ:「そ・そうだった?」
 
ごまかそうとするママ。
 
チェ:「…(その気持ちがわかる)」
 
そんなチェギョンの横に座り直し肩を抱き寄せるパパ。
 
パパ:「親なら誰だって子どもの結婚には気を使うもんだ。
     パパだって夜眠れない時もあるんだ。
     それが普通だよ。
     お前が気にすることはない」
 
チェ:「うん」
 
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 チェギョンの部屋   
自分の部屋に入ってベッドに腰を下ろす。
すると携帯が着信を知らせる。
急いで耳にあてる。
 
チェ:「シン君?」
 
ガン:「ごめん、私」
 
チェ:「アッ、ガンヒョン?
    慌てて画面みなかった」
 
ガン:「テレビ観た?」
 
チェ:「うん、観た」
 
ガン:「殿下からはまだ連絡ないのね」
 
チェ:「うん。さっきしたんだけど公務中なのかな?
    留守電になっちゃうの」シラー
 
ガン:「そうか。じゃ、電話待ってるんだね。
    それじゃ、殿下から電話がかかったらいけないから私は切るね。
    テレビでも陛下は大丈夫だっていってたから気にしないで」
 
チェ:「うん、心配してくれてありがとう」
 
しかし、それから数時間たってもシンからの電話がない。
 
チェ:「シン君…」
 
携帯の待ち受けを見ながらため息がでる。
こんなときに友達と息抜きをしていたことがちょっぴり罪悪感が押し寄せる。
パパもママもチェジュンもチェギョンが心配で
チェギョンの部屋を覗いては顔を見つめあってため息をついていた。
チェギョンはふとそんな家族の様子気づいた。
もう一度ため息を漏らすと携帯を開きメールを打った。
 
from、チェギョン
シン君、公務お疲れ様。
まだ、公務なのかな?
終わったら電話ちょうだいね。
何時でも待ってるからね
 
そして、ようやく居間にでてきた。
 
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パパ:「そろそろ、お腹がすいてないか?」イメージ 6
 
チェ:「ううん、沢山食べてきたから今はいい」
 
ソファに座ると背もたれに腕をのせた。
何かを考えている様子。
こんなチェギョンを見るのは初めてで
家族も結局何も言えずただだまってテレビをみていた。
暫くするとチェギョンが何かを決心したように顔をあげた。
 
チェ:「そうだ。決めた」
 
パパ:「姫?どうした?」
 
チェ:「パパ、ママお願があるの」
 
 
 

                                \¤\᡼\¸ 3素材は、『kissme…』のAKKOさんに頂きました。
                              http://blogs.yahoo.co.jp/kissme_0516/29285157.html