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                                                                                   by love
 

  青天霹靂スクープ

  ソウル市内・車中   
シンとチェギョンはソウルに帰ってきた。
もう、夕闇がせまりソウルの街は賑やかな夜の顔を見せていた。
パパに門限と言われていたがそれまでには帰れそうだ。
 
シン:「今日は疲れてない?」
 
チェ:「ちっとも」
 
シン:「ひっぱりまわしたからな…」
 
そっとチェギョンの手をとる。
ドキッとしたチェギョン。
運転しているシンをチラッと見る。
シンはその気配に気づいたのか口の端をあげて微かに笑った。
 
シン:「何か?」
 
チェ:「シン君ってどんどん印象が変わっていくな〰って」
 
シン:「どっちに?」
 
チェ:「ん?」
 
シン:「チェギョンにとっていい方に?」
 
チェ:「勿論だよ」
 
シン:「そうか…よかった」
 
チェ:「氷の皇太子っていわれてたの知ってる?」
 
シン:「知ってる…っていうかそういうイメージを作ってた」
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チェ:「そうなんだ」
 
シン:「面倒だったんだ…。
    いろいろ関わるのが」
 
チェ:「ふう〰ん」
 
シン:「氷を溶かしたのはチェギョンだ」
 
チェ:「そうかな?」
 
シン:「そうだ」
 
チェ:「だとしてももともとのシン君がでてきただけだよ」
 
シン:「エッ?」
 
チェ:「優しくて…人を思いやる心があって…結構子どもっぱい」
 
シン:「チェギョンがそれも引き出してくれた」
 
チェ:「ウフッ、だとしたらシン・チェギョンって最強だね」
 
シン:「そうだよ」
 
チェ:「アッ、そこでいいよ」
 
車はチェギョンの家の近くの公園に差し掛かっていた。
 
シン:「どうして?もうすぐそこだろ?」
 
チェ:「だって、この車じゃ目立つし」
 
シン:「大丈夫だ」
 
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  チェギョンの家の前 
シンはそのまま車をチェギョンの家の前に横付けした。
同時にドアを開け降りる。
シンは車をロックした。
 
チェ:「シン君?」
 
シン:「ご挨拶をして帰る」
 
チェ:「…(パパ大丈夫かな?)」
 
シンはチェギョンに並ぶと当たり前のように手をつないだ。
チェギョンも嬉しそうにシンを見上げる。
その時、玄関からパパが慌てて出てくるのが見えた。
そして、シンとチェギョンの前の門戸が開け放された。
あっけに取られている二人。
 
パパ:「さ、さ早く中に…」
 
そういうと二人を中に入れるとサッサッとあたりを伺う。
 
二人の背中を押すように家の中に入ったパパ。
ドアを閉めるとホッとしたように力を抜く。
 
チェ:「パパ?」
 
シン:「アッ、こんばんは」イメージ 4
 
シンは状況を判断してまずは挨拶をする。
そこにママとチェジュンもでてきた。
 
パパ:「とにかくおあがりください」
 
なんとなく緊張が見られる。
ママもチェジュンも表情が硬い。
 
チェ:「なにかあったの?」
 
パパ:「それが…、や、とにかく居間に…」
 
家族の向かいに座った二人。
テーブルの新聞にシンが驚いて手を出す。
そのTopに大きな見出し。
 
スクープドンッ 皇太子殿下。
18歳の誕生日にご婚約か?
 
シンは急いで目を通していく。
 
来週、行われる皇太子殿下の誕生を祝う会が
今年は宮中で開催されることとなっている。
皇帝陛下の体調がすぐれないことや殿下が高校を卒業されることもあり、
皇室内で皇太子殿下のお妃選びが秘かに進められていると
以前から噂がささやかれていた。
例年、済州島で行われていた誕生会が宮中で開催されるのは
お妃候補が決定したのではないかという見方が…皇室に詳しい筋から情報が流れた。
今の所、皇室より公式な発表やコメントはでていない。
 
シン:「はあ?いったいこれは?」
 
シンは思ってもいなかった出来事に言葉がでない。
 
チェ:「シン君?」
 
パパ:「今日の夕刊でございます」
 
シン:「こんなことは聞いていません」
 
ママ:「チェギョン、あなた携帯は?」
 
チェ:「アッ、電源を切ってた」
 
パパ:「こんなときに…」
 
シュンとするチェギョン。
 
シン:「申し訳ありません。
    私も切っていましたので…多分、連絡が入っているでしょう」
 
シンは頭を下げるとすぐに携帯を取り出した。
電源を入れる。
操作ができるまでもどかしさを感じながら頭の中は
「どう対処しようか」とめまぐるしく動いている。
今日は、邪魔をされたくない…そういう想いで電源を切っていた。
しかし、コン内官からも話がなかったと言うことは皇室も掴んでないスクープに違いない。
電源をいれるとキム内官からであろう着信が夕方から何件も入っている。
さらに1時間程前からコン内官の着信も混ざっている。
シンは直ぐにコン内官に電話を入れる。
 
携帯コン:「殿下、今どちらに?」
 
シン:「チェギョンの家だ。今、新聞を見た」
 
携帯コン:「はい、私も殿下がお帰りになってからすぐにキムより連絡があり
       殿下に連絡いたしましたが繋がらず…」
 
シン:「すまない。電源を切っていた」
 
携帯コン:「すぐに宮殿にお戻りになってください」
 
シン:「わかった。
    所でスクープの出先は?」
 
携帯コン:「おそらく王族かと…どちらにしてもチェギョン様のことは知られておりません。
       ですから、すぐに取材が押し寄せることはございません」
 
シン:「(ホッとして)わかった。そう伝える。
    これからすぐに戻ります」
 
携帯コン:「マスコミには、正式にコメントをだすからと退去してもらいましたが
       本日は護衛もつけておりませんのでくれぐれもお気をつけてお帰り下さい」
 
シン:「わかりました」
 
電話を切ってから心配そうにシンをみているチェギョンの家族と目があった。
 
シン:「これから宮殿に帰ってから詳しい話を効きます。
    今のところは、チェギョンさんのことは知られてないそうですので
    こちらに取材とかはないと思います。
    しかし、僕としてはチェギョンさんのことは真剣に考えていますので
    これからご迷惑をおかけすることになると思いますが
    そのときは善処しますのでよろしくお願いいたします」
 
パパ:「はあ…いやいやいや」
 
金魚のようにパクパクと口を開けている。
シンは真剣なまなざしを向けて返事を待っている。
 
ママ:「パパ何をいいたいのよ」
 
パパ:「だから、まだ高校生で、しかも皇室なんて」
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チェ:「パパ」
シン:「お父さん」
 
二人が寄り添いパパお願い目線。
 
パパ:「ウッ、はい?」
 
パパは緊張と困惑で顔が引きつっている。
 
シン:「チェギョンさんを僕にください」
 
さらに詰め寄るシン。
絶対に譲れない。
そういう決意だった。
 
パパ:「イッ、く・く・ください?」
 
チェ:「シン君」
 
チェジュン:「ヤッター」
 
ギロッっとチェジュンを似たんだパパ。
 
パパ:「い、犬や猫じゃないんだからそんなこと急に言われたって」
 
ママ:「急でもないでしょう。
    それに追い詰めたのパパじゃない」
 
パパ:「ママ、そ・それはどういう意味だ」むかっ
 
ママ:「反対すると愛は燃え上がるのよ」
 
やけに冷静なママ。
パパはションボリと肩を落とす。
 
パパ:「そうか…」
 
ママ:「殿下。ここはどうされるか殿下にお任せするしかないでしょうね。
    でも、こっちは自衛手段はないのでくれぐれも慎重にお願いします。
    それから、ご家族の方はまだ?」
 
シン:「誕生会までに父と母に話すつもりでいました。
    こういうことは想定していなかったのですが…、そう急に承諾を得ます」
 
パパ:「そんな簡単に認めて貰えるのか?(ブツブツ)」
 
そんなつぶやきをしっかり聞きとったシン。
 
シン:「承諾を得て決めるのではありません。
    僕の気持ちは決まっています。
    得られなかったら皇太子としては一生だれとも結婚する気はありません」
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チェ:「シン君」
 
ママ:「まあ」
 
パパ:「それって…」
 
シン:「しかし、悪いことばかり考えないでください。
    僕たちには最強の味方がついていてくれるんです。
    今日は、それを確かめてきました」ドキドキ
 
シンはそういうと不安そうなチェギョンの手をとり優しく強くほほ笑んだ。
 

                                    \¤\᡼\¸ 3素材は、『kissme…』のAKKOさんに頂きました。
                              http://blogs.yahoo.co.jp/kissme_0516/29285157.html