秘蜂館 Hihō-kan

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ハチ目Hymenoptera ハエ目Diptera を中心に調べています
採集、標本、同定など

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AH Smith-Pardo et al.(2020)The Diversity of Hornets in the Genus Vespa (Hymenoptera: Vespidae; Vespinae), Their Importance and Interceptions in the United States

AH Smith-Pardo, JM Carpenter, L Kimsey - Insect Systematics and Diversity, 2020

米国昆虫学会誌に掲載された、Vespa属(スズメバチ属)の全世界全種のワーカーと女王の検索表を含む論文。カラープレートが豊富で、全世界のスズメバチを一覧できる図鑑的な論文。眺めているだけで楽しい。オオスズメバチでも亜種によっては腹部が真っ黒のものもいるようだ。

また、社会寄生を行う事で知られるチャイロスズメバチは世界のVespa属で唯一らしい。論文中ではコレクションが少なくrareとされている。

アメリカにおける定着状況等にも触れられており、日本の誇る?オオスズメバチは2019年に北米に侵入している。

これで世界のどこでVespaを拾っても同定できるな。種数も多くないし、一生かければコンプリートも難しくなさそう。
Sulistiyarto B., Susila N., 2020 Techniques for bloodworm (Chironomid larvae: Diptera) mass culture in tarpaulin tanks. AACL Bioflux 13(3):1229-1234.


タイトルだけ読んで昆虫学の実験に使うユスリカを大量に生産できる効率的な累代飼育法の紹介だと思ったのだけども、実際には水産系の論文であった。

魚のエサとして赤虫を大量に増やすテクニックの紹介で、このユスリカの種名についての言及も無かった。そもそも、Chironomid や Diptera といった単語は本文中には出現しない。tarpaulin tanks とは防水シートで作成する大型の養殖槽のようなものらしい。

魚のエサにする以上、食べた餌毎のユスリカの含むタンパク質や脂質といったユスリカの餌としての含栄養素量が評価されていて面白いが、結局、コスパの問題で安い餌でユスリカを育てるのが良いらしい。
Patricia et al.(2020)A Small Parasitoid of Fire Ants, Pseudacteon obtusitus (Diptera: Phoridae): Native Range Ecology and Laboratory Rearing

Florida Entomologist, 103(1):9-15 (2020). https://doi.org/10.1653/024.103.0402

ヒアリに寄生するノミバエPseudacteon obtusitusをヒアリの天敵として北米での防除に活用しようという試みで、原産地の南米における生態調査を行っている。このノミバエはヒアリのワーカーの胸部に産卵し、寄生された個々のワーカーは断頭され死亡する。使用時は単一種ではなく複数種をミックスして放逐するようで、結論としては、重要なメンバーになりうるとの事。

当然ながら、冬の最低気温の他に、冬期間の長さがネックになるようで、ノミバエ成虫の個体数は冬の間(ヒアリが翌年の春に巣を再建する前)に最小個体数まで減少するため、冬の期間が長くなると個体数のボトルネックになり、春にはノミバエの成長が遅れる恐れがあるとの事。