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秘蜂館 Hihō-kan

ハチ目Hymenoptera ハエ目Diptera を中心に調べています
採集、標本、同定など

Farhan J.M. Al-Behadili et al.(2019)Cold Response of the Mediterranean Fruit Fly (Ceratitis capitata) on a Lab Diet


チチュウカイミバエCeratitis capitata (Wiedemann)は300種以上の果物、野菜、ナッツ類を加害する世界的な大害虫。割と美麗。この世界的大害虫に対して、ノンケミカルで貯蔵期間延長可能な低温処理は人気だそうだ。

実際低温処理で検索してみると、ミバエ科の論文が圧倒的に多く、少数ハナバエ科、イエバエ科、クロバエ科、ショウジョウバエ科の論文が引っかかった。ただ、単に冷凍庫に打ち込めば良いという訳ではない様で、面白かった。

まず、最適な低温処理条件は商品毎の条件に依存しているとの事。虫が死んで品質も落とさないギリギリの条件を探索しないといけない。

 果実の場合では、大きさ、栄養素、組成等により熱伝達率が変わるため、似たような低温処理方法でも低温処理の有効性に違いが出るらしい。例えば、チチュウカイミバエの場合ではミカンよりもデーツの方が低温処理に敏感だそうだ。

更に、齢期や発育ステージ別でも調べる必要があるとの事。確かに、蛹が低温に強いのはなんとなくわかるので、齢期によって耐寒性が変化するのもわからなくはない。果実内のハエが全個体同じ発育ステージにあるとは考えにくいので、 最も耐性の高いステージを殺すのに十分効率的でなければならない。

虫は何℃何時間の低温で死ぬなんて簡単に言えないのだ。
Zong Xian Lim et al.(2020)Ecology of bat flies in Singapore: A study on the diversity, infestation bias and host specificity (Diptera: Nycteribiidae)

https://doi.org/10.1016/j.ijppaw.2020.04.010

シンガポール産クモバエ科を調べた論文。シンガポールのクモバエ科における宿主特異性の高さは、適切な宿主の少なさと単一種のねぐらの豊富さに由来するものであり、それらに対する共進化的な制限に由来するものではないことを示唆している。

コウモリごとの寄生率の表が掲載されていて、寄生率の低いコウモリで60%、高いコウモリで90%であった。クモバエ採った事ないので、意外と寄生率が高くて驚いた。日本産種については知らないが、シンガポールではその辺のコウモリ2頭捕獲すればとりあえず採れそう。

Sato and Mogi (2015)A new species of Phthiridium (Diptera: Nycteribiidae) from Iriomote Island, the Ryukyu Islands, Japan, with a key to nycteribiid bat flies of Japan

DOI https://doi.org/10.7601/mez.66.1

ついでにクモバエ科の論文探してみると、日本産クモバエ科全種の検索表を含む記載論文が最近出版されていた。これでいつクモバエが採れても大丈夫。
JEONG-KYU KIM(2020)A review of the Korean Ampulicidae (Hymenoptera: Apoidea), with a description of a new species

DOI: http://dx.doi.org/10.12976/jib/2020.16.2.1

韓国のセナガアナバチ科の再検討。今回記載されたAmpulex nigropronota 以外に、A. kurarensis、本州に分布するサトセナガアナバチA. satoi の計3種分布するらしい。

ミツバセナガは奄美西表の林道でのスウィーピングで採れている。サトは未採集古い月刊むしに新大阪駅前の街路樹の楠木での記録があるし意外と身近にいると思われるけども、未だに巡り合えない。