仕事が終わってから東の空に浮かんでいた月はまんまるで、これでもかってくらいの大きさでした。

いま調べてみるとやはり満月。5月の満月をネイティブ・アメリカンはフラワームーンと呼ぶそうですが、なるほどどっしりパワーを蓄えたかのような迫力ある月でした。撮影をしたのはJR美幌駅より東側、知床方面へと向かい最初に渡る平和橋という小さな橋のたもとから。

知床半島の先には北方領土があります。太平洋戦争末期、アメリカはプロジェクト・フラという軍事作戦でソビエトの千島列島侵攻を促し連合国として日本を制圧しました。形式的に[北方領土の日]などを設け返還を訴えている日本政府も本気で動かないのはアメリカ主導の作戦だったためでしょう。

一方で戦後、千島や樺太を追われた日本人たちの気持ちはどのようなものだったのでしょう。2014年に『ジョバンニの島』というアニメ映画が公開されましたが終戦の混乱で島民を襲ったロシア人、窃盗を犯した日本人などが出てきます。しかし同時に子どもたちは日本人もロシア人も次第に打ち解け合っていった様子が描かれていました。

現在も多くの日本人はロシアによる北方領土支配を非難していますが、一方でいまなお被害者を出し続けるイスラエルによる一方的なパレスチナ自治区への侵略には背後でアメリカが後押ししているだけにマスメディアすら一言も声をあげません。

そんな憎しみを生むような衝突を続けるよりも、私は千島(クリル)や樺太(サハリン)に住むロシア人と北海道に住む日本人が気軽に行き来でき、互いに協力しあって地域で経済活動を盛り上げていくことを望んでいます。

橋のたもとでフラワームーンを眺めながら、そんな[平和な社会]を夢見た18時前のひとときでした。