前術のとおり昨年の衆院選について違憲あるいは選挙無効とまでする判決が示されている。
また参院選に至っては衆院選をはるかにしのぐ 5倍超の格差が野放しにされている。
そもそも改選数 1の小選挙区では死に票が多く、参院選の比例代表全国区では国会中継で顔すら出てこない有名人候補で票を集め有権者の票が誰を生かすのかも結果次第となり、衆院選の比例代表ブロックにしても並立制であるがゆえ選挙区でほとんど得票の無い落選候補も復活当選してきた。
中選挙区制はこれらを解消する有効な手段に他ならない。
各政党、政治団体の利害で選挙制度改革はなかなか進まないが、中選挙区制でも大政党は現在の小選挙区支部組織や都道府県連組織を活用した選挙ができ、小政党には捨てられてきた死に票分で議席が得られるチャンスも発生する。
議員総数の観点からは全ての国政選挙を中選挙区制としても、前術のとおり参院選の四国ブロックを改選数 4、衆院選の鳥取県選挙区を改選数 2としても、現在の比例代表定数を再配分することにより地域ごとの定数を大きく減らさないまま衆参両院の国会議員を削減することも可能となる。
衆院選に小選挙区制を導入して二大政党化が進んできたが、実態は自由民主党の中にもTPP 推進派と慎重派が混在し、民主党の中にも改憲派と護憲派が混在する。
小泉内閣時代に郵政改革反対派が自由民主党を離党し国民新党を立ち上げ、また鳩山内閣時代に米軍基地問題で社会民主党が連立与党から離脱したが、現在の大政党の政治家が理念よりも虎の威を借りることを優先することで有権者が本当に選びたい候補者を選べられない現状が何より政治を駄目にしていると思われるのだ。

(終わり)