以前の公明党は平和と福祉の党という方針が確かに見られていたこともありました。
1955年以降続いてきた保守政党・自民党と革新政党・社会党に共産党という2極の間には民社党、公明党といういわゆる「中道勢力」が存在し、微力ながらも独自の立場からそれぞれの主張を国政の場に生かしてきました。
自民党が野党に転落した十数年前の一時期には現民主党の小沢一郎とのパイプもあり、その立場は確かなものとなったかのように思われました。しかし…
自民、社会、さきがけ連立によるいわゆる55年体制の集大成となる政権誕生から自民党が国政与党に復帰すると公明党は自民党に近寄り政権与党に組み入れられ、以降平和と福祉の…、などとはかけ離れた路線をとってきました。
大量破壊兵器保有の疑いという確固たる証拠もない、国連決議も無視したアメリカのイラク進攻を支持したり、障害者自立支援法案や後期高齢者医療制度の制定、さらには母子加算の廃止にも加担してきたというのが現実です。
今回の衆議院議員総選挙ではこれらの政策に対する国民の批判を強く受け、自民党とともに政権与党の座を降りようとしています。
数々の選挙で自民党との選挙協力により議席を伸ばしてきましたが、公明党単独では候補者全員を当選させた東京都議会選挙では自民党から完全に敵対されました。
今回の衆議院議員総選挙にいたっても自民党支持者が小選挙区で公明党候補者に投票しないばかりか比例代表でも基礎票以上の伸びがなかったというあきらかな選挙協力の反古にあいました。
そして今回あきらかになってきたのが、来る特別国会の首相指名では自民党総裁ではなく公明党新代表となる山口那津男政調会長に投票するという方針で、10年間の自公連立に終止符を打つとみられています。
共産党と同じように民主党政権とは是々非々で対応していくという立場がとられ、独自色を強めて公明党再建を目指していくことになりそうです。
