エリア境界にあたし達がさしかかると・・・
「あら。お待ちかねみたいねw」
玲、嬉しそうに言うんじゃないw
ビースト達は、境界の向こう側ですでに臨戦態勢。
暗い森の中に、4対の光る眼が見える。
「境界越えたら、即散開。あたしが先陣切って陽動するから、みんなお願いね!」
あたしは、抜刀し、準備を整えた。
「長さん、アレ行くよ!」
相棒に声をかける。
「嬢ちゃん、アレかい?大丈夫かい?」
「大丈夫じゃないけど、やる!」
「がってんだ!」
頼もしい返答を聞いて、あたしは2本の指で3回、柄をタップした。
「いっくよ~!」
あたしは、エリア境界に飛び込んで行った。



腰だめに太刀を構える。先端は前を向いている。
走るスピードが乗るにつれ、長さんから炎が沸きあがり、後ろに伸びていく。
その炎は、あたしの体をも包もうとしていた。不思議と熱くはなかった。
そう。新たな装備。長さんの炎が全身を包む鎧。
フレイムミノスを倒した後に、その素材で長さんを強化した。
そのおまけというか・・・なんだろ?かなりチートな装備と思うけどw
使うのは、今回が初めて。どういったことになるのかわからないけど、けっこういい感じだ。
ビーストは、道の真ん中にほぼ4頭が横に並んでいた。
まずは、1頭。あたしは、真正面のビーストに突きこんで行った。
攻撃力自体は、振り下ろす方が高い。でも、攻撃の疾さをあたしは重視した。
狙うは、光る眼と眼の間。眉間だ。
そしてもう一つ。
長さんに技を仕込んでおいた。
「行くよ!」
あたしの掛け声が合図だった。
炎に包まれたあたしの背後で、焔が爆発した
それに弾かれるように、あたしは一気に前に跳んだ。
ビーストの反応速度を超えた加速。
あたしの剣先は、目の前のビーストの眉間に吸い込まれていく。
刃先を上に構えた突きは、ビーストの堅い頭骨を貫き、さらに反りが下を向いているから、下に向かって食い込んでいく。
それはつまり首から体の奥に向かっていくということ。

爆発は、威力が強すぎたかもしれない。
あたしの剣は鍔までビーストを刺し貫き、あたしはそのままビーストに激突。
さらに、ビーストごと10メートルは吹っ飛んだ。
そして・・・
木の幹に激しく激突!



  



「いたたたた・・・」



 



起き上がったあたし。
ビーストが、クッションになってくれてケガはしていないみたいだった。
ビーストは、すでにこと切れている。
ちょっと・・・ホントチートな威力w
それはともかく・・・
「やばっ」
ぶつかったショックで、長さんを手放してしまった。
「長さん、どこ?」
「嬢ちゃん。こっちですって」
答えはすぐに返ってきた。それは・・・
「あ。突き刺さったまんまw」
「はやく抜いてくだせえ」
「あ、ごめんごめん。すぐ抜くね」
動かなくなったビーストから、あたしは長さんを抜き取った。
「ふう・・・・っと。あ!」
あたしは、あわてて後ろを振り向く。皆のことが心配だった。





・・・・心配は無用だった。
影縫いで足止めされている2頭。
もう1頭は、今、倒れた。
可哀想に玲に黒焦げにされ、あ~ちゃんに真っ二つにされ・・・
つまり、残るは2頭。
「こうしちゃいられない!長さん、行くよ!」
あたしは、長さんを掴むと、足止めされているビーストに斬りかかっていった。

to be continued