袈裟功徳

仏教が中国に伝わったのは達磨大師からである。達磨大師は釈迦から数えて28代目であり、インドにおける28代目までの伝承は正しく受け継がれている。達磨大師はその正統な伝承の中国における第一祖である。その後五代目の大鑑慧能禅師は釈迦から数えると33代目であるが、その継承の印である袈裟を一生保護された。この仏衣は曹渓山宝林寺に安置されている。歴代の帝王はこの仏衣を宮中に迎えて供養し護持してきた。

植物性繊維だとか絹だとかにこだわるのは滑稽である。袈裟の材料は例外なしに糞掃衣とする。つまり火に焼けた衣服、牛に噛まれた衣服、死人に着せた衣服であり、その有様は糞や埃と少しも変わらない。これを糞掃衣と名づけ、これを洗い、縫い直して身にまとうのである。ただし洗っても清浄にならないようなものは避けるべきである。

第十三話 伝衣

(袈裟に準じる)

釈迦から継承した袈裟は、国家の大財産であり、宝玉などは比べ物にならないほどの価値がある。煩悩を離脱させる衣服といわれ、幸福を培う衣服といわれ、忍耐の力を与える衣服といわれ、慈悲の心を起こさせる衣服といわれている。

比丘尼曰く
「自分の境涯を追憶してみるに、当時遊女となってさまざまの衣服を身にまとって雑談にふけった。ある時、冗談半分で袈裟を着たところそれが直接間接の原因となって比丘尼となった。しかし当時は容姿が端麗であることを鼻にかけて、驕りや高ぶりの心が起こり、戒律を破った。そして地獄に落ちてさまざまな罪を受けた。しかしながら罪が終わってから釈迦に出会い、出家して6種の神通力を得て自由自在の境地に達した。」
このように、たとえ冗談半分であろうとも、袈裟が仏道の境地の直接間接の原因になりうるのである。

草の庵夏の初めの衣替え 涼しき簾かかるばかりぞ 道元