単に中国酒といっても、中国はとても広く、さらに美食の国としても知られているだけあって、さまざまな種類のお酒が存在しています。今回はお酒の種類と人気のものをご紹介します。

 

1.最も種類のある白酒

「白酒」は中国発祥の蒸留酒で、ウイスキーや焼酎、ウォッカなどと同じ製法で作られたお酒です。

原料はトウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモやエンドウ、米やもち米などの穀物が主。

無色透明でウイスキーなどと同じ蒸留酒なのでアルコール度数は高く、同じ銘柄でも40度のものもあれば50度もあったりと、平均してみると白酒のアルコール度数は50度前後となっています。

白酒の読み方は特に統一されているわけではなく、中国では「ぱいちゅう」「ばいちゅう」などと呼ばれているようです。

 

中国の宴会では紹興酒よりも白酒が振る舞われることが多く、乾杯といったらこの白酒が定番だと言われています。

 

高級白酒の銘柄

中国で白酒と言えばこの「五粮液」とも言われるくらい有名な白酒の1つです。

五粮とはコーリャン(トウモロコシの一種)、もち米、小麦、トウモロコシの5種類の穀物のことを言います。

 

茅台酒(マオタイ酒)は、中国で国賓を迎える際などに必ず出てくる「国酒」としても用いられる白酒で、価格は500mlで56000円前後、中国ではかなり高級な白酒として有名です。

 

強い芳香を放ち、独特な味わいの茅台酒ですが、日本人にはあまり馴染みのない風味かもしれません。

 

洋河大曲(ヤンハーダイキョク)は、隋の時代に最初に造られ、その後も王族への捧げ物として用いられ続けることによって繁栄したとても長い伝統をもつ一品です。

当時の製法が現代まで受け継がれており、その味をしっかりと楽しむことができます。ただ、アルコール度数がかなり高いお酒ですので、注意して味わってください。

瀘州老窖(ロシュウロウコウ)は、明代の万暦帝(1573年)に建てられ、途切れることなく継続的に使用されている発酵槽(国の重要文化財)を持つ四川省が誇る有名な白酒ブランドです。 甘く爽やかな味わいで、芳醇な香りが口の中に広がります。

 

2. 黄酒「ほわんちゅう」

 

黄酒は主にもち米や穀物を原料に使われる醸造酒で色が黄色いことから「黄酒」と呼ばれていますが、長時間熟成させる老酒は琥珀色をしていることが特徴です。3年以上熟成させたものは美味しいです。

日本で有名な紹興酒は黄酒の一種です。色が濃く芳醇な香りの紹興酒は調味料としてもよく使われています。本来は常温でストレートで飲むお酒ですが、キリッと冷やして氷を入れたオンザロックや、水や炭酸で割っても美味しくいただけます。

高級黄酒の銘柄
 
「古越龍山」

中国の春秋戦国時代。臥薪嘗胆、呉越同舟など、現代にも故事成語として伝わるエピソードを生んだ越(紀元前600年頃~紀元前334年)の首都であった会稽が、いまは紹興酒のふるさととして世界でも名を知られる紹興市です。

古越龍山の名前は、古い越を興した龍(王の意味)の山(府山)がその由来。まさに龍の背を思わせ、現在の市内中心部にある府山公園内の越王台入口には古越龍山の石碑が建っており、ラベルにも越王台がデザインされています。

北京の外務省である外交部や、200カ国以上の中国大使館、領事館でも提供されている紹興酒です。

 
「塔牌」
塔牌(トウハイ)は今でも伝統製法にこだわっていて、水質が最も安定する冬季にのみ仕込んでいるからか、紹興酒のなかでもクリアな味わい。初心者にもオススメです。
 
「石庫門」
石庫門(シークーメン)は上海唯一の黄酒酒蔵が誇る代表ブランドです。上海の伝統の味を継承し、守り続ける"上海味道"、年数の違いは飲みくらべてこそ、感じられるもの。
 
3. 青島ビール
中国を代表するビールであり、1903年、ドイツの醸造技術により中国山東省青島市に生まれ世界85の国に愛飲され続けている中国で最も有名なビールブランド。
日本のものと比較すると、とてもあっさりとした爽やかな味わいになっていますので、ビールに対して苦手意識を持っている方でもおいしくいただけると評判です。後味もすっきりとしていますので、いろんな料理に合わせることができます。
 
4. 張裕ワイン
中国のワイン事情はあまり知られていませんが、「ぶどうの栽培面積」では、スペインに次いで世界第2位です。「ワインの消費量」も、近年急増しており、赤ワインの消費量は世界一になったとする統計もあります。
 
実は中国は2008年の売上高は世界第7位、2013年は世界第5位のワイン生産国。その中で張裕ワインは中国国内ワイン市場の約20%を占める、名実共に中国ワインのトップブランドなのです。 そして今や中国のみにとどまらず、欧州、北米、東南アジアにも輸出され、高い評価を得ています。
 
張裕(チャンユー)ワインの創始者、張弼士(ちょう ぴし)は東南アジアで財を成した華僑で、当時、東南アジアの各地で開催されていたヨーロッパの領事主催のパーティーなどでもてなされるワインやブランデーの味には常々感心していました。
そのような折に、とあるパーティーで同席した煙台のフランス領事から煙台がワイン造りに非常に適しているという話を耳にし、早速調査を開始しました。煙台は地理的にもボルドーと同じ緯度上に位置している上に気候も似ており、事実この時代に煙台に駐在していたヨーロッパの領事や駐在員の中には、この地がワイン造りに適していることをいち早く見抜き、自家用にワインを造っている者もいました。
1892年煙台の地に白銀300万両を投資して、「張裕葡萄醸酒公司」を設立しました。
 
中国は世界的にみても、非常に長い歴史を持つ国です。そのため、さまざまなエピソードを持ったお酒も少なくありません。そのお酒のエピソードを知った上で飲んでみると、さらにそのお酒をよりおいしく味わうことができるかもしれません。