*短編のリースが主人公です。(分かんない人は読んでからの方がわかりやすいかも)
ユーリとエステルは結婚してます。
カロルとナンが結婚?というかカロルが尻にしかれてます。
フレンはまだ未婚です。
呼び捨てに挑戦中。














ビックリした。
いきなりユーリが斬りかかってきたときは。
レイヴン、ジュディス、フレンも同じ感じになってしまい、
僕らは四人の相手をする事になった。

「あ、待て!」

セレネがユーリを追おうとした。
後ろを見ていなかったセレネはフレンに一刀の下に切り捨てられた。

「せ、セレネ」

ここから、三人を相手とする戦いが始まった。
ルビーやエステルは全員の援護に追われている。
僕らも三人の攻撃を跳ね返すだけで精一杯。
セレネの傷が深いからか血の海は広がっていくばかり。
ラザニアと治癒術を使うが間に合わない。

「霧沙雨・紅蓮!」

炎を纏った剣の十二連続の突き。
エテリオがフレンを近づかせまいと必死に剣を振っている。
だが、フレンが下がったとしても矢次のようにジュディスが攻める。

「氷瀑!」

針が床に突き刺さり、その瞬間氷が現れ、爆発する。
待ち構えたようにレイヴンの雨あられと放たれる。

「疾空牙!」

ルイスが蹴りで浮かせ、剣でたたきつける。
矢を打ち落とすので精一杯のようだ。
カロル、パティもつかず離れずの要領で攻撃を防いでいる。

「乱月!」

弧を描くように舞うように上下に鎌を振る。
ルーテルも防衛ラインまで下がっている。
みんな押されつつある。
限界が近いからだ。
シンやテレジア、リタが居ればもっと有利だったかもしれない。
その願いはすぐに叶えられた。

「七つの星に裁かれろ 煌めく聖剣 グランシャリオ!」

爆発する七つの星で、対象となる敵を
七連続で攻撃する光属性上級精霊魔術。
この詠唱をする人間はたった一人。

「メイル……」

「お兄~ちゃ~ん!!!無事?」

飛びつくような勢いで駆けてきたが隣のセレネを見てその足が止まる。
後から続いて、テレジア、リタ、シンがやってくる。

「エステル、大丈夫!」

リタがエステルに駆け寄って無事を確かめ合っている。

「あの、リース。ぶ、ぶ、ぶ……」

何か言おうとしているがつっかえて言えないのはテレジア。
ぶッて、何?

「無事とは……言えないみたいだな」

「シンさん、セレネが!」

ラザニアがシンを呼び寄せた。
シンの顔色は蒼白に近かったが的確な処置で手当てをしていく。
自分がどんなにやってもできなかったというのに。
レイヴン、ジュディス、フレンは彼らが現れた瞬間にどこかに転移しようとしたので、
今まで補助に回っていたエステルが反撃に出た。

「聖なる雫よ、降り注ぎ我に力を ホーリィレイン!」

精霊魔術メテオスウォームと違いターゲットは無視。
敵全体にヒットする反面、拘束力は低いという当たるかわからない精霊光系上級魔術。
で、当たったのは、お決まりのフレン。
あ、エテリオ。ボディプレスかけちゃまずいって。
あ、それはちょっと……。














「……っ!」

セレネが目を覚ました。
痛々しいほどに巻かれた包帯に不思議そうに首をかしげていたが、
痛みをこらえて体を起こす。
その視界にフレンが移った瞬間、

「お前!」

と殴りかかりそうだったのでシンが、

「あ、悪いな。足が滑った」

とセレネの足を引っかけた。
しかも棒読み+笑って。
この笑みが恐かった事は内緒の方向で。
引っかけられたセレネはご立腹の様子。
引っかけた張本人は……、青天白日だといった様子。
少しだが、場に笑いの雰囲気が現れる。
ダシにされたセレネがシンに突っかかっていって返り討ちになったのは言うまでもない。












しばらくしてフレンが目を覚ましたのでルビーが実験室の中に連れ込んで色々と調べていた。怪しい音がガタガタと聞こえてくるのは聞かなかった事にしよう。

「セレネ……、あんたホントに大丈夫なの?」

「あいつの顔見たら元気になった」

「違う意味で元気になったのでは……」

と言おうとしたテレジアをラザニアが捕まえ、口を手で塞ぐ。

「にしても何でユーリがうちらを襲ったんじゃ?」

パティがシンに尋ねる。
シンは、

「……確信がない事は言わない」

と茶を濁した。

「リタ、大丈夫でしたか?術は使えるようになったんですか?
ケガはしていないんですか?テレジアに何かされませんでしたか?……」

マシンガンのような言葉にリタは苦戦中。
もっとも僕は……、

「で、メイルは何でここにいるの?
留守番してたんじゃなかったっけ?」

返って来た答えは簡潔だった。

「お兄ちゃんの追っかけです」

エテリオ、ルイスは絶句。
ルーテルはその様子にオロオロしている。

「追っかけなんてする妹が何処にいる!」

と言いたいところだが、

「ここにいるよ」

とでも言われるに違いない。
反論に悩んでいるとテレジアが小さな紙を渡してきた。

『無事でしたか?』

とただ一言だけ書いてあった。
さっき一生懸命言おうとしていたのはこれだったらしい。
ちょっと嬉しい。
戦闘の時もたいした返事を返してくれなかったから。
後ろでラザニアががっちり捕まえているところから、言おうとしていた事がばれて今言わされているらしい。
メイルにとってそれが面白くなかったらしく、

「お兄ちゃんはホモなんですか?
最悪ですね、人間以下です」

……。
今まで慕ってきていた妹からかなり酷い事言われたんですけど。
しかも人間以下って……。

……。
それまで自分たちの事を離していた全員までが静まりかえってしまった。
たった十二歳の一言で。

「…………………リース、お前も苦労してるんだな」

やっとの事でセレネが言った言葉は笑いと同情が含まれていた。
他のメンバーも笑いをこらえている。
ユーリ達の事を忘れている気がするのは気のせいだろうか。
すると……、

「傑作だね、ルビー」

「そうなんだ……(やっぱりずれてる)」

扉の外からフレンの笑い声が聞こえた。
ルビーは少し呆れ気味なご様子。
入ってきたフレンがかなりラフな格好だったのは……、見なかった事にしよう。
イメージは、お風呂上がりみたいな?

「フレンはどうだった?」

「元から変だから大丈夫なんじゃない?」

カロルの質問にか・な・り適当に答えるルビー。

「ルビーはさ、自白剤として甘すぎる紅茶を5杯も飲ませたんだ。
挙句の果てにはもっと甘いクッキーが出てきてまだ舌が痺れてるよ……」

『……………………』

そんなもの飲ませてたんだ。
あれは飲めるようなものじゃないのに。
(未来で飲まされました)

「でも異常がなかったんですよね?」

「正確にはあったんだ。でも、いまだに信じられない」

「ありえないって……なにかあったの?」

「星喰みが人の中に分散するなんてありえないんだ」

い、今なんて言った?
星喰みが人の中にはいったって?
いやいや無理でしょ。

「僕も自覚がないんだ」

自覚がないって……危険じゃん。
また襲われるって事!?
セレネもそう思ったのかこんなことを言った。

「また斬られるのはごめんだぜ」

「それはないよ。精霊に抑制術式を構成してかけてもらってるから」

精霊にやらせるって……。

「嘘はだめだろ、ルビー。いろいろ脅してたじゃないか」

やっぱり脅してたんですね。
今も昔もまったく変わってない。

「精霊にやらせるなんて、やるわね……」

「リタ、ちょっとずれてます」

「ちょっと所か全部じゃない?」

カロルが言った言葉にリタがむっとした顔をした。
それに追い討ちをかけるようにテレジアが、

「僕の時代では当たり前でしたがね」

むっとしたルビーがリタろ顔を見合わせると、一緒のタイミングで本と帯を振り下ろした。

ガツン☆

「いった~い!!!」

「いたた……。何するんですか!?」

「自分の時代と一緒にするな!」

「当然の報いね」

すごく真剣な話をしていたのに過去のルビーはそんな事そっちのけだった。
何というか……、楽観的?

「そんな事よりもお兄ちゃん。
ユーリさん達を探すべきじゃないですか?」

「どこを探すんだ?」

「ふぇ?」

「どこを探すんだと聞いている」

子供だろうと容赦しないシン。
たまにルビーと同一人物だということを忘れそうになる。
二人を比べると似ても似つかない。

「メイルちゃんの言うとおりです。
でもどこにいるんでしょう……」

エステルの言葉に今まで容赦なく言っていたシンに変化があった。

「ダングレストに言ったらどうだ?」

「ダングレスト?」

ルイス+エテリオが素っ頓狂な声を出す。
自分の隊長が案をだした事にも驚いたようだ。
なぜダングレストというのもある。

「フレン以外の人間はギルドに属している。この意味が……」

分かるか?といわれる前にピンときた。
ギルドの人間が何か知ってるんじゃないか?そういうことだろう。

「そういうことですね」

「えっ!ラザニア姉さまは分かるの!?」

「そうなると、何かあったときのために何人かのこる必要があるね」

シンが本日二回目のため息をつき、

「もう夜が近い。明日動くぞ。
それまでにメンバーを決めておけ」

(だんだんシンがリーダーっぽくなってないか? Byフレン)

そんなこんなで大変な一日は終わった。













どこだか分からない暗闇の中に人数分の明かりがともる。
灯る明かりの数は4つ。
その場所には7つのいすが用意されていた。

「そうか……。あいつだけが目覚めなかったのか」

六つのいすと違い真ん中にある席に座った男が言う。

「目覚めないというよりは眠らされているな」

別の席で漆黒の青年が言う。

「あら、珍しいわね。寂しがると思ったわ」

その隣で青っぽいコートをまとった女が言う。
青年は無言だった。

「あのシンとか言う男がいる限り目覚める事はないだろうな。
別の人間に移すべきなんじゃないか?」

その向かい側にいる紫を基調とした男が言う。
真ん中に座る男が同意の笑みを浮かべた。

「真の世界を我らの手に!」



*短編のリースが主人公です。(分かんない人は読んでからの方がわかりやすいかも)
ユーリとエステルは結婚してます。
カロルとナンが結婚?というかカロルが尻にしかれてます。
フレンはまだ未婚です。
呼び捨てに挑戦中。













「でりゃあ!」

僕が空いている片手の剣を振り下ろす。
が、

「気かねえな、蒼破ァ!」

疾風の衝撃波を放ち僕からの距離を離そうとするが、
後ろから怒鳴り声が聞こえた。

「貴様ら狙って打て!」

(全員聞いてません)

「遅いぜ、ユーリ!」

回り込んだセレネが、

「爆砕陣!」

大地を叩きつけ衝撃波を発生させる。
はあ……。一時間ぶっとうしはさすがに疲れる。
僕らが今何をやってるかって?
その原因は一時間前にさかのぼる。

























「これがマナティアです」

テレジアが机に広げたのは人数分のマナティアだった。
ユーリ達の違和感がないように今まで使っていた物と同じデザインである。
ちなみにこれを作ったのは師匠。
よく分かってるよね。

「へえ、見た目は変わらないのね」

感心しているのはリタ。
ユーリ達も付けたり、感触を確かめたりしている。

「リタ、じろじろ見ないで下さい。今回あなた達にこれを貸すのはシンさんからの許可が出たからです。じゃなければ誰が……」

「ん?この術式は画期的ね……。気になるわ……」

「り、リタ姐……」

パティの警告も空しく、全く話を聞かずにマナティアを調べているリタを見てテレジアは後ろで拳をわなわなと震わせていた。
解体に近い事をやっていたら、そりゃあ、キレるだろうけど。

「リタ、あなたからは没収しますよ」

いらいらを募らせていたテレジアが我慢していったその一言にリタは……、

「充当じゃないの。じゃあ、魔術で勝ったらあんたの言う事少しは聞いてあげる」

「ホントですね?」

「負ける気はさらさら無いけどね」

「ふ、二人とも落ち着いて下さい……」

エステルが二人の間に立ってなだめるが二人の目には相手の姿しか映っていない。
一触即発のその時にユーリさんが言ったのは、

「リース、セレネ、剣でちょっと付き合ってくれ」

と、一見KYな発言だが、二人の争いはその一言で無くなった。
師匠は……シンは壁にもたれかかった状態でそれを見ていた。
ふいに背中を離すと外に出ようとする。

「おい、シン。何処行くんだ?」

「僕はここに来る際に武器を持って来れなかった。(リース達を睨みながら)だから買い出しに行ってくる。リース、セレネ。ユーリに付き合うのはいいがほどほどにしておけ。じゃないと明日起き上がれないぞ」

微妙に警告じみた事を言うとシンは出て行ってしまった。
どういう意味だったのかは分からないが……。
僕は一時間後この言葉に真意に気づく。


















「おっと、危ねえ。お返しだ、幻狼斬!」

瞬時にセレネを貫き、後ろから切り払う。
それはまるで獲物を狩る狼ごとく。
ふらつくセレネに追い打ちをかけようとするユーリ。

「やらせない!癒しの活力、ファーストエイド!」

味方一人の体力を少し回復する下級精霊治癒術。
白い光が降り注ぎ傷を癒していく。
(僕は満月の子の力を強くは受け継いではいない)

「あ、ずるいぞ!」

子供っぽい反論をするユーリ。
最初に回復はなしって言わなかったのに。

「ユーリ、楽しそうですね」

「青年は戦えば戦うほどに元気になるからあの子達絶対後悔してるわよ……」

「じゃの~!」

「止めた方が良いかな?」

なら、フレン止めてくださいよ。
心の中で思うが言えない。
ユーリは楽しそうといえば楽しそうなんだけど、実際付き合ってみるときつい。
僕もセレネもあんなに粘るとは考えても居なかった。
やられそうになった瞬間、いきなり元気になるんだから。
シンなんて帰ってきてすぐにさっきの蒼破刃を食らってご機嫌斜めだ。
さっきから非難じみた目で僕らを見ていたが、いきなり魔術を唱えだした。

「貴様らいい加減にしろ!静寂の森に眠りし氷姫よ かの者に手向けの抱擁を……」

こ、この詠唱は……やばい!
逃げないと殺される!!!!

「インブレイスエンド!!」


あ~、やっぱり!
何で上級精霊魔術なんて使うんだよ。
普通の人は絶対死ぬよ。
(何て思いながら避けてる人←慣れてるから)
セレネは、凍ってる……。
ユーリといえば、ある意味すごい。
広範囲の術なのにいつの間にか安全地帯に避難しているんだから。
ちゃっかりしてるよね。
エステルはバブリアルヘキサで仲間を守ってる。
さ、さすが。


























-しばらくして-



無事セレネ救出した僕たちは帝都で出されている依頼について話し合っていた。
理由はレイヴンの、

「暇で死にそうなんだけど」

だった。
それからユーリも叫びだした。

「暇だぁぁぁぁぁ!!」

と言う事なので凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)として依頼を受ける事になった。
(こんなことギルドを使わないでよ! Byカロル)
暇つぶしにしては疲れる気がするのは僕だけなのかな。

「ねえ、こんな依頼があるよ」

「何々?」

依頼内容と依頼人を見てみると、



『依頼内容;眼鏡探し
依頼人;ウィチル
内容;僕の眼鏡が見つかりません。探して下さい。
場所;帝都ザーフィアス城』



「う、ウィチル……」

「お前の部下って大変だな」

「ですね」



















-帝都ザーフィアス城-



「た、隊長!何でここに……」

「依頼を見てきたんだよ」

ウィチルの表情は別の事を訴えている。
「何でいるんですか!?」みたいな事を。

「それでウィチル。俺らはどうすれば良いんだ?」

「この城の倉庫で眼鏡を無くしたんです。それを探して下さい」

そ、倉庫ってかなり広かったはず。
そんなの探してたら何日もかかるって。
と、心で叫んでいるとシンが慣れたようにウィチルの魔導士フードに手を突っ込んだ。

「う、うわ!何するんですか!?」

「ここに合ったぞ、眼鏡」

「え!!」

依頼に出すほどでもないじゃないか!
灯台の元暗しってこんな意味じゃないの!?

「なあ、リース。一瞬で依頼終了したんだけど何て反応すればいいんだ?」

「僕に聞かないでください!!!!」

正直、こんなに早く依頼が終わるなんて思ってなかった。
みんなだってそうだろう。
シンは頼りになるけどこういう時にはKYだ。

「何かあったらまた頼みますからね」

ウィチルはそう言うと走っていってしまった。
報酬を渡さずに……。
わざとじゃないこと願おう。

「なあ、シン。何であそこにあるって分かったんだ?」

「理由は単純だ。昔あの依頼で僕らは倉庫を三日三晩探し続け実はフードの中にあったという落ちだったんだ。そんなにやりたかったか?」

「……いや、助かった」











依頼がほぼ一瞬で終了したので僕らはほかの依頼がないか探してみることにした。
で、あった依頼といえば……、

『入れ歯探し』
いや、自分で探せよ。

『実験体になりませんか?』←ルビー
誰も受けるわけないでしょ。
何でこんなもの出してるんですか!?

『ファンクラブ結成のお知らせ』
依頼じゃないし、これはチラシです。

『自分探しの旅へ……』
何これ?名前だけ格好いいんだけど……。

というものだった。
つまり……、依頼と呼べるようなものが無かったという事。
そんな訳でルビー宅に戻り、それぞれ雑談をしていた。

「マナティアは全くエアルを使ってない……。
なら何を使っているって言うの?」

さっきからリタが唸っている。

「エアルを使っていないのは確かね」

「なら、何を使っているのでしょう?」

女性陣はずっと唸っていた。
男性陣は剣技について盛り上がっていた。

「おい、リース。お前は誰から剣を習ったんだ?」

「え……。ルビーさんからですが」

『!!!!!』

え……、何?
そんなに驚くことなの?
僕は普通に習ってたんだけど……。

「『瞬光の双剣士』の弟子、か……」

「あのルビーがねぇ」

ユーリとフレンは何に驚いているのだろう?
ちなみにルビーは上でなにやら怪しい実験をしている。
ドアの前には『入ったら解剖だよ♪』という紙が貼ってあった。
中に入ってみたい気がしたが殺される気がしたのでやめた。
すると女性陣の方で声が上がった。

「テレジア、あんた教えなさい!」

「嫌ですよ。何であなたのような人に教えなきゃいけないんですか?
それぐらいならリース達でも知っているでしょうに」

「あんたは専門家でしょ!」

「だから何ですか!!」

また始まった。
さっきからああだったけど今回は何かやばそう。
二人とも杖と帯を出してるし。

「揺らめく焔、猛追! ファイアーボール !!」

とリタが叫ぶように言ったが……何も起きなかった。
テレジアもさすがにキョトンとしている。
リタは顔を真っ赤にすると走って出て行ってしまった。

「い、今術が発動しませんでしたよね?」

「ああ、でなかったな」

「おっさんは出てるみたいだけど?」

セレネによるとレイヴンやパティは術の発動ができるらしいがリタは発動ができなかったらしい。シンが深くため息をつく。

「僕が探しに行ってくる。テレジア、お前も来い」

「…………はい」

しぶしぶというようにテレジアが了解した。
僕もついて行こうとすると、

「リース、お前はセレネを見張ってろ」

と小声で言われた。
セレネは隙さえあればユーリに斬りかかりそうな感じだ。
だから見張っていけ、そういうことだろう。
二人がリタを追って出て行った後、場を気まずい雰囲気が包んでいた。










何で何で、どうして発動できないの!?
いつもと同じようにやってるのに。
その思いから家を飛び出す。
通行人はいきなり飛び出してきたあたしに何事かと驚いた顔をしていたが無視してそれを街の外に走った。
もしも本当に使えなかったら……エステル達と一緒にいられなくなる。
そんなの嫌だ!
前も見ずに走っていたからだろう。
気がつけばザーフィアスから少し離れた草原にきていた。
ここなら試すことも可能だろう。
もう一度術を詠唱する。

「揺らめく焔、猛追! ファイアボール!!」

術は……………、発動しなかった。
絶望で地面にストンッと座り込む。
発動しなかった。それだけが心に響く。
いつのまにか無防備な自分の前に魔物が集まってくる。
爪が振り下ろされる。
その瞬間、白い影があたしの前に滑り込んだ。
誰かがあたしを少し離れた所に連れて行く。
見上げると、それはテレジアだった。










何であの人は座り込んでいるんですか!?
死ぬ気なんですか!?
僕は焦っていた。
いつもは冷静であるのにもかかわらず。
それをシンさんは分かっていたのだろう。
真っ先にリタと魔物の間に滑り込み、安全な所まで運ぶ時間を稼いでくれていた。
僕はその間にリタを安全な場所まで運ぶ。
それに気づいたのか、リタが顔を上げる。
泣いていたのだ。
あのリタ・モルディオが。
未来のリタ・モルディオは泣くどころかむしろ泣かせている方だった。

「何やってるんですか?リタ・モルディオ」

「何でいるの?」

「シンさんに来いと言われたからです。じゃなければ来るわけがないでしょう」

仕方がなさそうに言ってやった。
そしたら……、

「あたし……魔術が使えない。エステル達と一緒にいられない」

「魔術と僕らの使う精霊魔術は根本的に違います。
あなたが使えなくても仕方がないんです」

リタが驚いた顔で僕を見る。
僕はそのままシンさんがいるであろう場所を見る。
さすがにシンさんでも数が多すぎて捌ききれないらしい。
早く加勢しないとまずい。

「とにかく僕の術式を見ていてください」

と言いながら術式を展開する。
リタはもう泣いていなかった。
魔導士の目で術式を見つめていた。
その目に迷いは感じられない。

「シンさん!」

僕の合図でシンさんがこちらに戻ってくる。
後ろに細心の注意を払いながら。

「風よ、吹き荒れろ! サイクロン!!」

風系統上級精霊魔術サイクロン。
その風は攻撃範囲にあるものをすべて切り刻む。
この嵐の中で原形を保っていられるものはいない。
リタはそれを食い入るように見ていた。
そして、

「こうすれば発動するのね……。
揺らめく焔、猛追! ファイアボール!!」

十数個もの火球が残っていた魔物に直撃する。
天才とはこういうものだ。
見ただけで自分のものに昇華する。
だからリタが嫌いだった。
努力してきた自分と違って、才能だけで上がってきたから。

「は、発動した!?」

リタは自分でやっておきながら飛び上がらんばかりに喜んでいる。
僕は嫉妬とも言えるこの気持ちを抑えてリタ達の元へ向かった。
その油断がいけなかった。










テレジアに漆黒の影が迫った。
その影の人間に驚きが隠せなかったが声よりも体が先に動いていた。



-キン!-


金属音が鳴り響く。
完全には受け止めきれなかった。
血の臭いがかすかにする。
剣は肩に少し食い込んだところで止まったらしい。
だが位置からすると動脈を狙っていたことが確かだろう。
相手の顔は見なくても分かる。
ユーリだ。
目を見れば正気じゃない。
体をひねって剣を弾き、距離を取ろうとするがユーリはそのまま剣を突き出してきた。
その早さに思わず舌打ちする。

「星の導き(スターサイン)!」

不規則な軌跡を描き、中段二突き、一回転して払いの攻撃を往復、上段三突きの強攻撃を浴びせる。
この不規則な軌道を見抜いた者は誰もいない。
さすがのユーリも後ろに下がったが肩の出血量からすると そう長くは動けない。
そんな時だった、チャクラムガ飛んできたのは。

「レイトラスト!」

威力の高いチャクラムを投げつける特技。
それは僕らを避けユーリに向かって飛んだ。
過去にいるはずのない人間が使っている物だ。
だが、その考えはあっさりと切り捨てられた。

「あなたが……シンさんですね。話はエステル姉様から聞いたよ!
私は……いわゆる助っ人って奴です!!」

エステルか、こんな奴を送り込んだのは。
僕の苦労をさらに増やす気なのか!?
とは言い切れない。
本人なりに心配して送ってくれたのだろう。
メイル・フィアネット。
リースの姪……妹の子だ。
メイルは僕に駆け寄ると、

「う、うわぁ……血がこんなに……ちょっと待ってね。
癒しの光、ファーストエイド!」

清浄な光が集まりみるみる傷を癒していく。
初期治癒術、ファーストエイド。
大体の傷は塞ぐ事が出来る優秀な治癒術だ。
見回すとユーリは居なかった。
いや、消えたといった方が良いかもしれない。
ユーリが消えたという事は……。

「戻るぞ」

「え……。でも、まだ完全に塞がった訳じゃ……」

メイルやテレジアが止めようとする。
それを押しとどめて、

「リース達が危ない」

「え……」

「ユーリが僕たちを襲って消えた。
つまりあそこには消える予定の人間が3人いる。
この意味が分かるか?」

三人の顔が蒼白になる。
可能性に気づいたえらしい。

「急ぐぞ!」

帝都までの道のりがこんなに遠く感じられた日は無かった。


夕月「今回は頑張って多めに書いてますよ」
リース「僕は皆さんに忘れられてると思うんだけどな」
夕月「まあ、忘れられてるんだろうが」
リース「そんなぁ……」

基本データが出来ました。

エテリオ・シーフォ  23歳 男
武器 片手剣 髪 藍色  目 茶色
一人称 俺 性格 面倒見が良い
出身 どこかの開拓村
ギルド 入ってない(和平団小隊長)
意外なところ ルーテルのファンだったらしい
       フレンに養子として引き取られた。

ルイス・キャロル  18歳 女
武器 サーベル 髪 赤っぽい 目 緑
一人称 私 性格 明るい
出身 カプワ・トリム
ギルド 入っていない(和平隊小隊長)
意外なところ サーベルをコレクションしている

メイル・フィアネット(ルーングロウ)  12歳 女
武器 チャクラム(投げやすいからだそうです) 髪 くすんだ金色 目 茶色
一人称 私 性格 泣き虫(ブラコン)
ギルド 入っていない(入りたいらしいです)
意外なところ 治癒術があまり使えない


スキット集

俺は使える!

ユーリ「セレネは魔術が使えるんだな」
リタ「親がこれで良く使えたわね」
セレネ「教えてくれた人がいたんだ。その人曰く、
『ユーリは剣を振ってないと死ぬ病気なんだ』
とか何とか言ってたな」
ユーリ&リタ「ルビーだな(ね)」

かわいいですね

エステル「ふふふっ……」
リース「どうしたの?エステル?」
エステル「シンは甘い物が大好きなんですね」
リース「?」
エステル「さっき甘い紅茶を飲んでました」
リース「あ、甘いってどれくらい?」
エステル「蜂蜜をたっぷりにシュガースティックを五本入れてましたよ?」
リース「……」


戦闘会話

エステル「勝利の合図、行きます!」
リース「はいっ、おっと(転んだ)」
エステル「大丈夫です?」
リース「大丈夫れす……」


ユーリ「おっさんは寝てな!」
レイヴン「俺はそんな年じゃないって」
セレネ「俺からすると二人ともおっさんだけどな」
二人「…………」


エテリオ「俺、格好いい~!」
シン「父親と同じこと言うな」
エテリオ「父さんより格好いい~!」
シン「話を聞け!」

リース「やったね、テレジア!」
テレジア「………」
リース「ううぅ……」